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カスタマーハラスメントとは、顧客による従業員への不当な要求、暴言などのハラスメント行為を指します。「カスハラ」の略称で知られるようになりましたが、「正当な批判」と「ハラスメント」の境界があいまいなこともあり、対策が難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、カスハラの概要や、人事・総務が知っておくべき対策について解説します。
カスタマーハラスメント(カスハラ)は、厚生労働省「カスタマーハラスメント対策マニュアル」で定義されています。カスタマーハラスメントは、顧客や取引先などからのすべてのクレームを指すわけではなく、不当または悪質なクレームを指す概念です。厚生労働省によれば、以下のように定義されています。
「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業関係が害されるもの」
厚生労働省の定義に当てはめてみると、以下のような具体例が考えられます。
| 具体例 | 説明 | 
| 不当なクレーム | 商品・サービスに瑕疵がないのにもかかわらず、根拠のない非難や、誤った情報にもとづいたクレームを行う | 
| 暴言・侮辱 | 従業員に対して罵倒や人種、性別、外見に関する侮辱を含んだ言葉の暴力を使う | 
| 脅迫 | 「こちらの満足のいく対応をしなければ、SNSで晒す」など従業員に対して脅迫めいた発言、あるいは脅迫的な行動をする | 
| プライバシーの侵害 | 個人的な連絡先を無理に聞き出そうとするなど、従業員の個人情報を不適切に要求したり、プライベートな質問をしたりする | 
| 過剰な要求 | 顧客が合理的な範囲を超えたサービスや特別な対応を強要する。土下座をさせるような場合も含む | 
一方で、商品交換の要求や、土下座以外の方法での謝罪の要求などは、場合によってはカスハラに該当しないこともあります。
カスタマーハラスメントが広く認識されるようになった背景には、社会全体がハラスメントに対して敏感になったという流れがあります。過去数十年にわたり、職場でのセクシャルハラスメント(セクハラ)やパワーハラスメント(パワハラ)などが社会問題として取り上げられ、これらに対する認識が高まりました。ハラスメントの概念が広がり、顧客による従業員への不適切な行為も、ハラスメントの一形態として認識されるようになったと考えられます。
SNSの影響も大きいでしょう。SNSの普及により、カスタマーハラスメントの事例がすぐに共有され、拡散されるようになりました。従業員や目撃者がハラスメントの状況を録画し、拡散力の高いSNSで投稿するような事例も増えています。
ハラスメントの概念の広がりによって、従業員自身も自分たちの権利をより意識するようになり、不適切な顧客の行動に対して声を上げるようになっています。労働環境の改善を求める動きが強まり、カスタマーハラスメントへの対策もその一環として重視されるようになりました。
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まずはカスハラの判断基準を明確にすることが重要なポイントです。実際にカスハラと思われる事例が起こった際、顧客にどのような態度で臨むかは企業によって判断が分かれるでしょう。従業員を優先し、ある程度疑わしいものをカスハラと判断する企業もあれば、顧客ファーストを掲げて限界のラインまで対応するところもあるでしょう。上記の対策方針の作成が重要なのは、自社にとってのカスハラの判断基準を明確化し、現場に周知しておくためです。厚生労働省は、「顧客の要求が妥当かど」、「要求を実現するための手段などが、社会通念に照らして相当な範囲といえるか」の2点を軸に考えることを推奨しています。
また、上記の判断基準を踏まえて、自社の対策方針を作成することも大切です。テンプレートを利用し、、自社に合わせて内容を調整していくとよいでしょう。たとえば、プロジェクト管理ツール「Backlog」などを提供している株式会社ヌーラボは、PDFでテンプレートを公開しています。公式サイトから誰でもダウンロードができ、自由に改変しながら二次利用・商用利用が可能です。こうしたテンプレートを上手く活用し、自社の対策方針を定めておきましょう。
より具体的な内容について知りたい場合は、厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策マニュアル」に目を通してみましょう。カスハラをめぐる昨今の状況や、対策の必要性、実際の対策方法など、さまざまなポイントを理解できます。カスハラ対策や従業員へのフォロー、再発防止の取り組みに関しては、上記のページに目を通しておけば基本的に問題ないでしょう。
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顧客の声が大きくなりがちな昨今ですが、カスハラ対策方針を作成しつつ毅然とした対応をとることで、職場環境が大きく改善します。従業員のエンゲージメント向上にもつながるため、カスハラ対策を含め自社のハラスメント対策を今一度見直してみてはいかがでしょうか。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
 
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