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九州大学では、有望な若手研究者を年俸1,000万〜1,200万円(准教授)で採用する「稲盛フロンティアプログラム」を創設しました。大学教授・准教授は比較的高収入の職種というイメージがありますが、それでも年俸1,000万〜1,200万円は破格の待遇といえるでしょう。
なぜこれほどまでの待遇で若手研究者を募っているのか、大学の人材獲得競争をめぐる状況について詳しく解説します。
稲盛フロンティアプログラムは、新しい学術の創造を目指す、若手研究者の育成に特化したプロジェクトです。九州大学の「Kyushu University VISION 2030」の一環として設立され、学術界をリードする優秀な若手研究者を発掘し、研究に専念できる環境の整備を目的としています。
稲盛フロンティアプログラムでは、今後5年間で毎年5名、最大で25名の若手研究者を新たに採用する予定で、採用された研究者は、独立したプロジェクト・インベスティゲーター(PI)として、研究に集中できる環境と特別な待遇を受けます。
具体的には、一般の准教授を上回る1,000万〜1,200万円の年俸や、5年間で総額3,000万円以上の研究費・研究支援経費などが用意されています。他にも、スキルの習得や研究者交流の機会提供といったサポートも提供されます。
九州大学がこのようなプロジェクトを設立した理由を簡潔にまとめると「優秀な研究者を集めるため」です。背景には大学の人材獲得競争を語る上で避けて通ることのできない、国際卓越研究大学制度の存在があります。
国際卓越研究大学制度は、日本の高等教育政策の一環として設けられ、世界的に競争力のある研究力を持った大学を日本国内に生み出し、国際的な学術研究のリーダーとしての地位を確立することを目的としています。
この制度では、基準を満たし「国際卓越研究大学」として認定された大学が、世界的な研究と教育の水準を達成できるように大学ファンドが支援を行います。指定された大学は、研究開発や教育プログラムの強化のため、大学ファンドからの資金調達が可能になります。
2022年12月23日に開始した応募では、申請順に早稲田大学、東京科学大学(東京医科歯科大学と東京工業大学による共同申請)、名古屋大学、京都大学、東京大学、東京理科大学、筑波大学、九州大学、東北大学、大阪大学の10校がエントリーしました。2023年12月の発表では、上記のうち東北大学だけが認定候補に選ばれるという結果になりました。
大学ファンドは兆単位で資金が動くため、国際卓越研究大学の認定を受けようと採用戦略を立てている大学は多くあります。九州大学もこれらのうちの1つで、稲盛フロンティアプログラムがどのように有望な人材を獲得するのに機能するか、注目されています。
九州大学の稲盛フロンティアプログラムに関するポイントとして理解しておきたいのは、前述のように、国際卓越研究大学を中心とした人材競争(さらに深いところでいえば人材不足)が背景にあるという点です。
世界各国の科学技術活動の実態がまとまった「科学技術指標2023」によれば、日本は「トップ10%補正論文数」(分数カウント)で13位となっています。2000年代なかばはTOP5を維持していましたが、昨今は低迷期にあるようです。
こうした状況もあり、世界をリードする研究大学を創出するために、政府が研究に力を入れるのは必然でしょう。しかしながら大学ファンドが支援するための基準は大変厳格なため、国際卓越研究大学の認定が受けられるよう、各大学が優秀な人材集めに取り組んでいるというわけです。
人材不足の問題は、民間企業だけでなく、九州大学のようないわゆる旧帝大を含む日本の高等教育機関でも深刻になっています。
また、グローバル化の進展により、世界中の大学との競争が激化しています。とくに優秀な学生や研究者を確保するためには、より良い教育環境、研究設備、待遇を整備しなければなりません。とくに国立大学の場合、政府からの資金提供が限られており、研究や教育の質の向上、人材確保に影響を与えるケースがあります。民間企業と同様に、大学も資金獲得のための競争に直面しているのが現実です。
国際卓越研究大学などの存在だけでなく、キャリアパスの多様化も、高等教育機関の人材不足にも大きな影響を及ぼしています。現代の若手研究者は、以前に比べてキャリアパスの選択肢が幅広く、学術界でのキャリアよりも民間企業やスタートアップ、国際機関などでの仕事を選ぶ人もいます。
大学が優秀な人材を確保できるかどうかは、日本の研究力の国際的な競争力にかかわります。今後も、大学の人材確保を巡る動向に注目が集まるでしょう。
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