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日本には4つの証券取引所が存在します。日本の上場企業の実に97.4%(2022年12月末時点、当社オービックビジネスコンサルタント調べ)が上場する東京証券取引所(東証)、そして東証に次ぐ上場社数の名古屋証券取引所(名証)、そのほか福岡証券取引所(福証)・札幌証券取引所(札証)があります。
各証券取引所・各市場で異なるコンセプトが設定されており、会社のステージやIPOの目的に応じて選択することができます。
東京証券取引所は、前述の通り、日本国内最大の取引所です。とくにIPOにおいては、ほとんどの企業が東証グロースを選択しており、グロース一極集中が長年続いています。 確固たる地位を確立している東証ですが、再編前は様々な課題を抱えていました。 それらの課題を解消すべく、本則一部、本則二部、マザーズ、ジャスダック(スタンダード・グロース)の4市場から、2022年4月にプライム、スタンダード、グロースの3市場に市場が再編されています。
2022年4月の市場再編前は以下の3つの課題がありました。
①各市場区分のコンセプトが曖昧であり、多くの投資家にとって利便性が低い
本則二部、マザーズ、ジャスダックの各市場の位置づけが重複する箇所があるほか、本則一部に関してもコンセプトが曖昧でした。

▲市場再編前の各市場区分のコンセプト(参考:株式会社東京証券取引所「新市場区分の概要等について」 P.5)
また世界的にインデックス投資が注目される中、流動性の低い銘柄の価格形成にゆがみが生じていました。
②上場企業の持続的な企業価値向上の動機付けの点で、期待される役割を十分に果たせていない
再編前は、本則一部への新規上場基準より、他市場から本則一部への市場変更基準の方が低く設定されていました。たとえば本則一部に新規上場する場合の時価総額は250億円が求められましたが、マザーズ市場から市場変更する場合は40億円でよい、というように大幅に緩和されていることが問題になっていました。
また、新規上場基準よりも上場廃止基準が過度に低く設定されていることで、上場時より企業価値が下がったとしても上場を維持できてしまいました。市場からの退出が促されず市場の新陳代謝が滞るとともに、企業側にも継続した企業価値向上を促す仕組みになっていませんでした。
③投資対象としての機能性と市場代表性を備えた指数が存在しない
機関投資家が投資指標としているTOPIX(東証株価指数)は、もともと本則一部全銘柄を対象にしていました。しかし全銘柄を対象にしてしまうと、時価総額や流動性の低い銘柄の価格形成が適正と言えずベンチマークしにくいという問題がありました。海外の指数(S&P500やFTSEなど)は構成銘柄が絞られており、適正に価格が形成され、指数として機能しています。それら指数の運用を参考にし、機能性を高めるべきという意見が投資家から出ていました。
これらの課題を解決するために再編が行われ、現在は以下の3つの市場に分かれています。

▲再編後の市場とコンセプト(参考:株式会社東京証券取引所「市場区分見直しの概要」)
各市場のコンセプトが明確になり、そのコンセプトに応じた時価総額(流動性)やコーポレート・ガバナンスなどにかかわる定量的・定性的な基準が設けられています。 また、新規上場基準と上場維持基準が原則として共通化されました。市場を変更する時には、変更先の市場の新規上場基準を満たし、かつ審査を受けなければ上場できない仕組みになりました。
再編前からの上場企業には、新しいコンセプトなどを踏まえた上で、移行先市場を主体的に選択する機会が設けられました。その結果、再編前の2022年4月3日時点では、本則一部が2,177社、本則二部とジャスダックスタンダードが1,127社、マザーズとジャスダックグロースが466社でしたが、再編後の4月4日にはプライムが1,839社、スタンダードが1,466社、グロースが466社(うち1社は4月4日付で新規上場)となりました。
本則一部の企業が、市場コンセプトを鑑みてプライムではなくスタンダードに移行したケースや、再編を機に非上場になることを選択したケースがあったことで、プライムは再編前の本則一部よりも社数が減り、一方でスタンダードは再編前の本則二部・ジャスダックスタンダードの合計よりも増えています。
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