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2024年1月・4月に施行される「不正競争防止法等の一部を改正する法律」の改正点を紹介

公開日2024/02/17 更新日2024/09/19 ブックマーク数2

2024年1月・4月に施行される「不正競争防止法等の一部を改正する法律」の改正点を紹介

2023年6月、「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が国会で成立しました。知的財産権のあり方が大幅に見直され、意匠(デザイン)権や商標権に関するルールが大きく変更するため、ビジネスシーンではその内容に注目が集まっています。2024年4月(意匠法の一部は1月)に施行されるため、その内容はぜひ押さえておきたいところです。


そこで今回は、2024年に改正法が施行される「不正競争防止法等の一部を改正する法律」について解説します。

「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が行われた背景

昨年6月に「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が制定されたのは、近年続くビジネス環境の変化に対応した知的財産保護を、改めて制度化することが目的です。


ここでいうビジネス環境の変化とは、「デジタル化」と「国際化の進展」のことを指します。この2点の変化に合わせて、スタートアップ・中小企業が、知的財産を活用した事業展開を行えるように、新時代のニーズに対応した法制度の必要があったわけです。


改正法のポイントは以下の3つに集約できます。


・社会のデジタル化の進展を踏まえたブランドやデザインの保護体制の強化
・社会のデジタル化に対応した知的財産の手続きの整備
・国際的な事業展開に対応した環境整備


それぞれのポイントについて、以下に詳しくご紹介しましょう。

ブランド・デザインの保護・強化

デジタル化時代に対応したブランド・デザインの保護のための改正点は、以下の2点です。


①登録できる商標の拡充(商標法第4条等)

他人が登録済みの商標と類似する商標は登録できないものの、先行商標登録者から同意を得られる場合、及び出所混同の恐れがない場合は、登録可能となります。これは「コンセント制度」とも呼ばれ、海外ではすでに導入例があり、日本もそれに倣った形です。


また、自分の名前を商標として利用できるように、氏名を含む商標について、一定の条件のもとで他人の承諾がなくても登録可能となります。ここでいう一定の条件とは、需要者から広く認識されていない名前であること、などです。


②意匠登録手続きの要件を緩和(商標法第4条等)

デザインの創作者が出願する前にデザインを複数公開した場合の要件が緩和されます。これまでは出願前にデザインを公開していた場合、すべての公開事実を示した証明書の提出が必要でした。それが最初に公開した分についてのみの証明書の提出で済むようになります。なお、今回の「不正競争防止法等の一部を改正する法律」においては、この点の要件緩和が2024年1月1日に施行されています。

知的財産手続きの整備

デジタル化の進展に対応した知的財産手続きの制度を整えるべく、以下の3点が改正されています。


①送達制度を見直し(特許法191条、工業所有権特例法5条など)

在外者に書類の郵送ができないとき、公表により送付したとみなされるようになります。また、今後はインターネットを通した送達制度も整備していく見込みです。


②書面による手続きをデジタル化(特許法43条、商標法68条、工業所有権特例法8条等)

特許等に関する書面手続きがデジタル化されます。また、商標の国際登録出願を行う際、手数料一括納付等が可能となります。


③手数料減免制度の見直し(特許法195条)

中小企業の特許に関わる手数料の減免について、一部件数制限が設定されます。

海外への事業展開に関連した制度整備

日本企業が国際的な事業展開を進める中、知的財産保護のための制度環境を整えるべく、以下の点が改正されます。


①外国公務員贈賄に対する罰則の強化及び拡充(不正競争防止法21条等)

外国公務員に賄賂を贈ったことが発覚した場合の、自然人及び法人に対する法定刑が引き上げられます。また、日本企業の外国人従業員が海外で単独贈賄行為をした場合も、処罰対象とされます。


②国際的な営業秘密侵害の事案における手続きを見直し(不正競争防止法19条等)

海外で日本企業の営業秘密が侵害された際、日本の裁判所に対して訴訟を提起でき、日本の不正競争防止法が適用可能となりました。営業秘密とは、事業活動に有用な技術や営業上の情報で、かつ公然と知られていないものを指します。

まとめ

2024年度の法改正をまとめてチェックする

2024年に施行される「不正競争防止法等の一部を改正する法律」のうち、注目点の一つが商標法における「コンセント制度」の導入です。これにより、すでに登録されている商標についても同意(英語でコンセント)を得られれば登録可能とされます。施行後、これまでは行われてこなかった商標登録の案件が多数発生するとも考えられます。


またデジタル時代への対応として行われた、出願前に公表したデザインを意匠登録する際の手続き緩和(いわゆる「新規性喪失の例外規定の緩和」)も大きな改正点です。施行により出願人の負担が大幅に軽減され、創作者の権利保護の強化につながるでしょう。


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