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ビジネスの場でよく発生する犯罪行為の1つが横領です。令和4年には1,400件以上発生しており、決して他人事ではありません。経営者・管理者は自分を律するのはもちろんのこと、社員・部下が不正行為を働かないように対策を考えることも重要です。 今回は、横領とは何かを紹介した上で、過去に話題になった巨額横領事件を5つご紹介します。
目次【本記事の内容】
横領とは、自分が相手から委託を受けて管理・占有している財物を、無断で自分のものにすることです。
なお、「窃盗」は他人が管理・占有している財物を自分のものにすること、「背任」は自分が相手から委託を受けた任務に背くことで、相手に損害を与える行為のことです。それぞれ横領と似ていますが、意味が異なるので注意しましょう。
刑法において規定されている横領罪には、次の3種類があります。
・単純横領罪(刑法252条)……原則的な類型で、自己が委託を受けて占有している他人の物を横領した場合に成立する罪です。友人から預かったお金を勝手に使い込んだ場合などが該当します。法定刑は「5年以下の懲役」です。
・業務上横領罪(刑法253条)……業務上、自己が委託を受けて占有する他人の物を横領した場合に成立する罪です。法定刑は「10年以下の懲役」であり、単純横領罪よりも重く規定されています。
・遺失物等横領罪(刑法254条)……遺失物や漂流物など、本人の占有から離れた他人の物を横領した場合に成立する罪です。法定刑は「1年以下の懲役または10万円以下の罰金・科料」と軽めに規定されています。
会社のお金を使い込むなどのビジネスの場における横領行為は、横領の中では最も重い刑罰が定められている「業務上横領」に該当します。
過去に話題になった巨額横領事件を5件ご紹介しましょう。なお、横領した本人(元社員)はいずれも逮捕されています。
携帯電話基地局整備事業において、楽天モバイルの元社員が複数の物流会社の社長・常務らと結託し、楽天モバイルに対して水増しした業務委託料を請求していたケースです。
2019~2021年の3年間に約300億円を不正に支払わせていました。楽天モバイルは物流会社らに基地局の部材の保管などの業務を委託していましたが、本来の委託料を大きく上回る額を請求し、増えた分を横領していたわけです。逮捕された元社員は、4億円のタワーマンションに住んでいたといいます。
ソニー生命の元社員が、海外子会社の口座から約168億円相当を不正に引き出し、暗号資産の「ビットコイン」に交換して隠蔽していたケースです。横領を働いた元社員は、海外子会社の清算業務の担当者として経験を積んでおり、そこで得た専門的知識や社員としての信用を悪用して犯行に及びました。
元社員が保管していたビットコインはアメリカ当局によって押収され、その後、海外子会社に返還されています。返還時の額は、ビットコインの値上がりや円安の影響で、被害額を約50億円上回る約221億円にも上り注目をあつめました。
元社員が経理担当者として北越紀州製紙から北越トレイディングに出向し、2000年から約15年にわたって金銭を着服し続けたケースです。北越トレイディングには当時、担保を設定した上で一定金額まで自由にお金を借り入れることが可能な口座があり、元社員はここから勝手に小切手を振り出して換金する行為を続けていました。
当然ながら口座の内容については定期的に会社側に報告する義務がありましたが、元社員は経理担当の立場を利用して、ある時期から巧みに隠蔽を図り、経理書類もごまかしていたようです。いわば打ち出の小づちを持っていたようなもので、銀行側から指摘されるまで15年にわたって横領が続けられました。
大阪府で高校、大学などを運営する学校法人明浄学院の資金を元理事長たち、不動産会社の部長らが着服していたケースです。同法人が高校の土地を売却する際、元理事長が預かり、保管していた手付金の21億円を、不動産会社に送金して隠蔽・着服していました。
日本マクドナルドの預金管理を担当していた財務税務IR部の元社員が、2019年1~10月の間に約7億円を横領していたケースです。同社の当座預金口座から小切手を振り出して換金し、自分の口座に入金していました。横領したお金は、FX投資に使用していたといいます。
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マスコミで報道されるような巨額の業務上横領までいかなくとも、少額の横領・不正行為はどの会社でも起こり得ることです。このような行為を防ぐために、経理部門では、お金の出金の際は複数承認制で行う、小口現金の帳簿残高と実際の残額を定期的に照合する、定期的に内部監査を行う、違法性を周知する研修を行うなど、横領が発生しないような体制・環境づくりも重要といえます。
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