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「簿記1級はやめとけ」と言われるのはなぜ?
日商簿記1級は、難易度の高い資格として知られており、取得することで高い評価を得られる資格です。しかし、一部には取得を目指すのは「やめとけ」という声があります。
そこで今回は、なぜ簿記1級は「やめとけ」と言われるのか、その背景を考察しました。
簿記1級の正式名称は「日商簿記検定1級」であり、日本商工会議所が実施する日商簿記検定の中で最も高度な資格試験です。 日本商工会議所・各地商工会議所のHPでは、簿記1級のレベルについて、「極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。 合格すると税理士試験の受験資格が得られる。公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門」と記載されています。
日本商工会議所・各地商工会議所
https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class1
簿記1級の難易度は非常に高いです。 簿記3級、簿記2級、簿記1級の順に難易度が上がっていき直近10回分の合格率はそれぞれ、簿記3級の合格率が約39%、簿記2級の合格率が約20%、簿記1級の合格率が約11%でした。
簿記2級と簿記1級は同じことを聞かれている問いでも、簿記1級の方がより本質的な理解を求められますので、広い試験範囲を網羅的に勉強していく計画性が重要です。
簿記1級の合格率は以下で、直近の簿記1級合格率平均は11.22%でした。
回 | 受験者数(申込者数) | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
165(2023.11.19) | 12,886名 | 10,251名 | 1,722名 | 16.8% |
164(2023.6.11) | 11,468名 | 9,295名 | 1,164名 | 12.5% |
162(2022.11.20) | 12,286名 | 9,828名 | 1,027名 | 10.4% |
161(2022.6.12) | 11,002名 | 8,918名 | 902名 | 10.1% |
159(2021.11.21) | 11,389名 | 9,194名 | 935名 | 10.2% |
158(2021.6.13) | 9,310名 | 7,594名 | 746名 | 9.8% |
157(2021.2.28) | 7,785名 | 6,351名 | 502名 | 7.9% |
156(2020.11.15) | 10,078名 | 8,553名 | 1,158名 | 13.5% |
155(2020.6.14) | 中止 | - | - | - |
153(2019.11.17) | 9,481名 | 7,520名 | 735名 | 9.8% |
1級受験者データ(統一試験)
https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/candidate-data/data_class1
簿記1級は希少な資格なので、その高い専門性から転職や就職に有利になる他、キャリアパスにも影響します。企業の経理部門や財務部門、監査法人、税理士事務所など、多くの職場でその専門知識が求められ、具体的なキャリアパスとしては、経理スタッフから始まり、経理マネージャーや財務部長、さらにはCFO(最高財務責任者)などの管理職への昇進が考えられます。
さらに、簿記1級を取得した後に公認会計士や税理士の資格取得を目指すことも可能です。これらの資格は、長期的なキャリア形成において大きなメリットとなります。簿記1級は、そのための重要なステップとなるでしょう。
簿記1級は、試験範囲が非常に広く、商業簿記、工業簿記、連結会計、税務会計、会社法、管理会計など、多岐にわたる専門知識を習得する必要があるため、独学であれば約1,000~2,000時間、通学・通信講座の場合でも約500~800時間は必要とされています。 通学・通信講座の場合、これに当てはめると1日2時間勉強で13ヶ月~9ヶ月くらいかかる計算になります。
勉強時間を効率的に使うためには、計画的な学習が欠かせませんので、まずは、全体の学習スケジュールを立て、各分野に対してどのくらいの時間を割り当てるかを決めましょう。
次に、具体的な日々の学習計画を立て、毎日の学習進捗を確認しながら進めることが重要です。特に、過去問題の演習を繰り返すことで、実際の試験で求められる問題解決能力を養うことができます。
簿記1級の取得は、もちろん独学でも不可能ではありませんが、効率的に勉強を進めたいのであれば通学・通信講座の活用がすすめです。
プロの講師から直接指導を受けることで、難解な部分も理解しやすくなり、モチベーションの維持にもつながります。 簿記1級の学習は長期戦です。勉強時間を確保するために、日常生活の中での時間管理を工夫し、継続的に学習を進めることが合格への近道です。
