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独占禁止法違反の疑いがある場合に迅速に是正を行うための確約手続(確約計画)という仕組みが平成30年から導入されています。今回は実際の例をもとに、確約手続の概要について解説します。
1本の映画を上映するために、大きく3つの企業が携わることになります。まずは映画製作会社が、資本を投資して映画を作ります。次に、その映画を上映する権利を買い取り、宣伝や営業活動を行うのが配給会社であり、いわば卸売業にあたります。
さらに、今回問題が浮上したTOHOシネマズのように、配給会社と契約を結んで自社の映画館で上映を行うのが興行会社です。こちらは小売業の役割に相当します。
ところがTOHOシネマズは配給会社に対して、ほかの興行会社よりも優先して映画を配給することと、他社の映画館に配給しないことを求めて圧力をかけたとして、独占禁止法違反の疑いがもたれています。
競合相手を排除して市場の独占を図ることや、優越的立場を利用して取引先に圧力を加えることで、公正で自由な競争を阻害する恐れがあります。同時に消費者の利益を損なう行為です。
こうした行為は独占禁止法により厳しく規制されており、違反の疑いがある場合は公正取引委員会が調査を実施します。その上で違反行為が認められた場合、公正取引委員会が排除措置命令を出します。私的独占、カルテル及び一定の不公正な取引方法のあった場合は、課徴金の支払いを命じられることになります。
今回のTOHOシネマズに関しては、独占禁止法第19条に違反する疑いが認められ、公正取引委員会から当該行為を速やかに排除する措置の実施が命じられました。この措置は排除措置命令ではなく、「確約手続」と呼ばれるものです。
確約手続とは2018年12月30日に施行された新しい制度であり、排除措置命令などと比較して早期の是正が可能と言われています。しかも違反が疑われる事業者が、自発的な是正計画に沿って改善を図るため、問題解決までの期間をこれまでよりも短縮できるのです。
確約手続は、公正取引委員会から当該事業者に通知が届いた時点で開始されます。事業者は不正の排除を目指し、具体的な効果が見込まれる「確約計画」を作成後、通知から60日以内に確約認定申請を行います。その計画が公正取引委員会で認定されれば、排除措置命令などには移行しません。認定されない場合は、再び調査などの対象になります。
今回のTOHOシネマズの事例では、6月28日に通知が実施され、その後確約認定申請が行われ、10月3日に公正取引委員会が確約計画を認定しました。
もし自社が確約手続通知を受けた場合、法務は迅速な対応を求められることになります。普段から制度について理解を深めておくことが重要です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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