テレワークとは？導入時のポイントやメリットデメリット

コロナ禍以降、テレワークの普及は急速に進み、アフターコロナの現在も導入を続けている企業は多いです。
テレワークの導入により、従来のオフィスベースのワークスタイルから自由な働き方へのシフトし、多くの企業が新しい働き方を確立しました。

以下では、テレワークの主な特徴、導入時の重要なポイント、そしてその利点と課題について詳しく解説します。

テレワークとは？

一般社団法人日本テレワーク協会によると、テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことで、今後はテクノロジーの更なる高度化により、人とデジタルがコラボする多様な働き方として進化すると記載されています。

一般社団法人日本テレワーク協会
https://japan-telework.or.jp/tw_info/tw_about/

テレワークの主な目的は、通勤時間の削減、生産性の向上、ワークライフバランスの改善などです。また、災害時や緊急時における業務の継続性を高めるための手段としても有効です。新型コロナウイルスによるパンデミックの際には、感染拡大の防止策として広く導入され、以後、多くの企業で標準的な働き方の一つとして定着しています。

テレワーク、リモートワーク、在宅勤務の違い

テレワーク、リモートワーク、在宅勤務という用語は、しばしば同じような意味で使われることがありますが、微妙な違いがあります。それぞれの意味は以下です。

・テレワーク
場所にとらわれずに情報通信技術を利用して業務を行う働き方の総称

・リモートワーク
テレワークの一形態で、自宅やカフェなどオフィス以外の任意の場所で仕事をすること

・在宅勤務
リモートワークの一種で、特に自宅を仕事場として使用すること

共通してオフィス以外の場所での労働を指しますが、ニュアンスが微妙に異なるのです。

テレワーク導入時のポイント

コミュニケーションツールの選定と活用

テレワークを成功させるためには、効果的なコミュニケーションが不可欠です。 選定するツールは、チームのニーズに合わせて選ぶことが重要で、ビデオ会議、インスタントメッセージング、プロジェクト管理ツールが一般的です。例えば、ZoomやMicrosoft Teamsはビデオ会議に適しており、SlackやMicrosoft Teamsのチャット機能は日常的なコミュニケーションやファイル共有に便利です。TrelloやAsanaのようなプロジェクト管理ツールを用いることで、タスクの進捗を可視化し、チーム内の調整を効率化することが可能です。これらのツールを適切に組み合わせることで、リモートワーク中の情報の透明性を保ち、チームの一体感を維持できます。

セキュリティ対策の徹底

テレワーク導入においてセキュリティは非常に重要です。リモートワークでは、データの漏洩や不正アクセスのリスクが増大するため、VPNの利用、強力なパスワードポリシーの設定、多要素認証の導入が推奨されます。

また、従業員に対するセキュリティ教育も欠かせません。フィッシング詐欺やマルウェアに関する知識を提供し、定期的な更新を行うことで、リスクに対する意識を高めることが可能です。企業はセキュリティソフトウェアを最新の状態に保ち、適切なセキュリティ監視と迅速な対応体制を整えることが求められます。

ワークライフバランスの支援

テレワークは、ワークライフバランスの向上に寄与する一方で、仕事と私生活の境界が曖昧になりがちです。企業は従業員が健康的なワークライフバランスを保てるよう支援することが重要です。具体的には、フレキシブルな勤務時間の設定、適切な休憩の推奨、仕事の量と期待の明確化が挙げられます。

また、在宅勤務での適切な作業環境の整備をサポートするための補助金やリソースの提供も有効です。定期的なウェルネスプログラムやバーチャルな社交イベントを提供することで、社員のエンゲージメントと健康を維持し、生産性の低下を防ぐことができます。

テレワークのメリット

通勤時間の削減と生産性の向上

テレワークの最大の利点の一つは、通勤時間の削減です。通勤にかかる時間がなくなることで、従業員はその時間を仕事やプライベートな活動に有効活用できます。また、通勤のストレスが減少することで、仕事への集中力が向上し、結果的に生産性の向上が期待できます。

さらに、自宅で働くことによって、個々の最も効率的な時間帯に作業を行えるため、仕事の質が向上することもあります。これにより、従業員の満足度も高まり、企業のパフォーマンス向上につながる可能性があります。

フレキシブルな勤務環境と従業員のウェルビーイング

テレワークは従業員に勤務地や時間の柔軟性を提供します。これにより、従業員は自分の生活リズムに合わせて仕事をすることができ、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなります。

例えば、子育てや介護など、個人のライフステージに応じた働き方が可能になるため、従業員のウェルビーイング（幸福感）が向上します。また、このような環境は従業員のモチベーションを高め、長期的には企業の離職率の低下にも寄与するとされています。従業員が幸せであるほど、その成果は仕事の質と効率に反映されるため、組織全体のパフォーマンス向上が期待できます。

環境への貢献と企業のコスト削減

テレワークの実施は環境への貢献にもつながります。通勤によるCO2排出量の削減は、環境保護に大きな影響を与えることができます。さらに、オフィスの維持費やエネルギーコストの削減も可能です。

