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複式簿記とは?単式簿記との違いや記帳方法もわかりやすく解説!

公開日2024/03/11 更新日2025/06/10 ブックマーク数
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複式簿記とは?

企業や個人事業主が正確な財務状況を把握し、健全な経営を行う上で欠かせないのが「複式簿記」です。
複式簿記では、すべての取引を「借方」と「貸方」に分けて記録することで、資産・負債・収益・費用といった財務データを体系的に管理できます。
やや複雑な仕組みですが、会計ソフトを活用すれば初心者でも効率よく導入・運用が可能です。

本記事では、複式簿記と単式簿記の違いから、記帳の基本、仕訳の方法、メリット・デメリット、会計ソフトの活用方法まで、わかりやすく解説します。

簿記とは

簿記とは、企業や個人の経済活動を記録・計算・整理し、財務状況や経営成績を明確にするための会計手法です。
日々の経済活動を帳簿に記録し、経営判断や税務申告を正確に行うために使います。
具体的には、取引を仕訳し、帳簿に記録し、試算表や財務諸表(貸借対照表や損益計算書)を作成します。

簿記には「単式簿記」と「複式簿記」の2種類がありますので、本記事内で、それぞれの概要やメリット・デメリットなどを解説していきます。

単式簿記とは

単式簿記とは、取引を単一の記録形式で記帳する簿記の方法です。
主に現金の出入りを記録し、家計簿や小規模事業者の帳簿管理に用いられます。
収入と支出をシンプルに記録するため、取引の全体像を把握しやすいですが、資産や負債の変動を詳しく管理しづらい面があります。

例えば、売上が発生した際には「現金の増加」を記録し、仕入れを行った場合は「現金の減少」を記録するのみで、売掛金や買掛金などの取引の詳細な内訳は管理しません。
このため、財務状況を正確に把握しづらく、一般的な企業会計にはあまり適していません。

一方で、単式簿記は記帳が簡単で、簿記の知識があまりなくても扱いやすいというメリットがあります。
そのため、小規模事業者や個人事業主が日々の取引を管理する際に活用されることが多いです。

単式簿記で帳簿をつける目的

単式簿記で帳簿をつける目的は、主に収入と支出の管理を簡単に行い、財務の基本的な状況を把握することにあります。
特に、小規模事業者や個人事業主にとって、日々の取引を記録し、資金の流れを明確にするのは、適切な経営判断を行う上で重要です。

第一に、事業の収益や支出を記録することで、現金の収支を把握し、資金繰りを管理しやすくなります。
例えば、どの時期に売上が増加し、どの支出が多いかを把握すれば、無駄な支出を削減し、利益を最大化する対策が立てやすいでしょう。

第二に、確定申告や税務処理の際に必要な資料として活用できます。
個人事業主の場合、単式簿記で記録した帳簿をもとに所得税の計算を行い、青色申告や白色申告の際に活用できます。
また、単式簿記は記帳が簡単なため、経理の専門知識がなくても手軽に使えます。
そのため、事業者は日々の取引を継続的に記録しやすくなります。

単式簿記のメリット

単式簿記には、特に小規模事業者や個人事業主にとって多くのメリットがあります。
以下はその主なメリットです。

①記帳が簡単でわかりやすい
単式簿記は、取引ごとに収入と支出を記録するだけです。
複式簿記のように借方・貸方の仕訳を考える必要がなく、帳簿の知識がなくても記帳できます。
そのため、経理の負担を減らせるでしょう。

②経理コストを抑えられる
単式簿記は専門的な知識が不要なため、簿記の資格を持つ経理担当者を雇う必要がありません。
また、会計ソフトを使わずにノートやExcelで管理できるので、コストを最小限に抑えられます。

③現金の流れを簡単に把握できる
単式簿記は基本的に現金の出入りのみを記録するため、資金繰りを直感的に把握しやすいのも特徴です。
特に、日々の営業資金や生活費と事業費を分けて管理したい個人事業主にとっては有効でしょう。

④税務申告に活用できる
単式簿記で記録したデータは、確定申告の際にそのまま活用できます。
白色申告の場合、単式簿記で作成した収支計算書を提出すればよいため、手続きが簡単です。
また、青色申告でも10万円控除が適用されるため、一定の節税効果があります。

⑤手軽に導入できる
単式簿記は特別な知識や会計ソフトなどがなくてもすぐに始められるため、開業したばかりの事業者や副業を行う人には特に適しています。
複式簿記を学ぶ時間がなくても最低限の会計管理ができるため、手軽に導入できます。

単式簿記のデメリット

単式簿記は手軽に導入できる一方で、いくつかのデメリットもあります。
特に、企業の財務管理や税務対策をしっかり行いたい場合には、単式簿記では不十分な点があるので注意が必要です。

①財務状況を正確に把握しにくい
単式簿記は基本的に現金の収入と支出のみを記録するため、資産や負債の変動を細かく管理することができません。
例えば、売掛金(未回収の売上)や買掛金(未払いの仕入れ)が発生しても、現金取引が行われるまで記録されないので、実際の財務状況と帳簿の数字が一致しないことがあります。

