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早期退職制度を導入し、従業員の若返りによる組織活性化や若手のキャリア形成を図る企業が増えています。昨今の世界的なパンデミックをはじめ、原油の高騰や円安など、企業にとって先行き不透明な時代が到来しました。今回は早期退職制度の概要や目的、メリット・デメリット、注意点について解説します。
早期退職制度とは、定年よりも早めに退職したい希望者を募集し、割増退職金を支給する制度のことです。わかりやすく言えば「少し多めの退職金を支払うから、早期退職しませんか?」という制度です。
早期退職制度の内容は、あらかじめ就業規則や退職金規定などに明記しておきます。
内容として、一定以上の年齢や勤続年数など、対象となる従業員を絞り込んでおくケースが一般的です。
早期退職制度を設ける目的や意義は、大きく次の二つに集約できます。
●従業員のライフプランの支援
従業員一人ひとりが、さらに自由な生き方・働き方を模索できるためには、企業は早期退職制度を設ける必要があります。
日本は長寿国として有名ですが、ここ近年は「人生100年時代」と政府も公言しています。昭和までは「一度就職したら定年まで安定して働ける」というのが一般常識でしたが、平成に入った頃から神話が崩れました。これからは、会社が上で従業員が下という関係性ではなく、互いの成長を尊重し合いながら発展する時代です。早期退職制度の目的は、企業の想いと従業員の想いが合致した制度だともいえるでしょう。
●利益向上や新陳代謝
早期退職制度設置のもう一つの目的は、組織の利益向上や新陳代謝です。
急速なコスト高が企業を圧迫していることから、ジョブ型雇用の導入が今後益々加速すると思われます。企業利益に貢献できない在籍中のローパフォーマーを、人員削減するのも大きな目的です。また、人件費削減を図ることから「希望退職」と呼ぶこともありますが、目的は違います。希望退職制度は一時的な人員整理が目的であり、早期退職制度は長期的視点による組織の利益向上や新陳代謝などを目的とします。
企業が早期退職制度を導入するにあたり、当然ながらメリットとデメリットが生じます。
●企業から見た早期退職制度のメリット
・メリット1:人件費削減
定年までの期間がある従業員が早期退職制度を利用することにより、企業側にとっては人件費を長期にわたり大幅削減できます。人件費削減による立て直しができるため、業績悪化が懸念される企業のみならず、大手企業や行政でも取り入れられています。
・メリット2:若返りによる組織の活性化
おのずと従業員の若返りが起き、組織の活性化を実現できるメリットもあります。
中高齢層の経験値は大切ですが、属人化により若手従業員の躍進を妨げられたり、年功序列による給与・昇進問題が起きたりと、従業員間の信頼関係が崩れる可能性もあります。早期退職制度の導入により若手の活躍機会が増え、時代に合った優秀な人材を育てられるのもメリットです。
●企業から見た早期退職制度のデメリット
・デメリット1:短期的なコスト増加
早期退職制度の導入後、制度を利用する従業員の数によっては、退職金プラス優遇措置による上乗せ金額、有休の買い上げなどによる支出が生じます。想定人数を多めに設定し、対応できる資金を準備しておきましょう。
・デメリット2:想定外の有能な人材流出
早期退職制度の規定内容によっては、残ってほしかった有能な人材が退職してしまう可能性があります。あらかじめ、勤続年数や年齢、部署、職種などの制度適応条件を設定しておきましょう。
内閣府のHPには、早期退職募集制度の募集・割増措置が記載されているので参考にしてください。
早期退職制度の設置や運用時には、以下の点に注意しましょう。
●注意ポイント1:規定策定には十分な時間をかける
早期退職制度の導入にあたり、就業規則への追記をはじめ、退職金規定など策定には十分な時間をかける必要があります。
自社の目指す内容にする必要があるため、他社のマネや単なるインターネット情報ではなく、専門家を交えて作成してください。
●注意ポイント2:有能な人材の流出に注意
早期退職制度の規定作成に関連して、有能な人材が退職しないよう、あまりにも有利な内容にしないほうが賢明です。ただし、従業員からの希望を拒否することはできないので、強引な引き留めには留意してください。
●注意ポイント3:情報流出に注意
早期退職制度を利用して退職する従業員の多くは、おそらく同業他社に転職するでしょう。制度規定に記載するのはもちろんのこと、必ず秘密保持契約書を提出していただくことが大切です。
●注意ポイント4:丁寧な説明で誤解を避ける
従業員から「会社の経営が危ないのか?」「首切りにかかっているのか?」といった不信感を持たれないよう、早期退職制度を導入する意図を丁寧に説明しましょう。
早期退職制度を導入する前に、規定の策定などには十分な時間をかける必要があります。また、制度のメリットとデメリット、注意点について十分に把握し、専門家を交えて導入・活用してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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