多くの企業がテレワークを導入することで、必要とするオフィススペースを縮小し、その結果、賃貸料、電気代、水道代などの運営コストを削減することができます。これは特に大規模な企業にとって顕著なメリットとなり、経済的な利益とともに、企業の持続可能性に対するコミットメントを示すことができます。

テレワークのデメリット

コミュニケーションとチームワークの障壁

テレワークでは、対面でのコミュニケーションが取りづらくなるため、チーム間のコミュニケーションの質が低下する可能性があります。特に、非言語的な要素（表情や身振り）が伝わりにくいため、誤解が生じやすくなることがあります。

このため、プロジェクトの進行において情報の共有が不十分になるリスクがあり、チームワークが阻害される可能性があります。さらに、オンラインでのみのやり取りでは、チームメンバー間の信頼構築が難しくなることもあり、組織全体の士気に影響を及ぼすことがあります。

ワークライフバランスの崩壊

テレワークにより、家庭と職場の境界が曖昧になりがちで、仕事と私生活のバランスを保つことが難しくなることがあります。在宅勤務では、仕事の時間とプライベートの時間が混在しやすく、仕事からの切り替えが難しくなるため、過労やストレスの原因となることもあります。

また、家庭内に適切な作業スペースが確保できない場合、作業効率が低下することもあります。これにより、長期的には従業員の満足度が低下し、精神的な健康問題につながるリスクも増えます。

キャリア成長の機会の減少

テレワークは物理的なオフィスから離れて働くことを意味するため、目に見える形でのパフォーマンスの展示が難しくなります。これにより、昇進やプロジェクトの割り当てなど、キャリアアップの機会が減少する可能性があります。

また、社内のネットワーキングや師弟関係の構築が難しくなるため、新たなスキルを身につける機会も限られがちです。プロフェッショナルとしての成長を希望する従業員にとって、これらの機会の欠如はキャリアの停滞感を感じさせる原因となることがあるかもしれません。

サボりがちなテレワーク時のワークマネジメント術

明確な目標設定とタスク管理

テレワークで生産性を維持するためには、日々の目標設定が非常に重要です。各自がその日の主要なタスクを明確にし、達成可能な目標を設定することで、モチベーションを保ちやすくなります。

このプロセスには、タスク管理ツールを活用することが効果的です。例えば、TrelloやAsanaなどのツールを使用して、タスクを可視化し、進捗を追跡することができます。これにより、自己管理が容易になり、日々の成果を具体的に確認することができるでしょう。また、タスクを小分けにして取り組むことで、達成感を感じやすくなり、作業の継続が促されます。

効果的なテレワークスペースの設計

テレワークの効率を高めるためには、専用の作業スペースの整備が重要です。特に、テレワーク用デスクと椅子の選定は、長時間の作業における快適性と生産性に直結します。テレワーク用デスクは、必要な機器や文書を整理できる十分なスペースがあることが望ましいです。

加えて、デスクの高さが調整できるモデルを選ぶと、姿勢を変えながら作業することができ、体への負担を軽減します。椅子に関しては、長時間座っていても支持力と快適性が保てるエルゴノミックデザインが推奨されます。背もたれは体の形状に合わせて調整可能で、座面は圧力が均等に分散されるものを選ぶことが大切です。

適切なテレワークスペースを設けることで、集中力が持続し、無駄なサボり時間を減らすことができます。さらに、定期的に立ち上がりストレッチを行うことで、長時間のデスクワークによる疲労を軽減することができます。

定期的なチェックインとフィードバック

テレワークでは、チームメンバーや上司とのコミュニケーションが希薄になりがちです。これを防ぐためには、定期的なチェックインが有効です。例えば、毎日または週に一度のチームミーティングを設け、各自の進捗や課題を共有する時間を持つことが推奨されます。

これにより、チームメンバー間の情報共有が活発になり、孤立感を減少させることができます。また、定期的なフィードバックを通じて、個々の成果を評価し、改善点を明確にすることが重要です。これにより、従業員は自己のパフォーマンスを客観的に理解し、向上心を持続させることができます。

適切な作業環境の整備

テレワークを効果的に行うためには、適切な作業環境の整備が欠かせません。自宅での作業スペースを整えることで、仕事に集中しやすくなります。重要なのは、静かで整理整頓された環境を作ることです。

例えば、必要な文房具や技術機器を整理し、作業スペースを快適に保つことが推奨されます。また、適切な照明と座り心地の良い椅子を配置することも、長時間の作業において重要です。これにより、肉体的な負担を軽減し、作業効率を向上させることができます。適切な環境は、サボりがちな気持ちを抑え、作業に対する集中力を高めるために役立ちます。

まとめ

テレワークは情報通信技術を活用した柔軟な働き方で、通勤時間削減や生産性向上など多くのメリットがあります。ただし、コミュニケーションの障壁やワークライフバランスの崩壊などの課題も存在します。これらを克服するには、適切なコミュニケーションツールの選定、セキュリティ対策の強化、明確な目標設定が重要です。