②資金繰りの予測が難しい
現金の出入りしか記録しない単式簿記は、将来的な支払い義務や回収予定の売上を把握しづらいという面があります。
例えば、翌月に支払う予定の経費や受け取る予定の売掛金が帳簿上に反映されないため、資金繰りの計画が立てにくいとされています。

③税務上のメリットが少ない
単式簿記では、青色申告の特典である「最大65万円の控除」を利用することができません。
青色申告の65万円控除を受けるには、複式簿記で帳簿をつける必要があります。
そのため、節税対策を講じる場合は、単式簿記ではなく複式簿記を導入したほうが有利です。

④取引の詳細な分析ができない
単式簿記では、経費の内訳や利益率の詳細な分析が難しくなります。
「どの取引先からの売上が多いのか」「どの経費が最もかかっているのか」というようにデータを整理しにくいため、経営判断の精度が下がる可能性があります。
複式簿記なら、貸借対照表や損益計算書を作成することで、より正確に分析できるでしょう。

⑤規模が大きくなると管理が難しくなる
小規模事業者でも事業が成長し、取引が増えてくると、単式簿記では管理が追いつかなくなることがあります。
特に、売掛金や買掛金、銀行口座の管理が必要になると、単式簿記だけでは正確な記録が難しくなり、結果として財務管理に支障をきたす可能性があります。

以上、単式簿記は小規模事業者や個人事業主にとって簡単で便利な方法ですが、財務管理や税務面でのデメリットもいくつかあります。
特に、事業規模が大きくなったり節税対策を重視したりする場合は、複式簿記の導入を検討することが望ましいでしょう。

複式簿記とは

複式簿記は、企業の経済活動に伴う金銭の動きを体系的に記録、集計するための会計の基本システムです。
この方法では、お金の出入りを「借方」と「貸方」として記録し、ひとつの取引が経済的にどのような影響を与えたのかを双方向から理解できるようになっています。
さらに、複式簿記の原則に基づいた記録は、企業の財務報告の信頼性を高め、税務上のメリットも受けることができます。

複式簿記で帳簿をつける目的

複式簿記で帳簿をつける目的は、企業の「お金の流れ」を正確に記録し、経営状況をしっかり把握することです。
複式簿記では、すべての取引を「借方」と「貸方」の両方に記録するため、お金の増減や資産・負債の変化を正しく管理でき、記録ミスと不正を防止します。

また、正しい帳簿をつけることで、損益計算書や貸借対照表といった財務書類を作成しやすくなり、企業の儲けや財産の状況を詳しく分析できます。
これらの財務書類は、税金の申告や銀行からの融資を受ける際にも不可欠です。

さらに、過去のデータをもとに「どの時期に売上が伸びたのか」「どこでコストがかかりすぎているのか」などを分析し、今後の経営計画を立てるのにも役立ちます。
事業を成長させるためには、財務の管理が欠かせません。
このように、複式簿記は単なる記録ではなく、企業を健全に運営し、将来の発展につなげるための大切な仕組みなのです。

複式簿記が普及した理由

複式簿記が普及した理由は、取引を漏れなく記録でき、財務諸表を作成しやすいなど、メリットがいくつもあるためです。

まず、「借方」と「貸方」に分けてすべての取引を記録するため、お金の流れをより正確に管理できます。
勘定科目ごとに金の入出金の動きや背景を記録でき、商品や事業ごとの利益も算出しやすいです。

複式簿記によって、事業の利益や損失や資産の状況を明確にし、経営判断がしやすくなります。
銀行や投資家に対しても透明性の高い財務を示し、信用を得やすいのです。

複式簿記の構造と記帳例

複式簿記では、企業の取引を正確に記録・管理するために、主に 「仕訳帳」と「総勘定元帳」 という2つの帳簿を使います。
それぞれの役割と流れを詳しく見ていきましょう。

①仕訳帳とは?
仕訳帳は 「取引を発生順に記録する帳簿」 です。
企業では、商品を購入したり売り上げが発生したり、従業員に給料を支払ったりといった取引が日々発生します。
これらの取引を、発生した順番に記録するのが仕訳帳の役割です。

・仕訳帳の記帳例
例えば、企業が10万円の商品を現金で仕入れた場合、仕訳帳には次のように記録されます。

日付 借方科目(増加する科目) 金額 (減少する科目) 金額
4/1 商品仕入 100,000円 現金 100,000円

このように、「どの勘定科目が増えたのか(借方)」と「どの勘定科目が減ったのか(貸方)」をセットで記録するのがポイントです。

②総勘定元帳とは?
総勘定元帳は「取引を勘定科目ごとに整理する帳簿」です。
仕訳帳に記録された取引は、勘定科目ごとに分類し、総勘定元帳に転記します。
これにより、特定の勘定科目がどのように増減したのかをひと目で確認できます。

・総勘定元帳の記帳例(「現金」勘定)

日付 借方科目(増加) 金額 貸方科目(減少) 金額 残高
4/1 商品仕入 100,000円 900,000円
4/3 売上 200,000円 1,100,000円