MS-Japanが運営するManegyでは、資格取得の応援も行っており、普段から安価なKIYOラーニングの『スタディング』のサービスを、Manegyの会員は更にお得な特別価格で利用できます。簿記資格のプランもありますので、気になる方は是非詳細をご確認ください。
簿記1級を取得していれば様々な企業で評価を受け、高年収を狙える傾向にあります。 簿記1級は高度な会計知識と実務能力を証明するものであり、企業にとって非常に価値のある人材と見なされます。特に、経理や財務部門の役職者や管理職を目指す場合、簿記1級の資格が有利に働きます。
簿記1級取得者の年収は、経験や業界、勤務地によって異なりますが、一般的に取得前と比べて年収が50万円から100万円程度上昇することが期待されます。 例えば、中堅企業の経理部門では、簿記1級取得者は収500万円から700万円程度の範囲で働くことが多いです。また、大手企業や外資系企業では、さらに高い年収を得ることができる場合もあります。
さらに、簿記1級を取得することでキャリアパスが広がり、管理職への昇進や重要なプロジェクトへの参画が増えるため、長期的に見ても収入の向上が見込まれます。 また、企業内での評価が高まり、ボーナスや昇給の対象となることも多く、トータルの収入増加に寄与することもあるでしょう。
総じて、簿記1級を取得することで年収が上がる可能性は高く、キャリアアップや転職による収入増加を見込むことができます。
とは言え、簿記1級取得済=高年収ではないので注意が必要です。簿記1級のスキルを活かして業務で貢献できる⇒高年収になるので、転職の際などはスキルと経験を絡めたアピールが必要です。
「簿記1級」と調べると「簿記1級 やめとけ」と出てくる…と思った方もいるのではないでしょうか。
そう言われる理由は主に2つ挙げられます。
➀簿記1級の合格率が低いこと
簿記1級合格までには多くの時間と労力が必要であり、膨大な学習範囲と深い理解が求められるため、途中で挫折する人も少なくありません。
➁簿記2級を取得していれば十分である
公認会計士や税理士を目指す際は別ですが、経理職であれば基本的に簿記2級を取得していれば就職・転職時に困ることはありません。
部長職やCFOを目指す場合も、簿記1級は取得しておいて損はないでしょう。 自分のキャリアプランにもよりますが、簿記1級合格には十分な勉強時間を確保しなければならないので、自分の仕事に直結しにくい知識であれば、必ずしも簿記1級の取得にこだわらなくても良いかもしれません。
簿記1級と公認会計士資格は、いずれも会計分野での高度な専門知識を証明する資格ですが、それぞれの目的や難易度、キャリアパスに違いがあります。
1. 試験内容と難易度の違い
簿記1級は、日本商工会議所が実施する日商簿記検定の最高レベルであり、財務会計と管理会計の知識を問う試験です。一方、公認会計士資格は、会計に加えて監査、税務、経営学など幅広い分野の知識を必要とする国家資格です。公認会計士試験の難易度は非常に高く、長期間にわたる勉強と実務経験が求められます。
2. 資格取得までの道のり
簿記1級は、一般的には大学生や社会人が受験し、合格までに800~1000時間の学習が必要と言われており、独学や専門学校、通信講座などの方法があります。
公認会計士資格を取得するには、一次試験(短答式)と二次試験(論文式)の合格が必要で、さらに2年以上の実務経験と実務補習が必要です。全体としては一般的に3~5年程度の時間を要するとされています。
3. キャリアパスの違い
簿記1級を取得すると、経理や財務部門の専門職としてのキャリアが広がります。特に経理マネージャーや財務部長などの管理職への昇進が期待されます。公認会計士資格を取得すると、監査法人での監査業務やコンサルティング、税理士事務所での税務業務、さらには企業のCFO(最高財務責任者)や内部監査部門のリーダーなど、より広範な職務に従事することができます。
4. 簿記1級の公認会計士試験への影響
簿記1級の知識は、公認会計士試験の基礎知識として非常に役立ちます。多くの公認会計士受験者は、簿記1級を取得してから公認会計士試験に挑むことが一般的です。
簿記1級で学ぶ財務会計や管理会計の知識は、公認会計士試験の一次試験および二次試験の内容と重なる部分が多く、試験対策として有効です。
簿記1級の取得は、会計や経理の専門知識を深め、キャリアアップや年収向上、転職市場での競争力向上など、多くのメリットをもたらします。高度な会計知識とスキルを習得することで、企業の財務報告やコスト管理、予算策定など、実務において即戦力として活躍できる能力を身につけることができます。また、資格取得により、企業の経理部門や財務部門での昇進のチャンスが広がり、転職時にも強力なアピールポイントとなるでしょう。
さらに、簿記1級は公認会計士や税理士資格取得のための基礎知識をカバーしているので、これらの上級資格を目指す際の第一歩としても有効です。自己啓発とスキルアップの意識向上にも繋がり、長期的なキャリア形成において非常に有益です。
このように、簿記1級の取得は多くの努力と時間を要しますが、そのリターンは大きく、会計分野でのプロフェッショナルとしての信頼性とキャリアの幅を広げるための重要なステップとなるでしょう。
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