公開日 /-create_datetime-/
2017年7月にユニセフ(国連児童基金)とWHO(世界保健機関)が発表した資料によると、世界では21億人(世界人口の約3割)が安全な水を自宅で入手できず、45億人(世界人口の約6割)が安全に管理されたトイレを使うことができていない現状があるとのことです。
なかでも、幼い子どもにとって、安全な水や衛生管理のされたトイレを使用できないことのリスクは深刻です。JMP(ユニセフとWHOの共同監査プログラム)では、汚染された水や不衛生な環境がコレラや赤痢、A型肝炎、腸チフスといった感染症の伝染に関連していること、毎年36万人以上の5歳未満児が下痢によって命を落としている状況についても報告されています。
こうした現状を背景に、2015年9月に国連のサミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)では、17の目標のひとつとして『安全な水とトイレを世界中に』というテーマが掲げられています。
今回は、同テーマに関する企業の取り組みの事例を紹介していきます。
住宅設備機器・建材メーカーの株式会社LIXILでは、開発途上国向けに簡易トイレを開発し、寄付・販売する取り組みをおこなっています。
LIXILでは2017年4月から、一体型シャワートイレが1台購入されるたびに、同社が開発した簡易式トイレ「SATO」1台を開発途上国に寄付するというシステム、「みんなにトイレをプロジェクト」を展開。同プロジェクトでは2017年4月~9月の半年間の実施で20万8805台、2018年4月~9月の実施では20万3454台の「SATO」が開発途上国に寄付されたようです。
ちなみに、このプロジェクトで寄付される簡易トイレ「SATO」は、開発プロジェクトの中心となったデザイナーが実際にバングラデシュに滞在し、現地の人のニーズを把握して開発されたものとのこと。設置が簡単なことに加えて、わずかな水で洗浄ができ、悪臭や虫を防げることが大きな特徴となっています。
なお、LIXILがおこなった2017年度のプロジェクトでは、緊急性が高いとされる、バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプに5000台の「SATO」が寄付されたほか、インドの農村部にあたる、ワグホーリ村のトイレが無い家庭などを対象に寄付がおこなわれました。2018年度のプロジェクトでは、学校を中心に寄付をおこなっていく予定です。
今回、同社が寄付をおこなう先に学校を選んだ背景には、学校にトイレが無いために、生理になった子どもが学校を欠席しなければならなかったり、トイレが無いことを理由に教師が着任したがらなかったりといった理由があります。「トイレが無い」という理由で、子どもたちの学習機会が奪われるのは、開発途上国の深刻な問題と言えるでしょう。
一方、「安全な水」を世界の子どもたちに届けることを目的としたプロジェクトとしては、博報堂DYグループが日本ユニセフ協会と共同でおこなった「TAP PROJECT JAPAN」があります。
この「TAP PROJECT」はもともと2007年にニューヨークではじまった取り組みです。無料で提供される飲食店などの水に対して募金をすることで、世界の子どもたちに清潔な水を届けようというプログラムになっています。同プロジェクトの日本版である「TAP PROJECT JAPAN」は、飲食店で提供されるお水やお茶に対して募金されたお金が、マダガスカルでユニセフがおこなっている、水と衛生への取り組みに対する支援に活用されることになっています。
アフリカ南東部の島国であるマダガスカルでは、子どもたちが安全な水を手に入れるために毎日何キロも離れた水源まで水をくみに通っているほか、農村部では住民の3人に1人しか基本的な飲み水を手に入れられない現状があることが報告されています。
2009年に「TAP TOKYO」としてはじまった「TAP PROJECT JAPAN」は、2018年の8月で終了しましたが、10年の実施期間の間に、同プロジェクトには東京・千葉・神奈川など関東の飲食店のほか、北海道のとんかつ店や大阪、京都のカフェやレストランなどが参加しました。なお、「TAP PROJECT」はアメリカや日本以外に、フィンランドやカナダ、ニュージーランドなどでも実施されています。
上記以外にも、近年ではコカ・コーラ社が、2020年までにアフリカ全土で少なくとも600万人が安全な水を確保できることを目指すプロジェクト「RAIN」を展開するなどの動きを見せています。しかし、SDGsの目標のなかでも「安全な水とトイレ」に関する具体的な取り組みをおこなっている企業はまだまだ少ないのが実情です。
国内では上記のLIXILが積極的な支援活動を展開していますが、今後こうした動きが他の企業にも広がっていくことが期待されます。
社印・社判を必要とする文書の電子化
組織を成功に導くサーベイツールの選び方
業務委託契約(Service Agreement)の英文契約書を作成する際の注意点を弁護士が解説
社員寮・借り上げ社宅の管理業務を削減するには
英文契約書のリーガルチェックについて
職場の働きやすさを左右する重大要素、若い世代が望む理想の上司像とは?
「衛生管理者」の仕事を分かりやすく説明!難易度や試験内容なども
スシローなど外食チェーンが今年も一斉休業を実施、環境改善の一環 高島屋は正月営業日を見直し
「父親の仕事と育児両立読本~ワーク・ライフ・バランスガイド~」の活用法
管理職を対象に「ポストチェンジ制度」を導入の京王電鉄。ライフステージに応じた“柔軟なキャリア形成”を支援へ
社員の生産性を高める「ワーク・エンゲージメント」とは?~メンタルヘルス不調や定着率・離職率との関連について~
資金繰り・キャッシュフロー改善にも貢献 BtoB後払い決済・請求代行が生み出すメリット
【衛生管理者の基本がわかる!】衛生管理者の選任と活動内容
三菱総研DCSが取り組む「ダイバーシティー経営」への第一歩
電子契約における代理署名・代理押印
基本給の決め方とは?基本給設計する4つのポイント
Reaching across the Aisle/民主・共和両党が団結!「有給家族休暇」制度改革への挑戦 育休制度が先進国下位のアメリカ【英語ビジネスニュース】
最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業 など|4月22日~4月28日官公庁お知らせまとめ
大阪万博に向け、会社員10万人が1000トンのCO2削減 「脱炭素エキデン365」パソナほか
【エンゲージメントサーベイ】サーベイ後に“アクションを起こした”企業の方が「生産性」・「業績」が向上している結果に
公開日 /-create_datetime-/