このように、「現金」勘定では、4月1日に10万円の現金が減り、4月3日に20万円の売上で増えたことがわかります。

③仕訳帳と総勘定元帳の関係
1.取引が発生したら、まず仕訳帳に記録する
 例:「商品を現金で購入」 → 仕訳帳に記録

2.仕訳帳の内容を、勘定科目ごとに総勘定元帳へ転記する
 例:「商品」勘定、「現金」勘定のページに振り分ける

3.総勘定元帳をもとに、企業の財務状況を把握する
 貸借対照表や損益計算書の作成に活用

ポイント

✔仕訳帳は、取引を日付順に記録する帳簿
✔ 総勘定元帳は、仕訳帳の取引を勘定科目ごとに整理する帳簿
✔ 仕訳帳 → 総勘定元帳の流れで、企業の財務管理がしやすくなる

この仕組みのおかげで、企業はお金の流れを正確に把握し、経営の判断をスムーズに行うことができます。

複式簿記が必要になる場面

複式簿記は以下のような場面で必要になります。

①企業を経営するとき
企業やお店では、毎日「売上が入る」「仕入れをする」「給料を支払う」「家賃を払う」など、さまざまなお金のやり取りが発生します。
こうした取引を正しく管理しないと、「利益が出ているのか?」「どれくらいお金が残っているのか?」がわからなくなります。
複式簿記を使えば、すべての取引を借方と貸方の2つの視点で記録するため、資産や負債、利益の動きがひと目で把握できます。
特に、大企業では経営判断をするうえで欠かせない仕組みとなっています。

②税金を計算するとき
企業や個人事業主は、毎年決算を行い、税務署に税金を申告する義務があります。
特に、青色申告制度を利用する場合、複式簿記で記帳すると最大65万円の税金の控除を受けられるため、大きな節税となります。

③銀行から融資を受けるとき
企業がビジネスを拡大するために銀行からお金を借りたいとき、銀行はその企業に返済能力があるのかを判断するために財務状況を確認します。
このとき、複式簿記で作成した貸借対照表や損益計算書を提出すると、自社の財務状況がしっかりしていることを証明できます。
逆に、帳簿が適当だと銀行からの信用を得られず、融資を受けられないことがあります。

④取引先や投資家の信用を得るとき
企業が成長するためには、取引先や投資家からの信用が必要です。
特に、上場企業などは正確な財務報告を行う義務があります。
もし、帳簿がいい加減で、利益を多く見せたり損失を隠したりすると、大きな問題になります。
実際に、不正な会計処理が発覚して信用を失い、倒産する企業もあるのです。
透明性のある財務管理のために、複式簿記は欠かせません。

このように、複式簿記は企業や個人事業主が正しく経営を続けるために不可欠な仕組みなのです。

複式簿記のメリット

複式簿記は、会計処理の精度と透明性を高めるための手段です。
単式簿記と比較して、複式簿記は以下のようなメリットがあります。

①詳細な財務情報を提供できる
複式簿記は、取引を借方と貸方の両面から記録するため、より詳細な財務情報を提供します。
これにより、企業の財務状況、経営成績、キャッシュフローの詳細を正確に把握できます。

②財務諸表の作成が簡単になる
複式簿記による記録は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表の作成を容易にします。
これらの財務諸表は、企業の経済的状況を一目で理解するための重要なツールです。

③税務上のメリットがある
日本では、確定申告において青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記による帳簿の作成が必要です。
青色申告による最大65万円の特別控除は、税負担の軽減に大きく寄与します。

④取引の透明性が向上する
複式簿記では各取引が借方と貸方の両方に記録されるため、取引の透明性が向上します。
これにより、記録の誤りや不正を防ぎやすくなり、企業の信頼性が高まります。

⑤意思決定をサポートしてくれる
複式簿記により提供される詳細かつ正確な財務情報は、経営者がより良い意思決定を行うための基盤となります。
投資、費用削減、事業拡大などの決定において、信頼できるデータに基づくことが可能です。

複式簿記のデメリット

複式簿記は便利で正確な会計の方法ですが、いくつかのデメリットもあります。

①仕組みが複雑で学ぶのが難しい
複式簿記は、単式簿記のように「お金が入った」「お金を使った」とシンプルに記録するのではなく、「借方」と「貸方」の両方に仕訳しなければなりません。
どの取引をどこに記録するのかを理解するには、専門的な知識が必要になります。
そのため、簿記の知識がないと帳簿をつけるのが難しいのです。

②記帳に時間と手間がかかる
すべての取引を詳細に記録し、仕訳を正しく処理しなければならないため、特に取引が多い企業では帳簿作成に多くの時間を取られます。
小規模事業者にとっては、この作業が大きな負担になることもあります。

③サポートが必要になることもある
複雑な取引が増えると、正確な帳簿を作るために会計ソフトを導入したり、税理士や会計士に依頼したりする必要が出てきます。
これにはコストがかかり、特に小規模事業者や個人事業主にとっては経済的な負担になるでしょう。

④ミスが発生すると修正が難しい
複式簿記はすべての取引が「借方」と「貸方」で関連しているため、ひとつのミスが他のデータにも影響を与えることがあります。
間違いに気づいた場合、どこで誤ったのかを探すのに時間がかかることもあります。

このように、複式簿記には手間やコストがかかるというデメリットがあります。
しかし、その分、経営状況を正確に把握できるという大きなメリットがあるため、多くの企業で採用されています。

