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【金融】サステナビリティ情報の開示と保証のあり方、検討開始─金融審総会・金融分科会合同会合 旬刊『経理情報』2024年3月10日号(通巻No.1704)情報ダイジェスト/金融・会計

公開日2024/03/14 更新日2024/03/13


【金融】サステナビリティ情報の開示と保証のあり方、検討開始─金融審総会・金融分科会合同会合

去る2月19日、金融庁は第52回金融審議会総会・第40回金融分科会合同会合(会長:神田秀樹・学習院大学大学院法務研究科教授)を開催した。


■サステナビリティ情報の開示・保証のあり方

金融担当大臣から、「サステナビリティ情報に係る昨今の国際的な動向や要請を踏まえ、我が国資本市場の一層の機能発揮に向け、投資家が中長期的な企業価値を評価し、建設的な対話を行うに当たって必要となる情報を、信頼性を確保しながら提供できるよう、同情報の開示やこれに対する保証のあり方について検討を行うこと」との諮問があり、これを受けて、事務局から次の説明がされた。


有報へのサステナビリティ情報開示の開始や、現在開発中のSSBJ基準の適用に向けた企業の準備が行われるなか、投資家からはサステナビリティ情報の信頼性の確保を望む声があり、国際的にも、当該情報に対する保証のあり方について議論が進んでいる。わが国において、サステナビリティ開示基準や保証制度を導入するには、法改正を視野に入れた検討が必要であり、議論を始めていくことが重要との問題意識のもと、「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ(仮称)」を設置し、有識者による議論が開始される方向。


■その他の議題

これまで金融審議会で審議されていた「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ報告」(32頁参照)、「市場制度ワーキング・グループ・資産運用に関するタスクフォース報告書」についての説明があり、委員から了承された。
また、「国民の安定的な資産形成の支援に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針(案)」が示され、議論がされた。

【会計】中間会計基準の比較情報等、検討─ASBJ

去る2月5日、企業会計基準委員会は、第519回企業会計基準委員会を開催した。
主な審議内容は以下のとおり。


■中間財務諸表会計基準

前回親委員会(2024年3月1日号(No.1703)情報ダイジェスト参照)に引き続き、企業会計基準公開草案80号「中間財務諸表に関する会計基準(案)」等のコメント対応が審議された。
議論に先立ち、金融庁企画市場局企業開示課長より、適用初年度の比較情報について、今回の改正では、従来の四半期会計基準の処理をそのまま継続することが可能となっているため、前第2四半期累計期間と同一の会計処理を継続していれば、当該期間の情報を修正することなく比較情報として記載することが可能であり、金融庁は、比較情報を不要とする特例を財規等の附則で設ける予定がない旨の発言があった。
これを受けて、委員長から、この方針で会計基準を開発する方針が示された。
続いて、事務局から次の事項に対する対応案が示された。


⑴ 適用初年度の比較情報の取扱い
適用初年度において開示対象期間の中間財務諸表等に中間会計基準を遡及適用する。


⑵ 四半期と中間の会計方針の継続性
実質的には四半期会計基準等の会計処理および開示を引き継いでいるが、当中間会計期間から新たに中間会計基準に基づき中間財務諸表を作成することになるため、当期から中間財務諸表を作成すると捉え、会計方針の変更とは取り扱わない。



委員からは賛成意見が聞かれた。

【会計】パーシャルスピンオフの会計処理、検討大詰め─ASBJ、企業結合専門委

去る2月14日、企業会計基準委員会は第113回企業結合専門委員会を開催した。
第112回(2024年2月20日号(No.1702)情報ダイジェスト参照)に引き続き、「パーシャルスピンオフの会計処理」について審議された。


■当期税金の計上区分の明確化を求めるコメント

自己株式等適用指針案10項(2-2)で定められた取引において当期税金の支払が生じる場合、当該税金を法人税等会計基準5項に従い損益に計上すべきか否か明確にする検討を求めるコメントが寄せられていた。 
事務局は、前回事務局案から、より表現の明確化を行ったかたちで、「損益計算書において配当財産の時価と適正な帳簿価額との差額及び当該差額に係る税金に関する会計処理を行い、この会計処理を踏まえて、株主資本等変動計算書において配当財産の価額をもって配当の会計処理を行う」とする修文案をあらためて示した。
専門委員からは異論は聞かれなかった。



また、同20日に開催した第520回親委員会でも、同テーマが審議された。事務局から、審議が一通り収斂してきたとして、次回以降の親委員会(次回(3月5日開催予定)もしくは次々回(3月18日開催予定))で公表議決を行いたい旨が示された。

