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企業は自社の商品・サービスに対する印象を少しでも良くするために、広告やパッケージの制作に工夫を凝らし、多額の費用もかけています。
しかし、本来の商品・サービスよりも良く見せようとすることは、消費者に多大な損失を生じさせる必要があるため、景品表示法において禁止されています。そのような誇大広告の一つが「優良誤認」です。
今回は、優良誤認とは何か、消費者庁に疑われたらどうなるのか、防ぐためにはどうすればよいかについて詳しく解説します。
優良誤認とは、自社商品・サービスの広告やパッケージなどに以下のような表示を行うことで不当に顧客を誘引し、消費者が合理的・自主的な選択を行うことを妨げる恐れがある表示のことです。
・実際よりも、著しく優良であると表示している。
・事実に反して、ライバル企業の商品・サービスよりも著しく優良であると表示している。
例えば中古自動車を販売するにあたって、広告に「走行距離5万キロ」と表示していたのに、実際には15万キロ以上走行していたことが判明した場合は優良誤認表示です。
また、ある企業が洗濯用洗剤を販売するにあたって、商品の背面に「業界初!99%の除菌効果」と表示していたとします。しかし、実際には90~95%ほどしか除菌できず、他企業の商品よりも優れてはいないことが判明した場合は優良誤認表示です。
なお、優良誤認表示と認められるのは「事業者が表示を行っている場合」「事業者が供給している商品・サービスに関する表示の場合」です。ここでいう事業者とは企業だけでなく、医療法人、社団法人、学校法人など、何らかの経済活動を行っているあらゆる事業者が対象とされます。
優良誤認と似たものとして、「有利誤認」があります。有利誤認とは自社商品・サービスの広告やパッケージなどに、以下のような表示を行うことで消費者に誤認を与える表示を指します。
・事実に反して、価格その他の取引条件に関し、商品・サービスの購入者が著しく有利になると表示している。
・事実に反して、価格その他の取引条件に関し、ライバル企業よりも自社の商品・サービスを購入した方が著しく有利になると表示している。
例えば、金融機関が外貨預金の受取利息の金額を手数料抜きで広告表示していたのに、実際には手数料が差し引かれ、受取額が表示されていた金額の半額以下だった場合は、有利誤認表示に該当します。
また、引っ越し業者が「今月は3割引きで業界最安値!」と広告表示していたのに、実際には3割引きよりも高額で、業界最安値ではなかった場合は有利誤認表示です。
つまり、優良誤認が商品・サービスの品質の面で実際以上に優良であると表示するのに対し、有利誤認は商品・サービスの価格の面で実際以上に有利であると表示することです。
消費者など外部からの訴えなどがあり、消費者庁が特定の事業者に対して優良誤認の疑いを持ったときは、関連資料の収集および対象事業者への事情聴取などが行われます。
なお、消費者庁には景品表示法違反に関する情報提供を受け付ける専用の窓口があります。現在ではスマホ・パソコンを使ってインターネット上からでも情報提供が可能となっていて、消費者からの連絡は集まりやすい状況にあるといえます。
各種調査の結果、事業者側に景品表示法の違反行為が認められたときは、行政処分が行われる前に、事業者側に弁明の機会が与えられます。もし事業者側が申し出たい事項がある場合は、論拠となる資料を示しながら説明が可能です。正確な判断を行うために、消費者庁の方から事業者側に対し、言い分の合理的根拠を示す資料を出すように求める場合もあります。
事業者側の弁明が退けられ、違反行為があったと判断されたときは、行政処分が行われます。行政処分は大きく分けて措置命令と課徴金納付命令の2種類があります。
●措置命令
景品表示法第7条で規定されている行政処分です。①不当な表示によって消費者に与えた誤認を正すこと、②再発防止に取り組むこと、③①と②の実施に関連する公示を行うこと、④その他必要な事項、の4点に関して事業者側に命じます。②は消費者庁、③は消費者に向けての報告が必要です。消費者に向けての報告方法としては、日刊全国紙2紙での社告を求めるケースが多く見受けられます。
参照元:https://growth-law.com/page-1430/page-2702/#i-2
●課徴金納付命令
景品表示法第8条で規定されている行政処分です。課徴金の額は、課徴金対象期間中の対象商品・サービスの売上高の3%と定められています。課徴金対象期間は、原則として不当表示の開始日から不当表示の終了日までです。
参照元:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/160208premiums_3.pdf
事業者側が意図しない形で優良誤認表示を行う恐れもあるため、防ぐための対処法を考えておくことも大切です。
基本的な防止策としては、広告・パッケージの内容確認を担当部署以外が行うことが挙げられます。通常、広告・パッケージの制作はマーケティング担当者が行うのが通例です。しかし、別部署の人にもチェック担当の業務を担ってもらい、消費者の目線から問題がないかを確認してもらうと、不当表示を発見できる可能性が高まります。
また、「業界初!」などの表示をする場合は、その根拠となる資料を必ずそろえておきましょう。もし消費者庁から資料の提示を求められた場合、客観的なデータを示すことができれば行政処分を避けることができます。
消費者庁は「不実証広告ガイドライン」の内容をインターネット上で公表し、どのような資料が表示の合理的な根拠となるのか、その要件を示しています。資料を用意する場合は、消費者庁の要件をクリアするものを用意しておくことが必要です。その他にも、優良誤認にあたる具体例などが紹介されていますので、消費者庁のホームページを確認しておくと良さそうです。
優良誤認表示とは、商品・サービスの品質が実際以上に優良であるとの偽りの表示を広告・パッケージにおいて行うことです。行政処分自体は、企業にとってはそれほど大きなダメージではないのかもしれません。しかし「行政処分を受けるような悪質なことを行っていた」というイメージを持たれることは、企業にとって大きなダメージです。そのことがきっかけで社会的信頼を失い、その後の売り上げが激減するという事態も招きかねません。
優良誤認は意図しない形で起こることもあるため、社内で広告・パッケージのチェック体制を整えることが大事です。また、自社の商品・サービスが特別優良であるような表示を行う場合は、その客観的根拠を示す資料を用意しておく必要があります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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