複式簿記と単式簿記の違い

複式簿記と単式簿記は、会計を行う上で基本的な2つの方法です。
それぞれが異なる特徴と用途を持ち、企業や個人が自身の財務状況を記録し、管理する方法を選択する際の基準となります。
複式簿記は、その二面性により取引をより詳細に追跡し、全体的な財務の健全性を把握することを可能にします。

これに対し、単式簿記は、そのシンプルさから小規模事業や個人の家計管理に適していますが、複式簿記ほど包括的な財務分析は提供しません。
事業の規模や取引の複雑さ、そして必要とされる情報の精度によって、どちらの方法が適切かが決まります。
このセクションでは、複式簿記と単式簿記の基本原則、それぞれの特徴と適用状況について解説します。

複式簿記と単式簿記の比較

複式簿記と単式簿記は、それぞれ独自の特性と用途を持つ会計記録方法です。
以下に、両者の主な違いを詳述します。

①記録方法の違い
複式簿記は、各取引を借方と貸方の両面から記録します。
これにより、資産、負債、資本、収益、費用の変動を二重に追跡し、財務諸表の作成に必要な詳細情報を提供します。
単式簿記では、取引を一方的な視点、すなわち収入または支出のみから記録します。
これは主に現金流の追跡に焦点を当てており、財務諸表の詳細な分析には不向きです。

②財務透明性と分析能力
複式簿記は、その二重記録の特性により、財務の透明性と精度を大幅に向上させます。
企業の財務状況と経営成績を多角的に分析することが可能になり、より正確な経営判断を下すための基礎となります。
単式簿記は、そのシンプルさから直感的な理解が可能であり、非専門家でも容易に扱えます。
しかし、複式簿記に比べると提供できる財務情報の深さと正確さに限界があります。

③専門知識の必要性
複式簿記の適用と運用には、会計の専門知識が必要です。
企業の規模が大きくなるにつれて、その複雑さと精度が求められるため、専門的な会計スキルが不可欠となります。
単式簿記は、基本的な収入と支出の記録に限定されるため、専門知識が少なくても管理が可能です。
小規模事業や個人の家計簿に最適な方法です。

④適用範囲
複式簿記は、中規模から大規模な事業体、特に財務状況の詳細な分析と報告が求められる場合に適しています。
単式簿記は、小規模事業や個人事業主、家計管理など、比較的シンプルな経済活動の記録に適しています。

複式簿記と単式簿記は、それぞれ異なるニーズと要件に応じた会計記録方法を提供します。
複式簿記は財務の透明性と正確性を高める一方で、単式簿記はそのシンプルさとアクセシビリティにより、非専門家にも扱いやすい選択肢となっています。

選択基準と適用状況

事業の性質、規模、および経営者の財務情報に対するニーズに基づいて、複式簿記または単式簿記のいずれかを選択することが重要です。
以下に、それぞれの簿記方法を選択する際の基準と適用状況を示します。

<複式簿記の選択基準>

  • 事業の規模
    中規模から大規模の企業である場合、取引の数や種類が多岐にわたり、複雑さが増します。
    このような環境では、複式簿記が適しています。
  • 財務情報の詳細度
    財務諸表の詳細な分析や、正確な財務報告が求められる場合、複式簿記はそのニーズを満たすことができます。
  • 税務上の要件
    特定の税務上のメリットを享受するために複式簿記を要求される場合があります。
    青色申告特別控除の適用を受けたい個人事業主も含まれます。

<単式簿記の選択基準>

  • 事業の規模
    小規模企業や個人事業主で、取引が比較的単純な場合、単式簿記が運用の手間を減らし、管理を容易にします。
  • 財務情報の必要性
    基本的な収支の管理や、簡単な財務報告で事業の財務状況を把握できる場合、単式簿記が適切です。
  • 管理の手軽さ
    会計の専門知識が限られている場合や、簡易な記録で事業の財務管理を行いたい場合に単式簿記が選ばれます。

【適用状況の検討】
どちらの簿記方法を選択するにせよ、事業の将来的な成長や変化する管理ニーズを考慮することが重要です。
例えば、小規模で始めた事業が成長するにつれて、複式簿記への移行が必要になる場合があります。
逆に、複雑な複式簿記が過剰であると感じる場合、単式簿記によるシンプルな管理が望ましい状況も考えられます。

選択する簿記方法は、事業の現在および将来のニーズに適したものであるべきです。
複式簿記はその詳細さと正確さで、多くの中規模から大規模企業の財務管理に不可欠です。
一方、単式簿記はそのシンプルさから、小規模事業や個人事業主に適しており、効率的な財務管理を可能にします。

複式簿記の基本用語

複式簿記を理解する上で欠かせないのが、その基本用語の把握です。
複式簿記は、企業の財務取引を正確に記録し、管理するための強力なツールですが、このシステムを効果的に使用するためには、「借方と貸方」の概念、さまざまな「勘定科目」、そして「仕訳」の基本ルールを理解する必要があります。
これらの用語は、複式簿記の基盤を形成し、企業が自身の財務状況を明確に把握するための鍵となります。
借方と貸方は取引の二面性を表し、勘定科目は取引の種類を分類します。
仕訳はこれらの取引を適切に記録するプロセスを指します。
このセクションでは、複式簿記の基本用語とその使用方法について解説します。

