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令和5年(2023年)5月、「不当景品類及び不当表示防止法」(以下、「景表法」)を改正する「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律」(以下、「令和5年景表法改正法案」)が公布されました。
景表法の改正は多くの事業者に影響を与えるものであり、「知らなかった」ではすまされないケースが今後あるかもしれません。
本記事では、令和5年景表法改正法案のポイントや詳細などについて解説します。
目次【本記事の内容】
今回改正されることになった景表法ですが、商品やサービスの質や価格、内容などを偽って表示することを規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐ目的で制定されている法律です。 優良誤認表示や有利誤認表示など、いわゆる「不当表示」の禁止などが規定されています。
令和5年景表法改正法案が提案、可決された背景として、通信販売およびインターネット広告市場の拡大が挙げられます。過度な インターネット広告が問題となる中で、事業者が法令を遵守し、消費者をいっそう保護することを目的に、このたびの改正が行われたと推測できます。
あらためて各改正案のポイントを説明します。
今回の改正では、各社の自主的な是正措置を促すことを目的に、景表法にも「確約手続き」が導入されることになりました。 優良誤認表示等の疑いのある表示等をした事業者が、是正措置計画を作成し、内閣総理大臣から認定を受けた場合、措置命令や課徴金納付命令の適用を受けないことが確約されます。
これまでの景表法では、課徴金制度における返金措置として金銭を交付する方針でしたが、改正後は返金方法として電子マネー等を許容する方針に変わりました。
改正後の規定では消費者の合理的な選択を促進するため、返金可能な電子マネーの条件として、金銭と同程度の価値代替性を有する決済手段であることを規定しています。
従来、課徴金納付命令が出された場合「対象となる商品やサービスの売上額の3%」が課徴金として算出されていました。 今回の改正では、課徴金の迅速な算出を目的に、課徴金の計算の基礎となるべき事実を把握することができない期間における売上額を推計することができる規定を設定。売上額等をより早く、より合理的に推計できるようになりました。
また、繰り返しの違反行為を牽制するため、過去の一定期間に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対しては、対象となる商品やサービスの売上の4.5%を課徴金として徴収する方針へと改正されています。
令和5年景表法改正法案では悪質な事業者を規制するため、違反者に対して100万円以下の罰金という直罰が追加されました。
景表法の改正によって、内閣総理大臣が、外国の当局に対し、当局の職務の遂行に必要な情報を提供することができるようになりました。
一定の場合に、適格消費者団体が事業者に対して、当該事業者による表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の開示を要請できるようになりました。 また事業者は、要請に応じる努力義務を負います。
今後、令和5年景表法改正法案が施行された場合、どのような影響があるのでしょうか。主に、法改正によって以下のような変化が考えられます。
これまで景表法における違反行為が認められれば、企業がどれだけ積極的に是正措置に応じても措置命令や課徴金納付命令は避けられないものでした。 しかし、法改正によって確約手続きが導入されたことで、企業が自主的に是正措置に取り組むメリットが生まれたのです。 令和5年景表法改正法案が施行されれば、企業のいっそうの自主的な是正の取り組みが期待できるでしょう。
従来、商品やサービスの販売元に対する景表法の取り締まりが行われていました。しかしその一方で、悪質な個人アフィリエイターやリサーチ会社、マーケティング会社などへ適切な処罰がなされていないという事例もあったことでしょう。
今回の法改正によって、個人、法人問わず、違法な表示を行う関係者がもれなく規制されるようになることが期待されています。
令和5年景表法改正法案によって悪質な表示の規制が強化された一方で、初犯や悪意のない違反については確約手続きが導入されるなど、温和な対応が図られることも発表されています。
表示に携わる法人や個人は法律を正しく理解し、「絶対に違反しない」という姿勢が一番大切ですが、それと同時に「もし意図せずに景表法に違反した場合、どのような対応を取るのか」ということを事前に決めておくことも重要です。
違反をごまかすために事実を隠ぺいしたり、違反を重ねてしまったりした場合は状況が悪化することがほとんどです。 いつでも誠実な対応をすることを心がけておきましょう。
通信販売やインターネット広告市場の拡充に伴い、令和5年景表法改正法案が制定、公布されました。令和5年景表法改正法案により、従来以上に積極的な企業の改善姿勢が求められるようになるでしょう。
また、これまで規制の対象にならなかった企業やアフィリエイターなどに影響が及ぶことも十分に予想されます。改正景表法は令和6年(2024年)中の施行が予定されています。法務担当者は改正内容をチェックして早めの対応を心がけましょう。
■参考サイト
消費者庁|不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律
労働契約と業務委託契約の違いとは?契約書に記載すべき重要ポイントを解説
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