「自分の市場価値」を知らないと陥る失敗とは｜士業資格者が転職を成功するために抑えておきたい６つのポイント

転職を成功させるためには、「自身の市場価値を把握すること」が重要です。市場価値を理解することで、自分の何が価値があるのか、それがどの程度の年収に反映されるべきかを理解できます。
特に専門分野を持つ士業の方は、自分の市場価値を理解することで、高年収につながる可能性が高まります。

具体的な方法としては、転職エージェントやスカウト型転職サイトを利用して、紹介される求人の年収や役職から自分の市場価値を診断することや企業からスカウトを受けることなどがあります。
自分に対する市場の評価を見極めることで、希望に近い環境を見つけ出すことができるでしょう。
本記事では、「弁護士」「公認会計士」「税理士」を中心に、士業の方の市場価値や年収に関して解説していきます。

自分の市場価値はどう把握する？

転職による年収アップを狙うためには、まずは自分の市場価値を理解しましょう。具体的には、自身のスキルと経験、同業界・同ポジションの平均年収、職業動向、人材需要、そして個人の強みと改善点を深く理解し分析することが必要です。

以下の5つの方法を使って、市場価値を理解していくことをおすすめします。

①自己スキル分析

自分が持っているスキルと専門知識をリストアップしたあと、それらがどの程度の価値を持つかを調査します。スプレッドシートやドキュメント、どのツールでも良いので、使いやすいものにまとめましょう。

②業界動向の調査

自分が活動している業界の最新のトレンドや変化を理解するために、ニュースや業界報告をまとめる習慣をつけましょう。新しい技術、法規制の変更、業界の成長または衰退は特に重要です。それらの情報から自分のキャリアやスキルセットに関連しているものをまとめていきます。

③平均給与の調査

自分の職業や地域の平均給与を調査します。これは、自分の給与が公正かどうかを評価するのに役立ちます。もし平均給与との乖離がある場合は、同職種の人のスキル、経験、責任範囲と自身のものを比較します。

以下に、士業の一般的な平均年収を挙げます。

弁護士

公認会計士

税理士

なお、これらは​​経験とスキル、役職により大きく変わるため、あくまで一般的な平均値としてご理解ください。

④人材需要

SNSなどを利用して、他のプロフェッショナルとのネットワークを構築しましょう。そこで情報交換をすることで、現役の生の情報を元に自分のスキルと経験が市場でどのように評価されているかを把握することができます。

⑤転職エージェントを活用する

自分の市場価値を理解するためには、転職エージェントと相談することも効果的です。エージェントは業界のトレンドや、あなたのスキルと経験がどのように評価されるかを知っています。そのため、彼らはあなたの市場価値を正確に評価し、適切なキャリアアドバイスを提供できます。

自分の市場価値を知ったらどう高年収につなげる？

今までの分析を元に、自分の弱点を理解し、それらを改善するための学習やトレーニングをしましょう。足りない部分を改善する具体的な目標を設定し、行動計画を立て、定期的に進捗確認と計画の調整をおこないます。

面接の際に重要なアピールポイントにもなるため、これまでのものと同様にドキュメントでまとめておくことが大切です。
また、以下のようなステップを考えてみると良いでしょう。

専門知識を深める

まずは自分の専門領域における知識を深めることが基本です。「弁護士」「公認会計士」「税理士」など、士業の職種は専門的な知識が必要となるため、その深化は市場価値を高める重要な要素となります。法律の最新動向、税制の改正、会計基準の変更など、常に最新の情報を得て自身の知識を更新しましょう。

経験を積む

一方で、専門的な知識だけでなく、実際の業務経験も市場価値を高めるためには不可欠です。例えば、税理士であれば、さまざまな産業や規模の企業の税務処理に携わることで、多角的な視点を持つことができます。

コミュニケーション能力を磨く

士業の仕事は、クライアントと密接に関わるものです。したがって、クライアントとの良好な関係を築き、信頼関係を構築することが重要です。そのためには、クライアントのニーズを理解し、適切なアドバイスを提供するためのコミュニケーション能力が求められます。

ネットワーキング

さらに、自分のネットワークを広げることも大切です。業界のセミナーや研究会に参加し、同業者や異業種の人々との交流を深めましょう。これにより、新たなビジネスチャンスを見つけることができます。

専門性を証明する資格を取得

自分の専門性を証明するために、さらなる資格取得を考えることも一つです。例えば、公認会計士であれば、米国公認会計士（CPA）や英国公認会計士（ACCA）などの資格を取得することで、「国内の監査法人から海外へ出向」や「海外で現地の企業に転職」などの選択肢も取ることができます。

自分のブランドを構築

自分自身のブランドを構築することもまた有効です。SNSやブログを通じて専門的な記事を発信したり、セミナーなどで講師として登壇したりすることで、自身の専門性をアピールすることができます。