借方と貸方の理解

複式簿記システムでは、すべての会計取引を借方(Debit)と貸方(Credit)の両面から記録します。
この二重の記録方法により、企業の財務状況と取引の影響を正確に追跡し、財務諸表の整合性を保ちます。

<借方(Debit)>
定義: 借方は、資産の増加、費用の発生、または収益の減少を表す会計項目に適用されます。
借方に記録されることは、企業の資源が増加したり、費用が発生したりすることを意味します。

【適用例】
資産の増加: 現金が増える取引は、現金勘定の借方に記録されます。
費用の発生: 広告費などの費用が発生する場合、その費用勘定の借方に記録されます。

<貸方(Credit)>
定義: 貸方は、負債の増加、収益の発生、または資産の減少を表す会計項目に適用されます。
貸方に記録されることは、企業の負債が増加したり、収益が発生したり、資産が減少したりすることを意味します。

【適用例】
負債の増加: 銀行からの借入があった場合、その負債勘定の貸方に記録されます。
収益の発生: 商品の販売により収益が発生した場合、収益勘定の貸方に記録されます。

●取引の二重性
複式簿記では、すべての取引が借方と貸方の両方に影響を与えることに注意が必要です。
例えば、商品を現金で購入した場合、資産勘定の一つである「現金」が減少(貸方)し、同時に別の資産勘定である「商品在庫」が増加(借方)します。
このように、複式簿記はすべての取引を完全なバランスの下で記録し、企業の財務状況を正確に反映します。

複式簿記のこの基本原則を理解し適用することで、企業は財務諸表を正確に作成し、経営の透明性と信頼性を高めることができます。
借方と貸方の正確な記録と管理は、企業の健全な財務管理の礎となります。

主要な勘定科目

複式簿記システムにおける勘定科目は、企業の経済活動を体系的に分類し、記録するために不可欠です。
以下に、主要な勘定科目とそれぞれの役割を示します。

1. 資産(Assets))
定義: 企業が所有する経済的価値のあるリソース。
これには、現金、銀行預金、在庫、機械設備、不動産などが含まれます。
役割: 資産科目は、企業の経済的資源の増減を記録します。
資産の増加は借方、減少は貸方に記録されます。

2. 負債(Liabilities))
定義: 企業が他者に対して持つ経済的な責任や債務。
これには、銀行ローン、支払い未了の請求書、未払い給与などが含まれます。
役割: 負債科目は、企業の債務の増減を記録します。
負債の増加は貸方、減少は借方に記録されます。

3. 資本(純資産)(Equity))
定義: 企業の所有者や株主に帰属する権益。
資本は、企業の資産から負債を差し引いた残余の価値を表します。
役割: 資本科目は、企業の所有者権益の増減を記録します。
出資や利益の再投資による増加は貸方、損失や配当による減少は借方に記録されます。

4. 収益(Revenue))
定義: 企業の主要な活動から得られる収入。
これには、商品の販売、サービスの提供、賃貸収入などが含まれます。
役割: 収益科目は、企業の収入の増加を記録します。
収益の増加は貸方に記録されます。

5. 費用(Expenses)
定義: 企業の運営に関連するコスト。
これには、原材料費、人件費、広告費、家賃などが含まれます。
役割: 費用科目は、企業の運営コストの増加を記録します。
費用の増加は借方に記録されます。

これらの勘定科目を適切に管理することで、企業は財務状況を明確にし、効果的な経営判断を下すための財務諸表を作成することができます。

仕訳の基本ルール

仕訳は複式簿記における核心的なプロセスであり、経済活動に伴う取引を会計帳簿に記録する行為です。
仕訳には以下の基本ルールが適用されます。

1. 資産の増減
資産増加: 取引によって企業の資産が増加する場合(例: 現金の受領、在庫の購入)、その増加分は借方に記録されます。
資産減少: 資産が減少する場合(例: 現金の支払い、在庫の販売)、その減少分は貸方に記録されます。

2. 負債と資本の増減
負債・資本増加: 負債や資本が増加する場合(例: 銀行からの借入、出資の受け入れ)、その増加分は貸方に記録されます。
負債・資本減少: 負債や資本が減少する場合(例: 借入金の返済、配当の支払い)、その減少分は借方に記録されます。

3. 収益と費用
収益: 企業の収益が発生する場合(例: 商品の販売、サービスの提供)、収益は貸方に記録されます。
費用: 企業が費用を発生させる場合(例: 広告費の支払い、賃料の支出)、費用は借方に記録されます。

仕訳の実践

仕訳を行う際には、以下の手順を実践します。

①取引の識別
取引が発生したことを確認し、その性質を理解します。

②勘定科目の選定
取引に影響を受ける勘定科目を特定します。

③借方・貸方の決定
取引による各勘定科目の増減を分析し、適切な勘定科目を借方または貸方に割り当てます。

④仕訳の記録
借方と貸方の勘定科目と金額を会計帳簿に記録します。

仕訳の正確な実施により、企業は財務状況を正確に把握し、有効な経営判断のための財務報告を作成することが可能になります。
仕訳の基本ルールを遵守し、適切な勘定科目に取引を割り当てることが、複式簿記における正確な財務記録の保証となります。

