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日本で総務部の仕事というと、製造などの現場や営業のバックヤードを支える幅広い仕事をイメージします。具体的には、備品の管理や電話・来客対応、スケジュール管理、社内イベントの運営などです。こうした業務は営業や現場で働く社員をバックアップし、モチベーションアップを図る重要なものといえますが、一般に総合職というイメージが強く、専門性は低いと捉えられています。
一方、欧米では総務にあたる部署がミッションや数値責任を負うといわれています。立派な専門職という捉え方です。この記事では、主にアメリカの例を参考に、日本と海外の総務部の違いを説明します。
目次【本記事の内容】
日本の総務は数値成果を求められる部署をバックアップすることに徹しますが、欧米では総務そのものに成果を求める企業が数多くあります。また、一般的にHR(Human Resources)と密接にかかわっており、人事と総務の仕事を融合した複合的な部署という位置づけの場合もあります。
人的資源の効率的な活用をミッションとしているのです。
例えば、アメリカのGoogleやMicrosoftはピープルアナリティクスと呼ばれる、社員や組織に関するデータを収集して分析する手法を取り入れています。採用、育成、社員の定着率などをすべて数値化し、最適化するためのPDCAを実行しています。成果を出す社員のやり方を、ピープルアナリティクスを通して分析・発見し、全社員に敷衍することもあります。社員の採用や育成が人事の仕事だとすると、総務は社員の定着率を上げることが主な仕事となるでしょう。
IT企業ではユーザーがインターフェースから得られる体験を高めるための、User Experienceが重視されますが、アメリカの企業で、宿泊施設・民宿を貸し出すサービスを行っているAirbnb(エアビーアンドビー)では、従業員のEmployee Experienceを組織づくりの根幹としています。Employee Experienceとは、会社での仕事を通して得られる体験や満足度を指し、Airbnbでは1つの部署として機能しています。
Airbnbでは総務と人事がそれにあたります。決められたバックオフィス業務をこなすというよりも、チームの相互理解を促すためのミーティングを設定したり、社員の不満の芽をあらかじめ潰すなど、主体的に動くことが求められています。
新興企業の総務は業務範囲が広く、多様な働き方が求められます。大企業ではどうでしょうか。Airbnbのような特殊な働き方は求められないものの、プロフェッショナルとしての知識や実績が要求されるのは同じです。
企業活動を維持するため、多くの組織はオフィス賃料やメンテナンス、光熱費、警備などの総務部に関連する莫大なコストをかけています。総務部のプロは、こうしたコストを正確に把握し、無駄になっている費用を削減します。日本では現場感覚からかけ離れた総務部の発想により、事務用品などがある日突然なくなることがあるといわれます。いくらコスト削減が成功したとはいえ、社員が我慢して仕事をするようではプロの仕事とはいえません。
総務のプロは生産性を高めつつコストを削減します。効率的な会議室の運用方法や、デスクの配置でスムーズに人が移動できるよう設計するのです。
ダイヤモンドオンラインが、リクルートワークス研究所の調査した「AIによって奪われる可能性の高い職業」をランキングで発表しています。総務を表す一般事務は8位にランクインしていました。
昔から利益を生まないとされてきた総務部は、会社の重荷となることから仕事がなくなるといわれてきました。AIが登場し、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などが広く普及したことでその意識が加速したものと考えられます。
たしかに、電話対応はメールに代わって担当者が直接顧客とやり取りするようになりました。更にメールからスラックやチャットワークが主流となり、顧客とのやり取りは各々が直接連絡しやすい環境が整っています。コピーをとることもなくなり、PCからプリントアウトをすれば終わりです。お茶を入れる文化もなくなり、新型コロナウイルスの感染拡大で宴会や社内のイベントもなくなりました。
従来のバックオフィス中心の日本型総務の仕事であれば、新たな技術に塗り替えられる可能性は十分にあります。しかし、Airbnbのように会社の根幹となる仕事に代替品はありません。GoogleやMicrosoftのように社員の離職を防ぐプロの仕事も同様です。とくにIT企業の成長は技術者に依存しており、その重要性は高まるばかりです。
このように日本と欧米では、総務部に違いあります。欧米ではプロフェッショナルとしての仕事が求められ、会社の事業構造やそこにかかっているコストを理解し、生産性の高い職場を作り上げます。また、社員の働き方に目を光らせ、離職を防ぐ働きをしているのです。それをミッションとして課され、ときには数値成果として実績を求められます。とても重要度の高い部署だといえます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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