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理想主義、現実主義のどちらが成功しやすいかはビジネス領域によって変わる

公開日2021/10/09 更新日2021/10/10

理想を掲げることの大切さと現実を見据えることの大切さは、どちらも格言としてよく耳にします。実際のところ、どちらの考え方が正しいのか正確に答えるのは難しい面があるでしょう。しかしビジネスの世界では、分野によってどちらの考え方が適しているのか、ある程度はっきりと分かれます。

今回は、ビジネス分野における理想主義と現実主義について考えてみましょう。

理想主義、現実主義とは

理想主義とは高い理想を掲げ、そのもとで計画的に努力を積み重ねていくことです。理想主義の下では日常的な行動はすべて理想の実現につながる内容になり、現実的な状況を理想に近づけるように努力を積み重ねます。

この典型例として挙げられるのがプロスポーツの分野です。例えばある少年が「プロ野球選手になる」との理想を掲げていたなら、日々の努力や練習、あるいは進路の選択は、すべてこの理想の実現につながるように行われます。

一方で現実主義とは、はっきりとした理想を掲げずに、その時々の現実的状況に身を委ねることです。場当たり的判断ともいえますが、現実に即した合理的な判断を取りやすいといえます。

現実主義の典型例ともいえるのが、日本史における明治維新です。明治維新に向けた活動は、当初「攘夷(じょうい)」という外国を拒絶する考え方の広まりから始まります。

ところが明治維新を進めていく中で西欧列強の強さを知り、戦うのではなく手を結んで貿易をした方が良いことに気づき、方針をがらりと変えていきました。

現実的な状況を踏まえ、攘夷という当初の考え方を捨てて、開国・貿易の考え方に態度を変えたわけです。

理想主義が向いているのは成熟した業界

理想主義を貫く上で大前提となるのは、状況・環境が大きく変化しないことです。大きな理想を掲げても、状況・環境が大きく変わってしまってはその実現への努力は無駄になってしまいます。

野球少年の例でいえば、野球をしてお金を貰えるというプロ野球の制度そのものが近い将来になくなるとしたら、プロ野球選手になるという理想は無意味になってしまいます。プロ野球選手になるという理想は、プロ野球という制度的状況が今後も続くことを前提として初めて成立するわけです。

言い換えると、状況・環境が不変の領域であれば、理想主義は有用であるといえます。

ビジネス分野でいうと、例えば不動産業などは、建物・土地などの不動産の仲介をするというシステム自体は、時代がどれだけ変遷しても変わりません。保険の仕組みなども、制度や内容に変化があっても「保険者がいて被保険者がいる」という基本構造は同じです。

こうした根本的な「ルール」に変化がないもの、いわば成熟した業界については、早い時期に理想を掲げて、早いうちからルールに合わせた努力を積み重ねることが成功につながります。

現実主義が向いているのは変化の激しい業界

一方、ビジネスの基本構造が決まっていない分野もあります。その典型例がIT業界です。

一昔前だとサーバー、ソフトウェアなどの情報システムは使用者が機器を用意して自社運用するのが基本でした。ところが直近のわずか数年のうちに、情報システムがネット経由で提供されるクラウドサービスが主流になりつつあります。システムのあり方自体が数年のうちに根本的に変わり、ビジネスのあり方も大きく変化しているわけです。

こうした業界では、理想を掲げて計画を立てるという方法は適していません。新技術の開発・登場に応じて柔軟に自社の方向性を変え、時代の流れに合ったビジネスのあり方を考える必要があります。

理想に固執しすぎると、時代に取り残されて失敗する恐れがあります。

明治維新の例でいうと、もし攘夷の考え方を捨てずにいたら、日本は西欧列強と戦争になり、明治政府は早々に崩壊していたかもしれません。

状況に合わせて開国・貿易の道を選んだことで、明治の日本は無事に発展を続けることができたわけです(しかしその後昭和になってから、「大東亜共栄圏」という理想を掲げて失敗したのはご存じの通りです)。

環境に応じて主義を選択するという考え方

スポーツや音楽、伝統芸能のように、基本的なルールや取り組み方、求められる技術に大きな変化が生じにくい領域であれば、理想を掲げて物事に取り組むことは適しています。

ビジネスの分野であれば、不動産業、保険業以外にも、意外なところで富山の薬売りも該当します。富山の薬売りは家庭に訪問して常備薬を補充していくという販売方法を、江戸時代から変わらずに現在も行っています。この場合、営業の基本的なあり方は不変であり、より理想的な営業方法(合理的な顧客管理手法など)を身に付けた企業・ビジネスマンが成功するでしょう。

一方、変化の激しいIT業界などでは理想的な勝ちパターンなどはなく、理想を掲げることは環境変化に柔軟に対応することへの阻害要因にさえなりかねません。現実に柔軟に対応し、自らの行動パターンや考え方を変えていくことが成功につながります。

つまり、理想主義と現実主義のどちらが望ましいのかは環境・分野によって異なるわけです。「現実主義と理想主義はどちらが正しいか」ではなく、「この環境においては、現実主義と理想主義のどちらが適切か」と考えるのが妥当といえます。

まとめ

高い理想を掲げて計画的に努力を続ける理想主義と、理想を掲げずに状況に応じて場当たり的に物事に取り組んでいく現実主義は、環境によってどちらが適しているのかが変わってきます。

ビジネスの場でいうと、根本的なルールが変わらない不動産業や保険業、富山の薬売りなどは理想的なビジネスのあり方が明確であり、成功を目指す上では理想主義の考え方が適しています。一方、環境変化が激しいIT業界などの場合は、時代状況に柔軟に対応する必要があるため、現実主義の考え方が成功に近づくといえます。

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