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企業文化とは、経営者や従業員など組織を形成する人が持つ価値観や行動規範のことを指します。会社は社会貢献の成果を出し続けることが使命ですが、企業文化は成果を出すプロセスや意思決定の指針となります。したがって、無形資産とも言うべき抽象的な概念といえますが、組織を動かす上で極めて重要度の高いものです。“風通しがいい”といった企業風土とは概念が全く異なります。
スタートアップのようにできたばかりの会社は企業文化醸成に力を入れており、従業員もそれを意識することもあります。ところが、大企業の特にバックオフィス業務に就いていると、企業文化がなかなか見えづらいのではないでしょうか。しかし、人事評価や商品ブランドと密接に関わっている企業文化は、日々の業務遂行においても気を配るべき重要なものです。また、取引先などの企業文化を把握することで、話が通じやすくなることもあります。
ここでは、4つの分類で企業文化の傾向を把握する方法を説明します。
目次【本記事の内容】
組織論の研究をしてきたミシガン大学のロバート・クイン教授とキム・キャメロン教授は、フレームワークを使うことで企業文化は4つに分類できるとしました。これを競合価値観フレームワーク(CVF:Competing Value Framework)と呼び、一般的な企業文化の考察によく使われるようになっています。分類したのは、以下の4つです。
4つに分類することで、企業文化という見えづらいものが可視化できます。
最先端のサービスを展開し、市場創造に注力するスタートアップは、時代の変化に取り残されることは致命的です。場合によっては、時代を先取りする必要があります。アドホクラシー文化は、革新的なアイデアを実現するための企業文化を形成しています。
アドホクラシー文化の根底にあるのは、革新的で優秀、そして進取の気性のある人々が、何かに妨げられることなく商品開発、技術革新ができる環境づくりです。年功序列、官僚的な文化の中では、これまでの組織活動を覆すアイデアが採用されることはありません。しかし、アドホクラシーの企業文化がある組織では、誰か一人のアイデアが会社全体を動かすこともあり得ます。
変化を楽しみ、事業を推進する人にはメリットが高いですが、保守的で淡々と仕事をする人には向かない文化だといえます。
アドホクラシーの真反対に位置するのがヒエラルキー文化です。昔からある規模の大きい会社や官公庁に多く、組織の安定、統制を何よりも重んじます。マニュアルやルール、プロセスを重視しており、そこから逸脱した行動や発言は嫌われます。従業員間の連帯感があり、ルールに則っていれば問題となることはありません。毎日決まった仕事をし、確実に実績を積みたい人に向いている企業文化です。
ヒエラルキー文化は生産性の向上が成果として認められる傾向があります。コストをかけて売上アップを図ることよりも、働き方や無駄なコストを削減することに注力すると高評価が得られやすいでしょう。
成績を上げることに自信がある営業系の人材や、新たなことにチャレンジしたいと願う人にとっては、居心地の悪い文化だといえます。
国内の中小企業の多くが採用しているのが、クラン文化です。オーナー社長が従業員のことを“家族”と表現することがよくありますが、この言葉を聞いたらクラン文化を重んじていると考えて間違いありません。クラン文化は調和や連帯感を重視します。家族、仲間同士のフレンドリーさを崩さないようにしており、その一体感が業務遂行の原動力となります。経営サイドから見ると人やチームを細かく管理する手間がかからないため、中小企業にはぴったりの企業文化です。
しかし、問題点もあります。結局は能力の高い人の仕事が重くなり、責任の所在もわからないことが多くあります。独特の文化を形成してしまうため、外部の変化についていけないケースもあります。
チームの一体感を得て仕事をしたい人には向いている文化であり、自分がどういう役割を担ってきたのかを明確にし、それを周囲に伝えられる人は評価が得られやすくなります。その一方で、成果主義の傾向が強い人や、動きの遅い人に歩調を合わせるのが苦手な人には向かない文化です。
マーケット文化は競争に勝つことを重視する文化です。結果重視、成果主義と言い換えることができ、営業力の強い会社で採用されている企業文化です。
よく基本給に加えて高額なインセンティブが用意されている会社があります。これが典型的なマーケット文化です。成果を出す優秀な人材が集まり、組織内で競争が起こるために更に先鋭化されるという特徴があります。目標達成に強い意欲があり、会社の業績も急上昇します。
その一方で、組織が急成長するためにバックオフィスが整っていないことが多くあります。また、チームワークでの仕事が苦手で、人によって言うことが違うというケースも見受けられます。
成果を出すための能力を身に付けたり、自分の力でトップに上り詰めたいと考えている人には絶好の文化です。しかしチームワークを重んじ、物事が整理された環境で仕事をしたい人には向きません。
組織の文化がわかると、自分が何をするべきなのかが見えてきます。仕事をしていて、何か違和感を覚えたら企業文化を見極めてみるといいかもしれません。仕事の進め方の問題点や課題が見えることもあるからです。
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