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産業医の導入、選定の流れに関して

公開日2019/03/06 更新日2019/03/07

働き方改革関連法が2019年4月から順次施行となりますが、その中に産業医・産業保健の機能強化を定める改正労働安全衛生法があります。しかし、改正労働安全衛生法については、中身がよくわからないという声が多くあるようです。そこで、改正労働安全衛生法に伴う産業医の機能強化の目的や導入、選定の流れについてみていくことにしましょう。

産業医制度とは

長時間労働による過労死や過労自殺が、大きな社会問題となっています。経済構造の変化やグローバル化の影響で、職場の環境を取り巻く状況も複雑化し、過大なストレスが労働者の健康を害するケースも少なくありません。

そこで、健康的に働き続けることができるように、事業者には、労働者の健康管理を産業医に行わせることが、改正労働安全衛生法によって義務付けられることになりました。

産業医とは、労働者の健康管理について、専門的な立場から指導・助言を行う医師のことですが、労働者の健康管理を適切に行っていくためには、医学的な専門的知識が必要です。労働安全衛生法では、一定の規模の事業場には、認定産業医の選任が義務付けられることになりました。

1. 労働者数50人以上3,000人以下の規模の事業場は、産業医1名以上選任

2. 労働者数3,001人以上の規模の事業場は、産業医2名以上選任

3. 常時1,000人以上の労働者を使用する事業場と、以下に掲げる14業務の常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、その事業場に専属の産業医を選任しなければなりません。

(常時500人以上の労働者を抱える14業務)

1) 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務

2) 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務

3) ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務

4) 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務

5) 異常気圧下における業務

6) さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務

7) 重量物の取扱い等重激な業務

8) ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務

9) 坑内における業務

10)深夜業を含む業務

11)水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務

12)鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務

13)病原体によって汚染のおそれが著しい業務

14)その他厚生労働大臣が定める業務

(※労働安全衛生規則第13条第1項第2号)

労働者数50人未満の事業場については、産業医の選任義務はありません。しかし、労働者の健康管理を行うために、医学的知識を有する医師などに、労働者の健康管理のすべて、または一部を行わせるように努めなければならない、とされています。

産業医はなぜ必要なのか

激変する産業構造、経済効率化が求められるグローバル競争などが、経営環境に大きな影響を与えています。その結果、過重労働や労働者のメンタルヘルス不調などが、クローズアップされるようになってきました。

過労死や過労自殺が訴訟の対象となり、テレビや新聞のニュースなどでも、連日のように取り上げられることも多くなっています。

そうなると、企業の信用は失墜し、業績も下降せざるをえなくなります。従業員を大切にしていない企業には、優秀な人材も集まらなくなり、経済活動にとって大きなマイナス要素となるでしょう。

経営者はもちろん、管理監督者や人事・労務担当者にとっては、従業員の健康管理に配慮することが、リスクマネジメントやコンプライアンスなどの観点からも、より大切になってくるといえるのではないでしょうか。

従業員の健康管理を、専門知識を有する産業医に委ねることで、労働者の健康管理に役立つことはもちろん、衛生教育などを通じ職場の健康意識の向上につながります。また、作業環境の管理などについても助言が受けられ、健康で活力ある職場づくりに大きく役立つようになるでしょう。

産業医を導入する際の注意点

産業医には、医学的な専門的知識が必要ですが、医師の資格があれば誰でもいいというわけではありません。労働安全衛生規則第14条第2項で定めている産業医の要件の、いずれかの要件を備えていなければなりません。

【産業医の要件 労働安全衛生規則第14条第2項】

1. 厚生労働大臣の指定する者(日本医師会、産業医科大学)が行う研修を修了した者

2. 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生である者

3. 産業医の養成課程のある産業医科大学その他の大学で、厚生労働大臣が指定する当該過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者

4. 大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師、またはこれらの経験者

医師が、産業医の認定を受けるためには、都道府県医師会長宛に認定産業医新規申請書を届け出が必要です。都道府県医師会では、申請者の基礎研修受講状況などを審査した上で、日本医師会長に申請します。

日本医師会長は、都道府県医師会を通じて申請のあった医師について、審査を行い、認定、登録します。認定産業医には、認定証が交付されますので、産業医を導入する際には、認定産業医かどうかを確認することが大切となります。

認定産業医を探す場合は、事業所所在地の都道府県医師会、または郡市区医師会で相談するとよいでしょう。

産業医の役割

産業医の職務は、労働安全衛生規則第14条第1項に規定されています。

1.健康診断及び面接指導等(法第66条の8第1項に規定する面接指導及び法第66条の9に規定する必要な措置をいう)の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。

2.作業環境の維持管理に関すること。

3.作業の管理に関すること。

4.前3号に掲げるもののほか、労働者の健康管理に関すること。

5.健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。

6.衛生教育に関すること。

7.労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。

さらに、労働安全衛生規則第15条第1項には、「少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害なおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない」とあります。

産業医の雇用形態について

産業医を選任する場合、事業規模や業種、職種によって、人数や契約形態も異なってくるので注意が必要です。

正社員として専属の産業医1名以上を選任する必要があるのは、従業員1,000人以上が常駐する事業場と、特定の有害業務に常時500人以上の労働者を使用する事業場です。

専属産業医(正社員)を2名以上選任しなければならないのは、常駐の従業員が3,000人を超える事業場です。

正社員としてではなく、嘱託の産業医をおけるのは、常駐の従業員が1,000人未満の事業場です。こうした産業医導入の基本的な事項は、担当者としては押さえておく必要があるでしょう。

まとめ

従業員の健康管理を適切に行っていくことは、従業員の仕事に取り組む姿勢や、生産性の向上にもつながることです。健康経営が注目されるなかで、産業院の役割も、ますます重要性が増してくることになるでしょう。

なかでも、メンタルヘルスへの対応は、これからの企業にとっては重要な要素です。業績にも直結してくる問題ですから、法に基づく産業医の選任と、従業員への健康管理は、企業の責任といっても過言ではないでしょう。

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