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社員の人材育成のためにジョブローテーションを取り入れている経営者の方は多いと思います。ジョブローテーションは、さまざまな職種を経験することで社員の育成を促進する効果がありますが、やり方によっては社員に悪影響を与え、成長を妨げる場合もあるのです。
目次【本記事の内容】
ジョブローテーションとは、同一企業(子会社も含む)の中でキャリア開発のために計画的かつ定期的に、社員の異動や職務の変更を行うことです。
ジョブローテーションは初期キャリア、もしくは中長期キャリアで実施されます。
一般的には、初期キャリア、つまり新入社員の時期に実施される場合が多く、その期間は数ヵ月から数年と、企業や業種によってばらつきがあります。
また、初期キャリアと中長期キャリアでは実施目的や狙う効果が違うため、会社はその目的に合わせて実施方法を変えることになります。
ジョブローテーションは日本で長らく採用されてきた「職能給」の仕組みを前提として導入されてきた、日本特有の仕組みです。職能給とは社員の職務遂行能力=勤続年数に応じて給与を支払われる、いわゆる年功序列制度のことです。
一方、アメリカなどの海外企業は「職務給」と呼ばれる成果主義を原則とした給与体系を採用しています。職務給は各職務の難易度により給与の基礎金額が定められており、その業績や職務の達成度により給与金額が決定します。日本でも、職務給を導入している会社はありますが、職務給だけを採用している会社はジョブローテーションを行うことは難しくなります。
というのも、社員を配置転換をする際、その職務により給与が大幅に増減する、また配置転換直後は業績が下がることが想定されますが、業績により給与が決定してしまう職務給は社員のモチベーション低下を引き起こしてしまうためです。
ジョブローテーションは基本的に職能給を採用している企業で行われるもので、導入を検討している会社は自社の給与体系との組み合わせを考えて行う必要があります。
初期キャリア向けに行われるジョブローテーションは、下記のような目的で実施されます。
ジョブローテーションには、数ヵ月から数年かけてさまざまな部署に所属する場合と、ある程度専門・メインで所属する部署が決まっていて、研修のような形で数ヵ月の間、各部署の職務を担当する場合があります。
前者のやり方は「社員がどのような仕事が自分に合うか知る機会とする」という目的を重視する場合は効果的です。しかし、「各職務の仕事の流れを覚え、自分の仕事に活かす」ことを目的とする場合は、ある程度メインとする仕事が何かわかっている上で行った方が、見るポイントが違うため有効的であると言えます。
初期キャリア形成のためのジョブローテーションは、数年ごとに設定している会社でも、30代前半までにはジェネラリストを目指すか、スペシャリストを目指すかの方向性を社員に示す方がよいでしょう。
中長期キャリアで実施されるジョブローテーションは、下記のような目的で行われます。
管理者となる幹部候補達は、将来的に各部門で問題が発生した場合の対応や責任を負う立場になります。また、会社の方向性を見据えた戦略や計画を立て、会社の舵取りをしなければなりません。
各部門の仕事内容が分かっていなければ、管理者として現実に即した仕事ができないため、管理者に着任する前に多数の部署の職務を担当する場合があります。
また中長期キャリアでのジョブローテーションは、新たなビジネスを発見するきっかけとなることが期待できます。
職歴を積んで、ある程度専門的な分野で仕事をしている場合、あらたな職務に就くことは、まったく違う仕事内容に取り組む必要があります。
しかし、その多様な情報が今までルーティーンとなっていた専門分野の仕事に新たな発見を見出してくれることがあります。
せまい領域では気づかなかった、新たな視点が新たなビジネスの発見に繋がる可能性があるのです。
その他にも、ジョブローテーションは、不正やマンネリを防ぎ、組織を活性化させる目的で行われる場合もあります。
ジョブローテーションは、会社の目指す組織・人材の理想像を明確にし、目的や計画を明確にして行えば、一定の効果を発揮できる人材育成方法です。
初期キャリアの段階では、会社の全体像や仕事の流れと、そこに自分はどのような役割でかかわるかを把握することで、効率的な仕事や視野の広い仕事の推進ができる人材を育てられるメリットがあります。
また、中長期キャリアの段階では、会社の重要な舵取りを担う人材や新ビジネスを開拓できそうなキーパーソンの育成にメリットを発揮します。
一方で、理想的なジョブローテーションを実施するのが現実的に難しい場面もあります。
ジョブローテーションを行うと、新しく配置された人材が、一定の職務ができるようになるまでの期間、ある意味人件費を無駄にすることになります。そのため、資金力や人材が少ない中小企業では、やりたくてもなかなか実施できないという事情があります。
また、ジョブローテーションを行うことで専門分野の人材育成が遅れるデメリットがあります。すべての人材にジョブローテーションを行ってしまうと、コツコツと何十年も経験を積む必要がある分野、IT関係など最新の情報を常にアップデートしなければならない職務は人材の成長に後れを取ってしまう可能性があるのです。
ジョブローテーションのよいメリットを活用するために、自社にジョブローテーションを導入される際に注意したい点がいくつかあります。
それは、社員全員に向けて「ジョブローテーションをなぜ行うのか」ということを明確に伝えておくことです。
ジョブローテーションは長期で行われるとしても、短期で行われるとしても、会社がどのようなポリシーを持ってその社員を異動させているのか伝えることが重要です。
働いている社員が、「何の目的で自分が今この職務についているのか」ということを理解し、納得していなければ、パフォーマンスは上がらず、ジョブローテーションの効果が発揮されません。
また、ジョブローテーション対象社員を受け入れる周りの同僚や上司が、その施策に意味を感じていなければ、対象社員は受け入れ先での仕事を円滑に行うことができず、効果が発揮できないのはもちろん、士気を下げることにもつながりかねません。
会社は「人事考課を基にした一般的な人事異動」と「ジョブローテーションによる計画的な人事異動」はできるだけ分けて考え、ポリシーを持ってジョブローテーションを行いましょう。
「ジョブローテーション」という看板を使って、社員の配置を自社の都合の良いように行っていると、優秀な人材を失うことにも繋がるので、注意してください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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