複式簿記の記帳方法

複式簿記の記帳方法は、企業の財務取引を正確に追跡し、報告するための基盤を形成します。
このプロセスは、仕訳帳の記入から始まり、総勘定元帳や補助簿への転記、そして貸借対照表の作成に至るまで、一連の段階を経て行われます。
仕訳帳では、全ての取引が借方と貸方に分けて記録され、これに基づき総勘定元帳では各勘定科目の取引がまとめられます。
さらに、補助簿を用いて特定の勘定科目の詳細情報を管理し、貸借対照表を作成することで、特定時点での企業の財務状態を明確に示すことができます。

このセクションでは、複式簿記の記帳方法について、仕訳帳の記入から貸借対照表の作成までの具体的なプロセスと、日常経理処理の実例を通じて解説します。

仕訳帳の記入方法

仕訳帳の記入は、複式簿記プロセスにおける初歩的かつ重要なステップです。
このプロセスを通じて、全ての経済活動が体系的に記録されます。

1.取引を識別する
まず、発生した取引の日付、性質を識別します。
取引が発生した正確な日付を記録することが重要です。

2.勘定科目を選定する
取引に関連する勘定科目を特定します。
例えば、現金の受領は「現金」勘定、商品購入は「仕入れ」勘定に関連します。

3.借方と貸方を決定する
取引によって資産が増加する場合は借方に、減少する場合は貸方に記録します。
負債や資本の増加は貸方、減少は借方に記録します。
収益は貸方に、費用は借方に記録されます。

4.金額を記入する
取引による金額を、借方と貸方の適切な勘定科目に記入します。
取引ごとに両側の合計金額が一致することを確認します。

5.摘要を記載する
取引の内容や目的を簡潔に説明する摘要を加えます。
これにより、後日のレビューや分析時に取引の詳細が明確になります。

6.バランスを確認する
仕訳帳に記入した後、各取引で借方と貸方の合計が一致しているかを確認します。
これにより、会計の基本原則であるバランスが保たれていることを保証します。

正確な仕訳帳の記入は、財務報告の正確性と透明性を確保するための基礎を形成します。
適切な勘定科目の選定、借方と貸方のバランスの取り方、取引の明確な説明が、効果的な財務管理と分析に不可欠です。
仕訳帳への丁寧な記入は、複式簿記プロセスの正確性を保証し、企業の財務健全性の維持に寄与します。

総勘定元帳と補助簿

複式簿記システムにおいて、総勘定元帳と補助簿は、企業の財務情報を正確に記録し、管理するための重要な帳簿です。
これらは、企業の財務状況を明確にするとともに、適切な財務分析と報告の基盤を提供します。

<総勘定元帳の役割>
定義:総勘定元帳は、仕訳帳に記録された取引を勘定科目ごとに体系的にまとめた帳簿です。
機能:この帳簿では、各勘定科目における借方と貸方の変動を追跡し、会計期間の最後に各勘定科目の残高を計算します。
これにより、企業の財務状況の全体像が把握できます。

<補助簿の役割>
定義: 補助簿は、特定の勘定科目に関連する取引の詳細情報をさらに細かく記録する帳簿です。
機能: 特に、売掛金勘定や買掛金勘定など、多数の取引が発生し、個別の取引の詳細が重要になる勘定科目の管理に有効です。
補助簿により、個々の顧客や取引に関する具体的な情報を維持し、総勘定元帳の管理を補完します。

●相互関係
総勘定元帳と補助簿は連動して機能します。
総勘定元帳が企業の財務状況の「全体像」を提供するのに対し、補助簿は「詳細情報」に焦点を当てます。
補助簿からの情報は総勘定元帳に集約され、企業の財務諸表の作成の基礎となります。

(例)
売掛金補助簿: 個々の顧客からの売掛金の残高を追跡し、期間内の各顧客の取引履歴を記録します。
買掛金補助簿: 供給者ごとの買掛金の残高を管理し、期間内の支払い履歴や請求書の詳細を記録します。

総勘定元帳と補助簿を効果的に使用することで、企業は財務情報の正確性と透明性を確保し、より詳細な財務分析を行うことが可能になります。
これらの帳簿は、財務報告の精度を高め、経営意思決定を支援する貴重なツールです。

貸借対照表の作成

貸借対照表は、企業の特定の時点での財務状態を示す重要な財務諸表です。
以下に、その作成過程を示します。

1. 総勘定元帳を確認する
貸借対照表を作成する前に、総勘定元帳に記録された全ての勘定科目の残高を確認します。
この過程では、仕訳帳に記入された取引が各勘定科目に正確に転記されているかを検証します。

2. 資産を集計する
貸借対照表の左側には資産を記載します。
資産には、流動資産(現金、預金、売掛金など)と固定資産(機械設備、不動産、無形資産など)が含まれます。
各資産項目の総勘定元帳からの残高を集計し、資産の合計金額を算出します。

3. 負債と資本(純資産)を集計する
貸借対照表の右側には負債と資本(純資産)を記載します。
負債には、短期負債(未払金、買掛金など)と長期負債が含まれます。
資本(純資産)は、所有者資本(株主資本)や留保利益などから構成されます。
これらの項目の残高を総勘定元帳から集計し、負債と資本の合計金額を算出します。

