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政府が推進する働き方改革は、奇しくも新型コロナウィルス問題によって部分的に加速されました。その一つがテレワークの普及です。現在、2020年から継続的にテレワークで働いている皆さんも多いことでしょう。
しかし、このままテレワークが社会に定着するかは疑問の声も上がっており、すでにさまざまな問題点も指摘されています。今後の働き方はどうなるのか、テレワークの現状とこれからについてレポートします。
2021年5月に東京都が行った「テレワーク実施率調査」によると、都内企業のテレワーク実施率はやや低下傾向にあったものが、再び64.8%にまで増加しました。これは2月と並んで過去最高の数値です。
企業規模による比較を見てみると、従業員300人以上では82.8%、100~299人が68.3%、100人未満では59.7%という結果です。また、1週間でのテレワーク実施回数は、3日以上が49.9%とほぼ半分を占め、そのなかでも5日という企業が24.6%という高い数値になっています。
参考:東京都「テレワーク実施率調査(2021年5月)」
実際のテレワークに対する意識に関しては、2020年11月に東京商工会議所が「テレワークの実施状況に関するアンケート」の結果を発表しています。その中から特に注目すべき4つの項目を紹介しましょう。
まずは継続的にテレワークを実施している企業にとって、その目的は「社員の出勤人数を抑制(82.9%)」と、「感染症流行時等における事業継続性の確保(75.7%)」との2つが特に高くなっています。「働き方改革」を目的に挙げた企業は、全体の43.2%にとどまっています。
企業側が感じている効果については、「働き方改革が進んだ(46.2%)」と、「業務プロセスの見直しができた(39.7%)」との2つが上位を占めています。これを見ると目的はいずれにせよ、働き方改革につながっていると感じる企業が多いと言えるでしょう。
一方で企業が課題として感じているのは、「社内のコミュニケーション(57.9%)」と、「書類への押印対応(56.7%)」、さらに「労務管理・マネジメント(51.6%)」などです。これらの課題については、この後で検証します。
この項目では、一度もテレワークを実施していない企業と、途中で実施を取りやめた企業との2パターンで結果が異なりました。そのうちの主な理由を総合すると、「テレワーク可能な業務がない」「業務の生産性が下がる」「PC等の機器やネットワークの整備」などが挙げられています。
参考:東京商工会議所「テレワークの実施状況に関するアンケート」
テレワークの影響で企業が最も心配しているのは、従業員どうしのコミュニケーションが不足してしまうことです。オンラインでの会議など、お互いの顔を見ながら話すことはできますが、やはり直接対面してコミュニケーションをとる必要性があるということでしょう。
また課題として予想外に多いのが、押印への対応、つまりハンコを押すために出勤する必要があることです。日本では責任者の決裁に、伝統的にハンコを使っていますが、これはテレワークの課題とは別に解決すべき問題かもしれません。
もう一つ重要な課題は、テレワークでは対応できる業務がないことや、生産性が下がってしまう職種があることです。事務職や営業職はテレワークで十分対応できているようですが、製造・物流・飲食などの業種では現場での作業が欠かせません。テレワークでは不可能な職種・業種もあるということです。
さらにプラスすると、従業員が分散して自己責任で働く状況では、厳重なセキュリティ対策が必要な業務においては難しいことも考えられます。こうした課題を根本から解消するのは、かなり困難なことではないでしょうか。
現状ではテレワーク中心に業務をこなしている企業でも、新型コロナウィルス対策が進めば、徐々に出社勤務が増える可能性があります。その一方で、テレワークは企業にも従業員にも多くのメリットがあります。
そこで、今後の展開として考えられるのが、「ハイブリッド型」の働き方です。これは名前の通り、出社勤務とテレワークを併用する方法です。テレワークという新しい働き方は、これから徐々に定着するでしょう。将来的には、企業と従業員とがお互いに調整しながら、状況に合わせて働き方を選択できるようになるかもしれません。
急速に新しいシステムが普及すると、多くの場合何らかの課題が出てきます。新型コロナウィルス対策として始まったテレワークでも、長期化するにしたがってさまざまな問題が浮き彫りになってきました。
しかし働き方改革の一手段として、テレワークにも多くのメリットが認められています。今後はテレワークが定着することで、出社勤務とのハイブリッド型という新しい働き方が広がる可能性があります。いずれにせよ現代社会は、今大きな転換点を迎えていると言えるでしょう。
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