公開日 /-create_datetime-/
リスクコミュニケーションという言葉をご存じでしょうか?企業は規模の大小を問わず、自然災害や従業員による不祥事といった有事に直面する可能性が常にあります。そのようなリスクに備え、組織内でリスコミュニケーションを取れる体制作りを前もって整備しておくことが大事です。今回は、このリスクコミュニケーションとは何か、という点について詳しく解説しましょう。
一般社団法人日本リスクコミュニケーション協会によると、リスクコミュニケーションとは有事のときに組織内外のステークホルダー(利害関係者)と適切なコミュニケーションを図ること、そのための準備を平時から進めること、と定義されています。
企業は日々さまざまなリスクに直面する恐れがあります。そのリスクに対して全体的な視野を持ってどのように対応し、発生した際のマイナスの影響をどのように抑えていくのかを考えることは重要といえるでしょう。そうしたリスク対策を考える上では、関係者間のコミュニケーションが欠かせません。リスク・危機が発生したとき、迅速なコミュニケーションを取りながら問題の解決に当たることが、負の影響を最小限にとどめることにつながります。
リスクコミュニケーションのあり方を定めている組織の一つが、アメリカ疫病予防管理センター(CDC)です。CDCは有事が生じた際の対策の方法として、「危機と緊急時のリスクコミュニケーション(Crisis&Emergency Risk Communication:CERC)」を設定し、公開しています。CERCにはマニュアルも作成されていますが、その冒頭部分にはリスクコミュニケーションにおける6つの原則が提示されているので、以下にご紹介しましょう。
この6つの原則で強調されているのは、情報を素早く適切に発信すること、人々・関係者と共にリスクに向き合おうとする姿勢です。CDCはアメリカ国内の新型コロナウイルス対策に率先して取り組んだ医療機関の一つですが、その対応の背景にはリスクコミュニケーションに対する高い意識があったわけです。
新型コロナウイルスの感染対策に関していえば、リスクコミュニケーションの重要性・有効性は専門機関の調査・研究によって検証されています。
新型コロナウイルスの感染状況は国によって大きく異なり、国内で感染が広がり死者を多く出した国が多数ある一方で、感染者数・死亡者数ともに圧倒的に少ない国も少なくありません。
そうしたコロナ禍による被害を抑えた国・地域として、ギリシャ、東ヨーロッパ、中央ヨーロッパの国々があります。これらの国々はヨーロッパの先進国に比べ、医療分野をはじめとする社会システムが強固であったわけではありません。しかし政府は国民とのリスクコミュニケーションを重視し、国を挙げてのコロナ禍への初期対応が素早く行われました。その結果、感染者数・死亡者数ともに少なくて済み、医療ひっ迫などの事態を回避できたのではないかと考えられています。
リスクコミュニケーションの意味をより明確化するために、類似した用語である危機管理やリスクマネジメントとの違いについて解説しておきましょう。
・危機管理・・・実際にリスクが生じたときの対処法と、迅速に元の状態に回復するための対策を定めておくこと。例えば火事の場合であれば、消火活動のあり方と復旧方法の具体的な手順について、事前に定めておくことなどを指します。
・リスクマネジメント・・・実際にリスクが起こったときにその被害を回避する、被害をできるだけ抑えるために講じる対策・方法のこと。火事の例でいうなら、消火活動の手順に従った行動を素早く取れるように、事前に消火訓練を重ねることを指します。
・リスクコミュニケーション・・・実際にリスクが生じたときに、関係者間でコミュニケーションを取って情報共有を行ってリスクに向き合うこと。火事の場合であれば、消火・避難を迅速に行えるように、関係者間でコミュニケーションを取れる体制を事前に構築しておくことを指します。
リスクコミュニケーションとは、有事に備えて組織内外のステークホルダー(利害関係者)と適切なコミュニケーションを図ること、そのための体制作りをしておくことを指します。企業は日々の経営活動の中で、直面し得るリスクは多いです。事業活動の中での突発的な危機はもちろん、ハラスメントや横領など従業員による不正行為とそれによる企業のブランド・信頼の失墜リスクなどもあります。こうした状況に迅速に対応するためにも、リスクコミュニケーションの体制を社内で整えておくことが大事でしょう。
現在、一般社団法人日本リスクコミュニケーション協会では、リスクコミュニケーション(RC)の体制構築を図れる人材を育成する目的で、「認定RCアドバイザー」「認定RCエキスパート」「RC技能認定一種」などの認定資格講座を開講しています。リスクコミュニケーションについて学びたいという方は、講座内容をチェックしてみると良いでしょう。リスクに対応できる人材を育てたい企業にとっても、社員教育・研修の一環として活用できそうです。
経理・人事・法務のスキルと年収相関の完全ガイド【MS-Japan】
業務委託契約の基本がわかるハンドブック
新卒エンジニア採用施策アイデア大全
中堅大企業のための人事給与アウトソーシング導入チェックポイント
顧問契約書/コンサルティング契約書の作成で気を付けておくべき事
補助率10/10!プレミアム商品券発行に最大5000万円補助が受けられる「生活支援・消費喚起プロジェクト支援補助金」【富山県】
外国人の就労ビザの更新手続|ビザ申請に強い法律事務所が解説
従業員エンゲージメントを高めるためには?向上施策の事例や取り組みの意味・効果を解説
内定者の「ありがたかった支援」は先輩や同期とのつながり作り 入社前に求められる支援とは
メンタルヘルスケアとは?企業が実践すべき『4つのケア』も解説【キャリアコンサルタント監修】
他社との違いは?電子契約サービスの比較検討ガイドのご紹介
人事給与業務のアウトソーシング導入を検討される方向け「はじめてのBPO活用ガイド」
社印・社判を必要とする文書の電子化
電子署名の適法性 ~日本の裁判手続きにおける電子署名の有効性~
管理部門兼任の社長が行うべき本業にフォーカスする環境の構築
物流2024年問題、老朽化への対応は? 国交省が物流拠点の今後について報告書を公開
原価管理システムとは? 概要と機能、導入を進める際のポイントについて詳しく解説
海外企業との取引にあたって、国内取引よりも重視すべきリスクと与信管理
2025年ゴールデンウィークは「4連休」が最多…長期休暇取りづらく“巣ごもり”傾向に。“給与の増減”によって予算にも明暗が
ビジョン実現に向けて、現実と向き合い、行動する
公開日 /-create_datetime-/