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【すべての管理部門はビジネスパートナーであるべき】CEOインタビュー JFRカード株式会社 代表取締役社長-二之部守氏

公開日2021/06/30 更新日2023/06/05

今回のCFOインタビュー企画では、特別編として人事・財務などのバックオフィスを経験したことのある大丸・松坂屋グループ、JFRカード株式会社 代表取締役社長 二之部 守氏を迎えたCEOインタビュー企画として皆様にご紹介します。

大丸・松坂屋といえば、それぞれ創業から300年、400年の歴史を持つ老舗の百貨店です。
2007年には経営統合を実現し、持ち株会社であるJ.フロント リテイリング株式会社の傘下に入りましたが、高齢化社会やネットショッピング全盛の時代を迎え百貨店経営は大きな転換期に直面しています。
従来は百貨店と歩調を合わせるビジネスモデルであったハウスカードも、この大きな変化の波に対応するべくビジネスモデル転換への挑戦を続けています。

今回は、JFRカード株式会社の代表取締役社長 二之部守氏に新しいポイントサービスへの取り組みや仕事への姿勢、これからの経営課題などについてお話を伺いました。


百貨店のハウスカードに必要だった新しいポイントサービス

――最初にJ.フロント リテイリングとJFRカードのご関係、それとなぜ大丸松坂屋カードのリニューアルが必要だったのかについてお聞かせください。

(二之部氏)J.フロント リテイリングは上場している持ち株会社で、傘下の大きな会社としてはパルコと大丸松坂屋百貨店があります。パルコは創業50年を迎え、大丸松坂屋百貨店も創業数百年。両社ともビジネスモデルの転換が課題となっています。他にも傘下には人材派遣業や内装業、商社などがありJFRカードもその中の一社です。

百貨店と同様、クレジットカード会社も従来のハウスカードに甘んじることなく、変わっていかねばなりません。大丸松坂屋カードはここ15年ほど、サービスの見直しをしていませんでした。顧客の消費行動やニーズはどんどん変わってきています。特に百貨店の顧客やカードユーザーは高年齢化が進み、収入減による利用額の低下も懸念されます。

そこで大丸松坂屋でカードを利用すると貯まる従来のポイント(大丸松坂屋で使えるポイント)に加え、VISAやMastercardの加盟店でも貯まる「QIRA(キラ)ポイント」を追加しました。QIRAポイントは大丸松坂屋のポイントに移行できることはもちろん、Tポイントや楽天ポイントなどにも移行可能です。これにより、20代や30代の顧客にも裾野が拡がっていくことを期待しています。

また、このリニューアルの目的はもう一つあります。エリア戦略への対応です。従来の百貨店単体ではなく、これから必要とされるのは商業施設を開発したエリアでのビジネス拡大です。百貨店で買うと得だというだけでなく、そのエリアで得となる決済手段にしたかったのです。

すべての基礎はアメックスで学んだ

――(筆者)ここからは二之部社長のプロフィールについてお伺いしたいのですが、大学卒業後、すぐに外資系企業に入社されています。これには何か理由が?

(二之部氏)特に理由はありません(笑)敢えて言うなら、大学時代の海外旅行や外国人の友人を通じて、西洋的な価値観に感化されたのかもしれません。アメックスには21年勤務し、途中留学プログラムでMBA(ニューヨーク大学 スターン経営大学院)も取得することができました。今の私の基礎は、大部分がアメックスで培われたものです。大変素晴らしい会社で、今でも感謝しています。

――(筆者)アメックスでは最終的に社長まで務められましたが、人事や財務など、管理部門での仕事も経験されていますね。

(二之部氏)人事に2年、財務に3年だったと思います。人事の時は給与システムやインセンティブの改訂を担当していたので、給与体系の変更について社員対象の説明会を頻繁に開きました。属人的な給与体系からパフォーマンスに対して給与を払う体系に変えたのです。納得してもらうには苦労がありましたね。給与の変動は死活問題ですから。アメックスでは財務での経験を含め、後半10年間は金融機関との業務提携をやっていました。

すべての管理部門はビジネスパートナーであるべき

――(筆者)その後リシュモン・ジャパン(カルティエ)、ビザと、いくつかの会社を経られてJFRカードの社長になられたわけですが、一貫した仕事への向き合い方などはありますか?

(二之部氏)一言で言うなら「仕事は楽しく」でしょうか。「楽しく」には3つの根源があって「ステークホルダーも含めた顧客に喜んでもらうこと」、「ゴールを設定して達成する喜び」、「自分の成長を実感できる喜び」です。私はいろいろな会社で多様な仕事をしてきましたが、ずっと楽しかったですよ。部下を持つようになってからは、皆さんにも実感して欲しいと思っています。

――(筆者)マネジーの読者は管理部門の方も多いのですが、管理部門の方々に伝えたいことはありますか?

(二之部氏)管理部門は常にビジネスパートナーであるべきだと思っています。安全ばかりを考えて、ビジネスにブレーキをかけるだけの存在であってはならないでしょう。どうすれば良いのか提案し、営業部門などと一緒に進むマインドが欲しいのです。ただし、ビジネスを強固にするために守らなければならないこともあります。コンプライアンスやガバナンス、SDGsもそうですね。ここはしっかり管理して欲しいですね。

有事下での朝令暮改はあたりまえ。対応力が試される

――(筆者)現在はコロナ禍の状況で、百貨店には営業自粛などの逆風が吹いています。この状況に対して経営者として思うことはありますか?

(二之部)現在は非常に厳しい環境ですが、二つのことが必要だと考えています。
一つ目は状況に応じてすぐに変化していくことです。昨日まではこうだったからすぐには変えられない、では済まないのです。緊急事態宣言の延長などで、百貨店は営業内容の変更を余儀なくされており、長いスパンのプランが役に立たなくなる可能性もあります。経営者としては、変化への対応力が求められていると感じます。

二つ目はやめる勇気です。今まで計画してきたことに引きずられて、先の見込みが立たない計画にリソースを割くわけにはいきません。すぐに判断して、新しいことを考えるマインドが必要です。どこかで誰かが、それが嫌なことでも判断しなければならないのです。

――まさに今、直面している危機への回答ですね。本日はどうもありがとうございました。

まとめ

大丸松坂屋百貨店の数百年の歴史は、アセット(資産)でもあり、弱点でもあると二之部氏は言います。
「今やっていることが本当に正しいことなのかを常に疑い、臨機応変に変化していくことが大切」「決して過去を否定するわけではないが、過去の成功体験はあくまで過去のもの」という考え方からは学ぶことが多いでしょう。
何かと過去の事例や慣例に振り回されがちな管理部門。常にチャレンジするマインドを忘れないことが重要なようです。

【プロフィール】
二之部 守(にのべ まもる)
JFRカード株式会社代表取締役社長(現任) 兼 J.フロントリテイリング執行役(現任)
1961年三重県出身
東京大学卒業後、1986年にアメリカン・エキスプレス・インターナショナル日本支社入社
2003年 アメックス・カード・サービス株式会社代表取締役社長
2007年 リシュモン・ジャパン株式会社カルティエ・リテール本部本部長
2011年 ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社 ビジネスデベロップメントII-ヘッド
2017年 株式会社Origamiアドバイザー
2018年 JFRカード株式会社代表取締役社長(現任) 兼 J.フロントリテイリング執行役(現任)


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