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『役員報酬:定期同額給与の範囲』~役員給与に関する判断基準~【法人税の租税実務のための判断基準】

公開日2024/06/07 更新日2024/06/06 ブックマーク数
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『役員報酬:定期同額給与の範囲』~役員給与に関する判断基準~【法人税の租税実務のための判断基準】

審査請求事案は、身近な実務とは無関係であると思っている方が多いようです。そのお考えは、誤解されていると思います。審査請求事案は、当然と思っている税務判断について、ちょっぴり事実関係が異なっているということのみで、納税者と租税行政庁との間に行き違いが生じているものです。このコラムは、実務経験の豊富な税理士が、国税審判官の業務を経験したことを実務家にフィードバックするため、実務に直結する審査請求事案に係る論点や判断基準の整理をして、租税行政庁との見解の相違を回避するための検討を行っています。


そして、審査請求事案は、身近なテーマである法人税の「役員給与」「減価償却」「寄附金等」の3つを選定し、≪裁決事例の考察≫として「1 事案の概要」「2 主要事実と法令解釈等への適合」「3 事実認定による考察」に区分して、規則性を持った構成として事例を紹介しています。


このコラムにより興味を持たれた方は、書籍「法人税の租税実務の判断基準」にて事例を紹介していますのでご覧ください。

【プロフィール】

税理士
苅米 裕(かりごめ ゆたか)
税理士事務所勤務後、関東信越国税不服審判所(国税審判官)等を経て、現在苅米裕税理士事務所所長及び企業の社外監査役。
税理士会において、東京税理士会芝支部副支部長、東京税理士会理事等を経て、現在、東京税理士会会員相談室相談委員、東京税理士会支部会員研修講師、東京税理士会調査研究部委員、東京税理士会芝支部相談役。

第一回では、「役員報酬」のうち経済的利益の供与の認定事例から、主に「定期同額給与の範囲」について、審判所の判断過程の考察をご紹介します。

〔 事例 〕
請求人名義の車両を代表者に対し贈与等をした事実はなく給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらしたとは認められないとした事例(公表裁決事例:平成24年11月1日裁決)

1 事案の概要

本件は、飲食店業を営む同族会社である請求人が、本件車両を平成20年6月期の貸借対照表の資産の部にそれぞれ計上するとともに、平成20年6月期から平成21年6月期までの各事業年度において本件車両関連費用並びに減価償却費の額をそれぞれ損金の額に算入し、法人税等の申告をしたところ、原処分庁が、本件車両はG代表取締役の妻が個人使用のために取得したものであり、本件車両取得費等は請求人からG代表取締役に対し支払われた法人税法第34条第3項に規定する事実の仮装、隠ぺいにより支給した役員給与の額であるとして、法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が、本件車両は請求人名義であるので、請求人が取得したというべきであり、本件車両については役員給与ではなく、請求人の資産として処理されるべきであるとして、原処分の一部の取消しを求めた事案である。

2 主要事実と法令解釈等への適合(一部取消し)

⑴ 法令解釈

審判所は、旧法人税法第34条第3項について、「事実を隠ぺいし、又は仮装して経理をすることにより役員に支給する給与の額は、損金の額に算入しない旨規定しているところ、ここにいう「事実を隠ぺいし」とは、特定の事実を隠匿しあるいは脱漏することをいい、「仮装して」とは、特定の所得、財産あるいは取引上の名義を装う等事実をわい曲することをいうものと解される。」旨、また、旧法人税法第34条第4項について、「同条第1項から第3項までに規定する給与には債務の免除による利益その他の経済的利益が含まれる旨規定しているところ、同条第4項に規定する「債務の免除による利益その他の経済的な利益」とは、役員に対して物品その他の資産を贈与した場合におけるその資産の価額に相当する金額や、役員等のために個人的費用を負担した場合における費用の額に相当する金額等法人が一定の行為をしたことにより実質的にその役員等に対して給与を支給したのと同様の経済的効果をもらたすものをいうと解される。」旨の法令解釈を大前提としている(アンダーライン等筆者加筆)。


⑵ 本件車両取得費について

審判所は、本件車両取得費について、請求人が、①本件車両の購入に関する注文の当事者であり、②本件信販会社を通じて本件車両の売買代金を支払い、③自動車検査証に使用者として記載されているため、本件車両の取得者は請求人であると認定しており、本件車両の納車場所や保管場所がG代表の妻の居宅であったこと、及び本件ディーラーからの連絡先がG代表取締役の妻であったことなどからすると、本件車両をG代表取締役の妻が個人的に利用していることが認められるが、上記⑴後段第4項の法令解釈によれば、請求人からG代表取締役に対して本件車両の贈与があった等、請求人が一定の行為をしたことにより実質的にG代表取締役に対して給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらしたとまでは認めることができないとして、本件車両取得費が役員給与に当たるとはいえない旨判断をしている。


⑶ 本件車両関連費用等について

審判所は、本件車両をG代表取締役の妻が専属的に利用していたことについて、G代表取締役が実質的経営者としての権限を利用して請求人が所有する本件車両をG代表の妻に使用させていたと認めるのが相当であるところ、……


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