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あまり聞きたくない倒産の二文字ですが、そもそも倒産とはどのような状態になることを示すのか、考えたことはありますか?
倒産というのは、法律的に使用される言葉なのでしょうか。また、倒産に至るにはどのような線引きがあるのでしょうか。
今回は倒産についてご紹介します。
倒産の定義
まず、倒産という言葉は法律で使用される言葉ではなく、1952年に東京商工リサーチが開始した「全国倒産動向」の集計から世間に知られるようになりました。
一般的に倒産とは、企業の経営が行き詰まり債務の支払い能力がなくなったり、経済活動ができなくなったりする状態を言います。
したがって、赤字経営が続いたとしても債務の支払いが可能な状態であれば、それが倒産を示すということはありません。
倒産には「法的倒産」と「私的倒産」があり、よく耳にする「民事再生手続」や「破産」などは法的倒産に分類されます。
【法的倒産】
【私的倒産】
これらの手続きが申請された時点で倒産とカウントされます。
事業を継続しながら債務を弁済する再建型倒産
【会社再生法】
一般社会には、企業が消滅してしまうと多大な影響を及ぼす企業があります。
そのような大手企業や上場企業に適用されてきたのが会社再生法です。
会社再生法は株式会社のみが申請対象となります。これまで複雑な手続きなど終結までに長い時間を要してしまうものでしたが、2003年法改正がなされ、運用の緩和と迅速性の向上が図られました。
会社再生法を申請した企業は、裁判所から指名された管財人の更生計画により再生を目指しますが、経営破たんの責任がない役員は、管財人代理などとして会社に残ることが可能になりました。
さらに東京地裁は2008年、DIP型会社再生法の運用基準を発表しました。
更生手続時、経営陣に不正行為など違法な経営責任がないこと、主要な債権者が経営陣の経営関与に関して反対していないことなどを条件とし、会社更生法をさらに利用しやすくしました。2009年からは上記とそれ以外の複数の条件を満たしている場合、経営陣から管財人を選出できるようになりました。
そのため、近年の大型倒産ではDIP型会社再生法が適用されることが増えているようです。
【民事再生法】
再建型倒産でもよく耳にするのが民事再生法だと思います。
民事再生法は以前の和議法に代わって施行された法律です。会社再生法に対して、主に中小企業に向けた法的手続きになります。
会社再生法が株式会社のみを対象にしているのに対し、民事再生法では株式会社から個人まで幅広く申請が可能になっています。債務超過などに陥る前から申請が可能で、経営破たんが深刻化するのを避ける目的があります。
財産を清算し会社を消滅させる清算型倒産
【破産】
個人や企業が財産を清算して会社を消滅させるパターンが破産です。これは倒産の約8割を占めると言われています。
破産手続きが申請されると、全ての資産が換価され、債権者へ配当されます。この破産手続きが広まった背景に、2000年東京地裁から始まった「法人少額管財手続」が大きく関与していると言われています。
取引停止による倒産
私的倒産でも多いのが、取引停止処分による倒産です。
取引停止処分とは、同一手形交換所管内において6か月以内に2回小切手や手形の不渡りを起こすと、手形交換所加盟金融機関から2年間取引停止となる制裁のことを言います。取引停止処分を受けた時点で倒産とカウントされます。中小・零細企業の中心的な倒産形態となっています。
過去甚大な赤字倒産を引き起こした企業
2017年6月、エアバッグのリコール問題から自動車部品製造大手のタカタが民事再生法を申請し経営破たんしたことは記憶に新しいと思います。
このときタカタは1兆500億円の負債を抱えて倒産しました。しかし日本国内にはもっと大きな負債を抱えて倒産した企業が存在します。
2008年9月、リーンマンショックによりリーマンブラザーズ証券が3兆円超の負債を抱えて倒産しました。しかし、国内最大規模の赤字倒産はその8年前に起きています。
2000年10月、協栄生命保険は4兆5296億9300万円の負債を抱えて倒産しました。
これはバブル期に販売していた高利率の商品が、バブル崩壊後に首を絞めた形となり、高利率の保険料を支払えなくなったため倒産に追いやられたというものです。
黒字倒産と連鎖倒産
一見経営には問題なさそうなのに倒産してしまうものに、黒字倒産があります。
将来的に収入を得られる見通しはついているものの、目先の支払いができない「現金不足」に陥り、倒産してしまうケースがあります。
経営は赤字でもプールしている資金でなんとかやり繰りができる状態であれば倒産は免れますが、赤字経営ではないにもかかわらず手元の現金がない状態では倒産に追い込まれます。現金はとても大切だということですね。
また、提携企業の倒産のあおりを受けてしまうケースもあります。これを連鎖倒産と呼びます。
たとえば自社の製品を購入していた企業が倒産した場合、見込んでいた収入がなくなってしまい、自社の支払い機能が麻痺してしまうことがあります。このように、倒産企業のあおりを受けて連鎖的に倒産してしまう企業も少なくはありません。
2017年、倒産件数は8405件と、9年連続で減少傾向にあります。このまま2020年の東京オリンピックに向け景気も上向きが持続し、私たち国民の活気も満ちることが期待されます。そして2020年を過ぎても、緩やかでも上昇傾向の景気であってほしいものですね。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
 
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