4. 貸借対照表を作成する
資産、負債、資本(純資産)の合計が計算されたら、それらを貸借対照表の形式に記載します。
資産の合計と負債および資本(純資産)の合計が一致することを確認し、企業の財務状態のバランスを保証します。

5. 財務的健全性と安定性の評価
貸借対照表を用いて、企業の財務的健全性と安定性を評価します。
資産と負債および資本(純資産)の比率から、企業の財務構造や流動性、債務返済能力などを分析します。

複式簿記の具体例

企業が商品を10,000円で現金販売した場合、この取引によって企業の現金は増加し、同時に売上収益も発生します。
複式簿記では、このような取引を借方(Debit)と貸方(Credit)に分けて記録することで、企業の財務状況に与える影響を明確にします。

●仕訳方法
この取引の仕訳は以下のようになります。

借方(Debit): 現金 10,000円
企業の現金資産が増加することを示します。
資産の増加は借方に記録されます。
貸方(Credit): 売上 10,000円
企業の収益が発生することを示します。
収益の発生は貸方に記録されます。

仕訳帳へ記録する

日常経理処理の例

日常経理では、多岐にわたる取引が発生します。
例えば、事務用品を2,000円で購入し、現金で支払った場合、事務用品の購入(費用の増加)を借方に、現金の減少を貸方に記録します。
仕訳は以下の通りです。

●事務用品の購入
取引内容: 事務用品を2,000円で購入し、現金で支払った場合。

借方 貸方
事務用品費 2,000円 現金 2,000円

この仕訳により、事務用品の購入に伴う費用の増加と、支払いによる現金の減少が記録されます。
事務用品費の増加は企業の運営費用として扱われ、現金の減少は資産勘定の変動として反映されます。

<年末調整と決算処理の例>

●未払いの電気代
取引内容: 年末に未払いの電気代が5,000円あった場合。

借方 貸方
電気代 5,000円 未払金 5,000円

この仕訳により、電気代としての費用の増加と、それに伴う未払い負債の増加が記録されます。
電気代の増加は運営費用の一部として処理され、未払金の増加は企業が将来支払うべき負債として管理されます。

【決算処理の役割】
決算処理では、年間を通じて発生した全ての取引の総括を行い、企業の財務状態と経営成績を示す決算書を作成します。
このプロセスには、以下のステップが含まれます。

①取引の確認と整理
年間を通じて発生したすべての取引を確認し、仕訳帳や総勘定元帳で適切に記録されていることを確認します。

②勘定残高の確認
各勘定科目の借方と貸方の残高を確認し、必要に応じて調整仕訳を行います。

③財務諸表の作成
確認されたデータを基に、貸借対照表(バランスシート)、損益計算書(プロフィットアンドロスステートメント)、キャッシュフロー計算書などの財務諸表を作成します。

日常経理処理と決算処理は、企業が財務の透明性を保ち、正確な経営判断を下すための基礎を提供します。
正確な記録と適切な分析により、企業は財務健全性を維持し、持続可能な成長を目指すことができます。

複式簿記でつける帳簿の種類(主要簿・補助簿)

複式簿記では、企業の取引を正確かつ体系的に記録するために、「主要簿」と「補助簿」の2つの帳簿が用いられます。
​これらを適切に活用することで、企業の財務状況を明確に把握し、経営判断や税務申告などに役立てることができます。

■主要簿

主要簿は、すべての取引を網羅的に記録する基本的な帳簿で、以下の2つが含まれます。

仕訳帳
発生したすべての取引を日付順に仕訳して記録する帳簿で、すべての帳簿のなかでも最初に記録するもの。

総勘定元帳
仕訳帳に記録された取引を勘定科目ごとに整理し、各勘定の増減や残高を把握するための帳簿。

■補助簿

補助簿は、主要簿を補完し、特定の取引や勘定科目の詳細を記録するための帳簿です。
​企業の規模や業種に応じて、必要な補助簿を選択して作成します。
​補助簿はさらに、補助記入帳と補助元帳に分類されます。

補助記入帳

特定の取引について、発生順に詳細を記録する帳簿で、主なものには以下があります。

​ 現金出納帳
現金の収入と支出に関する増減の明細を記録する帳簿。

小口現金出納帳
日常発生する旅費や消耗品や事務用品の購入などの小払業務を効率化、簡素化するために小口現金の管理、支払いを用度係に行わせる際に使用。

当座預金出納帳
当座預金の収支明細を取引順に記録する帳簿。

受取手形記入帳
受け取った手形の詳細を記録する帳簿。

支払手形記入帳
振り出した手形の詳細を記録する帳簿。

売上帳
商品の販売に関する詳細を記録する帳簿。

仕入帳
商品の仕入れに関する詳細を記録する帳簿。

補助元帳

総勘定元帳の各勘定科目をさらに詳細に分類し、個別の取引内容を明確にするための帳簿で、主なものには以下があります。

​ 商品有高帳
商品の入出庫や在庫状況を詳細に記録する帳簿。

売掛金元帳(得意先元帳)
得意先ごとの売掛金の発生や回収状況を記録する帳簿。

買掛金元帳(仕入先元帳)
仕入先ごとの買掛金の発生や支払状況を記録する帳簿。

固定資産台帳
固定資産の取得や減価償却、売却などの詳細を記録する帳簿。

これらの主要簿と補助簿を適切に活用することで、企業の取引を詳細かつ正確に記録・管理し、財務状況の把握や経営判断の質を向上させることができます。

青色申告の複式簿記

青色申告は、個人事業主やフリーランスの人が税務申告を行う際に、一定の条件を満たすことで税制上の優遇措置を受けられる制度です。
​この制度を利用するためには、日々の取引を正確に記録し、適切な帳簿を作成することが求められます。
​特に、最大65万円の青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記による記帳が必要です。

