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後継者不足が課題となっている中小企業の支援策として、政府は今年度中に「アトツギ支援ネットワーク(仮称)」の創設を検討しています。
アトツギ支援ネットワーク(仮称)とはどのようなサポートを目的として創設されるのか、その内容とはどのようなものか、解説していきます。
アトツギ支援ネットワーク(仮称)は、中小企業庁によって提言されている中小企業後継者を対象とした支援策のことです。
後継者不足に悩む中小企業が増加する中、そのための対策として年度内での創設を目指すとされています。
●中小企業の後継者をサポートする支援策
事業承継によって中小企業の事業を引き継いだとしても、その後の事業運営に不安を感じる若手経営者が少なくないと言われています。
事業は継承したものの誰にも相談できずに悩んでいるケースも多いことが指摘されており、その実態を踏まえた上でアトツギ支援ネットワーク(仮称)の創設が提唱されました。
アトツギ支援ネットワーク(仮称)は、後継者不足に伴う廃業を防ぐとともに、事業を引き継いだ若手経営者のチャレンジをサポートする目的で創設されます。
●後継者不足による廃業が多い
経営が順調で事業運営をしていく上で何の問題もない中小企業であっても、高齢化した経営者の跡継ぎがいないばかりに廃業せざるを得ない例が後を絶ちません。
事実、2021年度は後継者不足を理由に倒産した企業(負債1,000万円以上)は400件を超えていて、2013年に調査が始まって以来最多を記録しています。
年々増加する後継者不足による倒産を背景に、政府は「事業承継・引き継ぎ支援センター」の開設を行うなどして後継者問題解消に注力してきましたが、さらに今回アトツギ支援ネットワーク(仮称)を創設することによって事業引き継ぎ以降の不安をサポートできる体制の構築を目指すこととなったのです。
●新たなチャレンジを後押しする環境の必要性
一昔前なら事業承継は親族間で行われることが多く、場合によっては有能な社員に引き継いでもらうこともよく見られましたが、先述のとおり現在ではそうした場面も減り、後継者の見つからないまま廃業に追い込まれる例はあちこちで見られるようになってしまいました。
また、事業承継をきっかけとして新たな取り組みにチャレンジしたくても思うようにいかず、結果挫折してしまうケースも多々あります。
これまでの事業に加えて新規の事業に挑もうと考える若手経営者もいれば、業種を転換して新たな一歩を刻もうと考える若手経営者もいます。
そうした若手経営者に向けたサポートも、アトツギ支援ネットワーク(仮称)の掲げる柱の一つとなっているのです。
では、アトツギ支援ネットワーク(仮称)とはそもそもどのような内容のサポートを受けられるのでしょうか。
現在検討されている主な内容についてご紹介します。
●不安解消のための相談サポートを充実
アトツギ支援ネットワーク(仮称)の創設に伴って検討されている具体的な内容は、
以上のようになっています。
相談サポートの充実は、事業の先行きに不安を抱いている若手経営者にとっても必要不可欠な取り組みです。
中小企業は、日本の技術力に欠かせない存在であるだけでなく、雇用面を支える意味でも重要度の高い存在です。
中小企業庁の資料によれば、2016年6月時点における中小企業・小規模事業者の数は358万弱となっており、企業全体の実に99.7%を占めています。
「後継者がいない」・「事業の先行きが見通せない」などの理由から、日本の雇用を支えている中小企業が簡単に廃業してしまっては雇用の根幹を揺るがしかねない事態に発展しかねません。
アトツギ支援ネットワーク(仮称)創設の理由は、そうした危機感による部分も大きいのです。
●資金調達手段の充実
事業を引き継いだ若手経営者が、新たな事業や事業の転換に踏み出そうと考えても、資金繰りの難しさから断念してしまうこともあります。
大きな企業と比較すれば中小企業経営者の信用力は決して高いとは言えませんので、金融機関に相談したとしても新たな事業に充てられるだけの融資をしてもらうのが困難な場合も多いのです。
弁護士や税理士などへの相談サポートをいくら充実させたところで、事業の根幹をなす資金調達がスムーズにいかなければそもそもの問題解決にはなりません。
アトツギ支援ネットワーク(仮称)には、そうした資金繰りに悩む若手経営者に対し、よりスムーズな資金調達が可能となるような支援も期待されています。
●交流による成長速度アップ
アトツギ支援ネットワーク(仮称)は、岸田首相の掲げる「新しい資本主義」の一環のもとに進められる支援策です。
いわゆる「スタートアップ企業」と呼ばれるような新興企業経営者と、中小企業の事業を引き継いだ若手経営者との交流促進も検討されています。
また両者の交流促進によって、「さらなる成長の促進(成長速度のアップ)」という相乗効果も期待できます。
ご紹介してきましたように、現在中小企業を取り巻く跡継ぎ問題に焦点を当てた支援策がアトツギ支援ネットワーク(仮称)であり、新たな担い手を呼び込むためのサポート体制作りでもあります。
後継者不足に悩む高齢の経営者、そして新しく中小企業を担っていくことになる若手経営者の双方にとっての課題が解消され、より有益なものへと発展していくような環境の整備が待ち望まれます。
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