これらのステップを通じて、士業の方々は自身の市場価値を高め、より高い年収を期待することができるでしょう。それぞれのステップには時間と労力が必要ですが、長期的な視点で取り組むことが重要です。

転職時の面接で年収を転職理由に挙げるのはあり？

年収を転職の理由として挙げることは一般的に受け入れられていますが、あまり好ましくはないと言えるでしょう。もし挙げる場合は、自己成長やキャリア進展など、他の要素を組み合わせることが重要です。

年収は生活の質や将来の安定性に直結する重要な要素であり、それを改善したいという願望は合理的です。しかし、年収だけを理由にすると、金銭的な要素だけを重視する人物と見られ、雇用者にとっては少々警戒すべきと感じられるかもしれません。

年収の増額希望とともに、自己成長やキャリア進展など、他の要素を一緒に挙げることで、あなたが全体的なキャリアの発展を追求しているという印象を与えることができます。これはあなたが自己投資と自己改善に意欲的であり、長期的に会社に貢献する可能性があるという強いメッセージを送ります。

その際は、必ず根拠を明確にし、面接官の信頼を得ることを最優先しましょう。根拠があいまいな希望、たとえば、「転職の目的はキャリアアップなので、100万円くらいは年収を上げたいです」などのメッセージは好ましくありません。前職より高額な年収を希望するのであれば、自身の経験・スキルを活かして相手企業にどれほど貢献できるかを明確に語れなければ、納得を得にくいものです。

また、「他社からは年収○○円でオファーを受けている」と、併願企業の提示額を引き合いに出して交渉するのはリスクが大きいと言えます。相手企業から「どうしても採用したい」と思われていれば、このような交渉が効くこともあります。しかし、採用／不採用のボーダーラインであれば、他社と天秤にかけて金額を吊り上げようとするような駆け引きはマイナス印象を与える可能性が高いでしょう。

選考通過を意識しすぎるあまり、希望年収を低めに抑えて伝えるのは好ましくありません。企業が内定を出す際、事前に伝えられた希望年収額をもとに、内定時の提示年収を決定します。内定通知後に、「やはり年収を上げてほしい」と交渉を始めても、相手企業の心証を損ね、信頼を失うことにもなりかねません。

転職時に後悔しないために見ておくポイントは？

士業の方が転職を考える際に注目すべきポイントとその重要性について説明します。転職して後悔しないためには、年収や仕事内容、社風、昇進の機会、ワークライフバランス、教育・トレーニングの機会を重視すべきです。

年収は生活設計、仕事内容はやりがいと成長、社風は働きやすさ、昇進の機会はキャリア成長、ワークライフバランスは生活の質、教育・トレーニングの機会はスキル向上と市場価値に直結します。これらを見落とすと後悔の原因となります。

年収

転職することで得られる経済的な報酬を把握するために重要です。年収が大幅に下がる場合、生活水準の維持や将来の生活設計に影響が出る可能性があります。

仕事内容

自分がやりがいを感じ、成長できる仕事かどうか確認する必要があります。異なる仕事内容に未熟なまま転職すると、期待外れの結果を招く可能性があります。

社風

自分が働きやすい環境かどうかを確認するために重要です。社風に合わない場合、職場でのストレスが増え、パフォーマンスや生活の質が下がる可能性があります。

昇進の機会

職業成長を目指す場合、昇進制度やキャリアパスが明確に示されているかどうかを確認することが重要です。明確な昇進の道が無い場合、キャリアの成長が停滞する可能性があります。

ワークライフバランス

働く時間と自由な時間のバランスは、ストレス管理や生活の質に大きく影響します。過度に長い労働時間が求められる企業では、健康や家庭生活が犠牲になる可能性があります。

教育とトレーニング

新しいスキルを学び、自己を成長させる機会が提供されているかどうかも重要です。教育やトレーニングの機会が乏しい場合、自己のスキルや知識が時代遅れになり、市場価値が下がる可能性があります。

まとめ

士業の方が転職時に年収を上げるためには、自身のスキルを常に強化し、市場価値を上げることが重要です。これは、最新の知識を学び、新しいスキルを習得することにより達成できます。

セミナーや研修を活用し、新たな資格を取得する。業界のイベントに参加したり、専門家のグループに参加するなど、情報交換の場を増やし、人脈を元に新たな機会を探求する。

さらに、年収の高い転職を成功させるためには、自分の価値を適切に伝え、適切な報酬を求める交渉力を持つことが必要となります。自己PRのスキルを磨き、市場価値についての知識を深めていく。そして、最終的に自分の市場価値を高め、納得のいく転職を目指していきましょう。

また、これらのプロセスをスムーズに進めるためには、転職エージェントの利用が有効です。エージェントは市場の動向を理解しており、個々のスキルと経験をどのように評価し、最適な仕事を見つけるかを助けることができます。これにより、年収を上げる目標をより早く達成することが可能となるでしょう。