【会計】信用減損金融資産の取扱い、検討─ASBJ、金融商品専門委

去る2月15日、企業会計基準委員会は、第212回金融商品専門委員会を開催した。
金融資産の減損に関する会計基準の開発に関して、第211回専門委員会(2024年2月20日号(No.1702)情報ダイジェスト参照)に引き続き、ステップ4(信用リスクに関するデータの詳細な整備がなされていない金融機関に適用される会計基準の開発)の検討の審議が行われた。今回は、実効金利法に関連する論点について審議された。
また、同20日に開催された第520回親委員会でも同テーマについて審議された。
主な審議事項は以下のとおり。


■信用減損金融資産に係る利息収益の認識

事務局から、ステップ4の「実務負担に配慮」する観点から、現行の金融商品会計基準を踏襲し、信用減損金融資産に係る未収利息および対応する利息収益を不計上とするオプションを設ける等の案が示された。
専門委員から賛成意見が多く聞かれた。
また、第520回親委員会でも賛成意見が聞かれ、「適用単位は企業単位か取引単位か」という質問に「企業単位を想定している」との回答があった。


■購入または組成した信用減損金融資産(POCI)

POCIに関するステップ2における再提案およびステップ4における提案が示された。


⑴ ステップ2
ステップ2では、購入した信用減損金融資産と組成した信用減損金融資産について分析が行われた。事務局から、ステップ2ではPOCIに関するIFRS9号「金融商品」の定めをそのまま取り入れるとする案が示された。


⑵ ステップ4
ステップ4では、ステップ2と同様に基本的にIFRS9号の定めを取り入れつつ、「実務負担に配慮」する観点から、実務上の便宜として、償却原価の償却方法について「契約上、元利の支払が弁済期限に一括して行われる場合又は規則的に行われることとなっている場合」に定額法を適用するオプションを設けるとする事務局案が示された。



専門委員からは「ステップ2で、現状では組成した信用減損金融資産は限定的だが、将来生じた場合の影響も踏まえて検討を」との意見が上がった。
また、第520回親委員会では、特段異論は聞かれなかった。

【会計】S&LB取引の会計処理、検討─ASBJ、リース会計専門委

去る2月13日、企業会計基準委員会は第143回リース会計専門委員会を開催した。
第142回(2024年2月20日号(No.1702)情報ダイジェスト参照)に引き続き、企業会計基準公開草案73号「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応の方向性と個別事項について、審議が行われた。


■セール・アンド・リースバック(S&LB)取引(基本となる会計処理・開示)

第136回(2023年11月20日号(No.1694)情報ダイジェスト参照)にて、米国基準をもとにしているS&LB取引の会計処理について、IFRS16号「リース」と同様の会計処理を代替的な取扱いとして認めるかについては次の3案を示し、案1を事務局案とした。

(案1) 代替的な取扱いを取り入れない
(案2) 代替的な取扱いを会計方針としてIFRS任意適用企業にのみ認める
(案3) 代替的な取扱いを会計方針として全企業に認める
※ 案2・3ともに、S&LB取引に係る調整額を注記する

これに対して、どの案にも賛成意見が聞かれたため、追加的に審議する運びとなっていた。
事務局は、IFRS16号と同様の代替的な取扱いを認めることに関しては、①収益認識会計基準と整合しない、②会計方針に首尾一貫性がない、などのデメリットがあるほか、わが国においては、ごく例外的な場合を除きIFRS任意適用企業にのみ適用される例外的な会計処理の定めを置くことはしていないことから、再度案1を提案した。
専門委員からは賛意が聞かれた。


■S&LB取引を金融取引として会計処理する場合の注記

公開草案では、S&LB取引を金融取引として会計処理する場合の注記に関して、特段の定めを設けていなかった。これに対して、「担保資産の注記が必要であるか明確化すべき」とのコメントが寄せられた。


事務局は、「資産の性質の違いを明らかにすることは有用だが、換金可能性に制限がある場合、資産の処分により得られる現金を債務返済に充当することはできないため、関連する債務を示す科目の名称および金額に関する情報の使用目的や有用性は明らかでない」とし、次の事項について注記を求める案を示した。

⑴ S&LB取引において金融取引として会計処理している資産がある旨
⑵ 当該資産の科目および金額

専門委員からはおおむね賛意が聞かれたが、「債務の注記も記載することは財務諸表利用者にとっても有用では」との意見も聞かれた。
事務局は、「S&LB取引が金融取引である場合、モノ自体が手元になく、これを担保といえるのかどうか。これを担保の注記と同じように注記することで別の誤解を招くのでは」と回答した。



同20日に開催した第520回親委員会でも、同テーマが審議され、委員からは事務局案に賛意が聞かれた。


■第520回親委員会での審議

第520 回親委員会では、リース会計基準に関して、次のテーマについても審議が行わられた。


⑴ 短期リース(定義)
IFRS16号「リース」との整合性を図るため、用語の定義において「購入オプションを含んだリースは短期リースではない」ことを明示する案が示された。
委員からは、「比較可能性の観点から賛成」との意見が聞かれた。


