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女性の社会参画が叫ばれて久しい日本ですが、世界的に見ると男女の賃金格差はまだまだあるようです。
この格差を是正するために政府は、関係省庁で連携した組織、「女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム(以下、PT)」を発足させました。
この記事では、PTの初会合の内容や日本の男女賃金格差の現状などについて紹介します。
2024年4月24日、首相官邸にてPT(座長:矢田稚子首相補佐官)の初会合が開かれました。岸田首相は「男女の賃金格差は産業ごとにばらつきがあり、差が大きい産業を中心に是正していく必要があること」と「経済社会の持続的発展の観点からも、女性の活躍が必要不可欠であること」を強調し、職場環境の変化の推進を指示しました。
PTでは今後、女性が生き生きと働ける社会を目指し、好事例を踏まえた施策の検討などを進めるとしています。
日本の男女賃金格差は、諸外国よりも大きいとされています。経済協力開発機構(OECD)のデータによると、2022年の日本の賃金の男女差は21.3%です。アメリカが17%、イギリスが14.5%、スウェーデンやポーランドなどの一部ヨーロッパ諸国では10%を下回るなど、主要国の多くは日本より男女の賃金格差が小さいことがわかりました。
参考:OECD男女間賃金格差 (Gender wage gap)
PTでも、男女の賃金格差を欧州先進国並みの水準に近づけるよう、施策を推進していくことが確認されています。
なぜ日本では、男女の賃金格差が大きいのでしょうか?
主な原因は男女の非正規雇用者数と管理職数にあると考えられています。それぞれ見ていきましょう。
日本において女性は結婚や出産、介護など、雇用形態が変わるライフイベントがいくつか存在します。これらのタイミングで正規雇用(正社員)を辞め、パートやアルバイトなどに移行する女性も決して少なくありません。非正規雇用では正社員に比べて給与が少ない傾向にあるので、男女差が開きやすいというわけです。
また、産休・育休後に時短勤務の正社員として職場復帰する女性もいます。一般的に時短勤務はフルタイム勤務と比較して給与が低くなります。この時短勤務利用者の多さも、男女の賃金差が広がる一因です。
内閣府の調査によれば、2020年の日本の管理職女性の割合は、係長級が21.3%、課長級が11.5%、部長級が8.5%です。上位の役職にいくほど女性の割合が低く、部長級の女性の割合は、課長級の女性の割合の半分以下にまで下がります。
同調査では各国の「就業者に占める女性の管理職割合」も算出されています。それによれば日本では女性管理職の割合が13.3%なのに対して、アメリカは41.1%、スウェーデンは40.2%など、諸外国は遥かに高い割合になっています。
役職は収入に直結する要素であるため、日本の女性管理職の少なさが、男女の賃金格差につながっているという見方もできそうです。
男女の賃金格差はいくつかの社会的問題の原因となっています。代表的なものが「女性の自立が困難になる」ということです。
夫婦のおよそ3組に1組が離婚するといわれている現代において、女性の経済的自立は大きな課題です。女性が男性の収入に頼っている状況では突然の離婚による貧困リスクが上昇するでしょう。
また、離婚以外にも、事情によって男性の就労が不可能になれば、世帯収入が激減するという可能性も否定できません。
男女の賃金格差をなくし、性別に関係なく活躍できる社会を創出することが、女性の経済的な安定につながります。
男女の賃金格差をなくすためには、「女性の雇用機会の創出」と「能力と希望に応じた人事」が欠かせません。
産休や育休制度などもうまく活用しながら、ライフステージが変化しても雇用形態や給与が変わらない環境を作ることが非常に重要でしょう。
一方で、本人の希望が叶いやすい社会というのもポイントです。男女の賃金格差を是正するために女性に労働を強いてしまっては本末転倒です。
中には、「多少賃金が下がっても時間的な余裕を捻出したい」と考えている方もいるかもしれません。大切なのは、場面場面によって変化するニーズに柔軟に応えられる社会、企業であることではないでしょうか。
日本は他の先進国に比べて、男女の賃金格差が大きい傾向にあります。この格差を是正するため、2024年4月にはPTの会合が開かれ、あらためて各種施策を推進していくことが確認されました。
好事例などを参考にしながら、できるだけ早急に環境を整備していくことが重要でしょう。
また一方で、格差をなくすために労働を強制するようになってはいけません。男女問わず、希望やニーズが叶うような労働環境を整備することも日本社会の大きな課題です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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