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安倍晋三元首相が辞任し、その後任となった菅義偉首相が、全省庁の行政手続きの中で可能な限り「脱はんこ」へ向けた指示を行うと発表し、話題になりました。脱はんこの動きや新型コロナウイルスの影響を受け、テレワークが進む中で電子契約システムの導入を検討している企業やその担当者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、電子契約の導入に関するマネジーアンケート調査をもとに電子契約とはなにか、そのメリットや気になる導入率について解説していきます。
1.電子契約
電子契約は、インターネット上や専用回線などを介して、電子文書だけで行う契約のことをいいます。
またこの契約の際に「電子署名」や「タイムスタンプ」といったものを利用します。
2.電子署名
電磁的記録に記録された情報について作成者を示す目的で行われる暗号化等の措置で、改変が行われていないかどうか確認することができるもののことです。(電子署名及び認証業務に関する法律第2条第1項参照)
簡潔にいえば、これは従来の紙の契約書の署名押印と同じようなものといえます。
3.タイムスタンプ
ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する技術のことをいいます。タイムスタンプに記載されている情報とオリジナルの電子データから得られる情報を比較することで、タイムスタンプに付された時刻から改ざんされていないことを確実かつ簡単に確認することができます。
そのため、契約への署名がいつ行われたのかを正確に管理することが可能です。
では電子契約を行うメリットは何なのでしょうか。4つのポイントを説明します。
1.印紙代がかからない
契約を締結する場合には、ほとんどの場合に契約書を用意し、印紙税法に基づき印紙を貼ることが少なくありません。
しかし電子契約においては、印紙税法の印字税の課税対象は、紙で作成された文書に限定されていることから、電子文書である電子契約は課税の対象から除外されています。
そのため印紙税を貼付する必要がなく、企業としてはコストの削減につながるので、導入するケースもあるようです。
2.業務の効率化を図ることができる
紙の契約書であれば、作成後に印刷し、印紙を貼付したり、それらを相手方に郵送する準備や持参したり、人的・時間的コストを要します。
対して、電子契約であればシステム上で行うことができるため、これらの作業をすることなく、また相手方と対面で契約をする必要もないことから業務の効率化を図ることができます。
3.保管管理がしやすい
紙の契約書であれば、ファイリングするなどし、それらが膨大な量となれば、探すこと自体に時間がかかってしまうおそれがあります。
しかし、電子契約であれば、検索機能を用いるなどすればすぐに特定の契約書を探し出すこともできますし、スペースも取らなくて済むことから保管管理がしやすいといえます。
4.リモートワークに対応できる
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、リモートワークが推進されていますが、紙の契約書であれば押印が必要なため、会社の印鑑がないと作業が進みません。結局出勤せざるを得なくなり、リモートワークの弊害となることも少なくありません。
また印紙についても印紙が家になければ、購入しにいかなければならず、仮に印紙を会社から持ち出し自宅で保管するとなればその管理や手続きにも労務を要します。
電子契約であれば、押印や印紙の貼付が不要ですので、リモートワークで対応することが可能になります。
1.費用がかかる。
電子契約のシステムの導入やその保守管理に費用がかかるため、月数件ほどしか契約書に押印する機会がない事業所では、印紙税がかからないとはいえ、かえって費用がかかるおそれがあります。
2.取引先の理解を得なければならない
自社で電子契約の導入を決定したとしても、相手方がその契約の方式に協力してくれるとは限りません。
またシステムにもよりますが、自社が利用している電子契約システムに、取引先にも加入してもらう必要があり、相手方に負担をかけてしまうおそれがあります。
3.全ての契約を電子契約で行えない
法律により書面化が義務とされているものについては、電子契約により締結することができません。以下、定期借地契約を例にみてみましょう。
『借地借家法第22条 ~第一文省略~。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。』
明文にて書面による契約の締結を求められており、このような場合では電子契約を行えません。
マネジーアンケート調査「電子契約を導入していますか?」という質問は、以下のような回答結果になりました。
導入済:15.2%
導入検討中:23.5%
導入を検討していない:61.2%
このアンケートからは、導入率は低いと言わざるを得ないといえます。また導入を検討していると回答された方も約2割にとどまっています。
しかし、導入を検討していないと回答した方は、約6割近くになり、今後の導入については慎重な企業が多いようです。
電子契約とは、インターネット上や専用回線などを介して、電子文書だけで行う契約のことです。印紙の費用を削れるメリットがあるものの、電子契約の実施については相手方の理解を得なければならないなどのデメリットもあります。
また導入率は約2割以下であり、まだ導入している企業が少ないと言わざるを得ません。
今後はますますテレワークが推奨されるでしょう。自社のメリットやデメリットをふまえた上で、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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