⑵ 少額リースの簡便的な取扱い
300万円基準の適用単位が複数の契約の結合後のリース契約であるか明らかにすべきとのコメントに対して、「契約結合前で判断することを妨げない」とする事務局案が示された。
また、300万円基準の判定における借手のリース期間について、延長オプション等を考慮して見積るとする公開草案に対し、実務コストの観点から延長オプションまで含めて判断する必要があるか疑問との意見が聞かれていた。これを受けて、「原則として借手のリース期間で判定するが、契約期間で判定することも認める」事務局案が示された。
委員から、事務局案に特段の異論は聞かれなかった。

【会計】GM課税に係る法人税等は区分表示・注記が可能に─ASBJ、税効果会計専門委

去る2月21日、企業会計基準委員会は、第92回税効果会計専門委員会を開催した。
第91回専門委員会(2024年3月1日号(No.1703)情報ダイジェスト参照)に引き続き、実務対応報告公開草案67号「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い(案)」等のコメント対応について審議された。
また、同20日に開催された第520回親委員会でも同テーマについて審議された。


■連結損益計算書における区分表示または注記

公開草案では、連結損益計算書において、グローバル・ミニマム(GM ) 課税に係る法人税等をその他の法人税等と区分表示しないことを提案しているが、区分表示または注記を求める意見が聞かれていた。


これを受けて、情報の入手可能性、情報の有用性、国際的会計基準との比較可能性の観点から分析を行い、事務局から、「連結損益計算書において、GM課税制度に係る法人税等の金額が法人税等の全体の金額に占める割合が高い場合には区分表示または注記を求める」案が示された。


専門委員からは、方向性に賛成の意見が聞かれた。また、「全体の分母が小さくなると、割合が高くなってしまうので、重要性が乏しい場合は区分表示が不要である旨を入れては」との意見が聞かれた。


第520回親委員会では、委員からは、「不確実性のある情報の開示は利用者にとって有用」、「金額的重要性の要素も取り入れるべき」、「マネジメントに報告している場合等の定性的要件も入れてはどうか」などの意見が聞かれた。

【会計】SSBJ基準、公表日以後終了する年度から適用可能に─SSBJ

去る2月19日、SSBJは第31 回サステナビリティ基準委員会を開催した。
第30回(2024年3月1日号(No.1703)情報ダイジェスト参照)に引き続き、IFRSS1号、S2号に相当する日本基準の開発の審議が行われた。審議された具体的な検討事項は主に次のとおり。


■前回までにおいて意見が分かれているテーマの再審議

① 「ガイダンスの情報源」におけるSASBスタンダード等の取扱い
SASBスタンダードを義務づけるか否かで意見が分かれており、前回の審議で「義務づけない」と議決されたが、今回の審議では賛成多数で「義務づける」こととなった。


② 温室効果ガス排出量の表示単位
前回まで、温室効果ガス排出量の表示単位についてその数値は大きくなったときにどこまで丸めるかについて意見が分かれていた。そこで事務局は、次の選択肢を示した。

・少なくとも桁数が大きいほうから開示しなければならない桁数は、3桁か4桁か
・数値は整数のみか、小数を用いての表示も可か

投票の結果、「3桁は開示しなければならない。また、数値は小数を用いて表示することもできる」案が賛成多数となった。


③ 産業横断的指標等の取扱い
前回までの審議において意見がまとまらなかった、⒜気候関連の移行リスク、⒝気候関連の物理的リスク、⒞気候関連の機会、について再度審議を行った。
今回の審議では⒜~⒞に関して、「S2号を取り入れるものの、金額やパーセンテージもしくは規模に関する情報の少なくともいずれかを開示する」とする案が、投票の結果、賛成多数となった。


■発効日

事務局は、日本版S1基準・S2基準における発効日について、次の事務局案を提示した。

⑴ 強制適用時期は定めない。
⑵ 確定基準公表日以後終了する年次報告期間に係るサステナビリティ関連
財務開示から適用することを認める。この場合、日本版S1基準及び日本版S2基準は同時に適用しなければならない。

委員からは「⑵について、2025年3月の最終化を目指しているなかで、直後の決算までに任意適用する企業はあまりないと思われるため、公表日以後開始する年次報告からの適用とすることにしては」などの意見が聞かれた。
事務局は①ISSB基準との差異があまりないため、企業によっては対応でき得ること、②できる規定のため、早くから適用したいという企業にそれを禁止する理由がないことを回答した。
事務局は、この適用が開始できる時期について、意見が分かれているため、基準公表日以後、(案A)終了する年度から適用できる、(案B)開始する年度から適用できる、の2案について投票を行い、案Aが賛成多数で可決された。


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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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