​ ・必要な帳簿の種類
複式簿記による青色申告では、前述のとおり、主要簿と補助簿の作成が必要です。
​主要簿には、日々の取引を時系列で記録する「仕訳帳」と、各勘定科目の取引を整理する「総勘定元帳」が含まれます。
​補助簿には、現金の収支を管理する「現金出納帳」、売掛金や買掛金の管理を行う「売掛帳」や「買掛帳」、経費の詳細を記録する「経費帳」、固定資産の取得や減価償却を管理する「固定資産台帳」などがあります。

​ ・帳簿の作成方法
複式簿記による帳簿は手書きで作成できますが、取引が多い場合や計算ミスを防ぐためには、会計ソフトやExcelを利用するのが望ましいでしょう。
​会計ソフトを使用すると、仕訳の入力に基づいて自動的に総勘定元帳や財務諸表が作成されるため、効率的かつ正確に帳簿を管理できます。

​ ・控除額と要件
青色申告特別控除の額は、複式簿記による記帳と一定の要件を満たすことで、最大65万円の控除が受けられます。
​ただし、2020年分以降の申告では、電子申告(e-Tax)または電子帳簿保存を行わない場合、控除額は55万円となります。
​一方、簡易簿記など複式簿記以外の方法で記帳した場合の控除額は10万円となります。

​ 以上、青色申告において複式簿記を適切に行うことは、税制上の優遇を受けるためだけでなく、事業の財務状況を正確に把握し、健全な経営を維持するうえでも重要です。

会計ソフトを使った複式簿記の記帳

会計ソフトを活用すれば、初心者でも簡単に複式簿記の記帳が可能になります。
複式簿記は正確な財務管理が求められますが、手作業ではミスが発生しやすく、計算にも時間がかかります。

しかし、会計ソフトを使えば、画面の指示に従って必要項目を入力するだけで、自動的に仕訳が行われます。
また、総勘定元帳や各種補助元帳、損益計算書・貸借対照表などの決算書を作成できます。
クラウド型の会計ソフトならどこからでもアクセスでき、税理士とデータ共有が可能です。
会計ソフトを活用することで、正確かつ効率よく複式簿記を管理でき、経理業務の負担を大幅に軽減できます。

おすすめのクラウド会計・会計システム

クラウド会計・会計システムの導入を検討している方は以下記事もあわせてご確認ください。
おすすめのクラウド会計・会計システムについては、記事内の「おすすめのクラウド会計ソフト比較」をご確認ください。

迷わないクラウド会計システム比較8選|中小企業から個人事業主まで必要な機能や比較のポイントも合わせて解説

本記事のおさらい:複式簿記に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 複式簿記って初心者でも始められますか?

A. はい、最近では会計ソフトを使えば、複式簿記の知識がなくても始められます。
取引内容を入力するだけで、自動的に仕訳を行ってくれるソフトも多く、初心者でも安心です。
最初は基本的な仕訳パターンを覚えるところから始めるとスムーズです。

Q2. 複式簿記にしないと青色申告はできませんか?

A. 青色申告自体は簡易簿記(単式簿記)でも可能ですが、最大65万円の控除を受けるには複式簿記で記帳し、確定申告書に損益計算書と貸借対照表を添付する必要があります。
節税効果を得たい場合は、複式簿記が有利です。

Q3. 複式簿記ではどんな帳簿を用意すればいいですか?

A. 主に「仕訳帳」と「総勘定元帳」の2つの帳簿が必要です。
さらに、取引内容によっては「現金出納帳」や「売掛帳」「買掛帳」などの補助簿も使用します。
会計ソフトを使えば、これらの帳簿も自動で作成できます。

Q4. 単式簿記から複式簿記に切り替えるタイミングは?

A. 取引件数が増えてきたときや、事業が成長してきたときが切り替えの目安です。
財務状況を正確に把握したい、銀行融資を検討している、青色申告の控除額を増やしたいといった場合も、複式簿記に移行するメリットがあります。

Q5. 複式簿記でミスした場合、どうすればいいですか?

A. ミスが見つかったら、仕訳帳や元帳を修正し、再集計しましょう。
借方と貸方の金額が一致しない場合は、どこかで誤った仕訳がある可能性が高いため、直近の仕訳から順に確認すると見つけやすいです。
会計ソフトを使っている場合は、履歴や検索機能を活用すると効率的です。

まとめ

複式簿記は、取引を「借方」と「貸方」の2つの視点で記録する会計方法で、企業の財務状況を正確に把握できます。
単式簿記に比べてミスを防ぎやすく、決算書の作成にも役立ちます。
会計ソフトを活用すれば、初心者でも簡単に複式簿記を導入でき、経理業務の効率が向上します。
正確な経理管理のために、複式簿記を活用することが重要です。


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