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事業活動をする法人・個人には、税務署から税務調査を行う旨の連絡が来る場合があります。税務調査官が直接質問してきたり、事業所を訪問したりするため、なんとなく怖いイメージを抱いている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、税務調査とは何か、どのようなプロセスで実施されるのかといったことについて、詳しく解説します。
税務調査とは、納税者が行った税務申告(確定申告)の内容が正確かどうかをチェックするための調査のことです。
事業活動の成果に基づいて課される法人税や所得税などの各種税金は、国・税務署側が納税すべき額を計算して法人・個人に請求するのではなく、納税者側が自ら税額を算出して申告し納付する必要があります。
この仕組みは「申告納税制度」といいますが、申告の際、常に正しい納税額を算出できるとは限りません。記載ミスや記載漏れなどが生じる可能性は十分にあります。あるいは税金逃れのために、意図的に虚偽の報告をするなどの不正行為をする法人・個人が現れる恐れもあります。
そのため税務署としては、申告内容が正確かどうかを確認するために、税務調査を実施しているのです。
税務調査は基本的に、会社が納税の手続きを代行しているサラリーマンは対象外です。ただし、「副業で年間20万円を超える所得」を得ていて確定申告を適切に行っていない場合、調査が入る可能性は十分にあります。最近ではインターネットで収入を得る人が多く、たとえば副業としてフリマサイトで商品を販売していたり、ブログやYouTubeなどで広告収入を得ていたりする場合、確定申告をおろそかにしていると税務調査の対象となります。
調査の結果、意図せざる形であっても税金滞納が発覚すれば、加算税・延滞税が発生します。なお税務調査は5年前まで(不正行為が明らかな場合は7年前まで)さかのぼることが可能なため、「去年まで税務調査がなかったけど、今年に実施されて発覚した」といったことも十分に起こり得ます。
税務調査には、大きく分けて任意調査と強制調査の2種類があります。
任意調査とは、納税者の協力によって実施される税務調査のことです。税務調査官が申告内容について質問・指摘をするため、納税者側はそれに回答する形で調査に協力します。任意とはいえ、税務調査官には国税通則法74条において、調査に必要な情報の提供を求める権利である「質問検査権」が与えられています。納税者側にはその権利行使に従うべき「受忍義務」が発生するため、正当な理由なしに回答を黙秘したり、拒否したりできません。
裁判所からの令状に基づいて、国税局査察部が実施する調査です。税務調査官が法人・個人の事業所を訪問し、納税に関する物的資料などを押収します。意図的な脱税行為が疑われる場合に実施され、もし脱税が発覚したときは刑事事件として処理されます。
税務署にとっても繁忙期となる2月中旬~3月末の時期は、税務調査が行われない傾向があります。それ以外の時期であれば基本的にいつでも実施されますが、とくに多いのは8月中旬~11月頃といわれています。
税務調査の対象として目を付けられやすいのは、以下の特徴に該当する法人・個人です。
とくに副業収入を得て間もないサラリーマン、あるいは独立間もない個人事業主の場合、税務の知識が皆無であるため、確定申告を適切に行っていないケースは十分起こり得ます。その場合、税務調査により指摘されてから、初めて自分のミスに気づくのです。サラリーマンが副業をする場合、会社からの給与についてはすべて会社側が税務をしてくれますが、副業収入の申告は自分で行う必要があるため注意が必要です。
法人・個人で昨年度よりも急激に売上が伸びている場合、「それに応じた税務申告をきちんとしているのか」とチェック対象になりやすいといわれています。
個人事業主の場合、取引先で作成される支払調書と確定申告の内容との間に差異があれば、正確な申告をしていないとして税務署によるチェックが入ります。たとえば支払調書では100万円の支払いをしたことになっているのに、確定申告では50万円の売上と記載していれば、50万円の未計上となり税務調査の対象となるのです。
売上に対して経費の額が過度に大きい場合は、意図的な税金逃れをしているのではと不審がられ、調査の対象になりやすいです。
税務調査は、実施の2~3週間前に税務署から実施日時に関する通知が行われます。指定の日時での対応が難しいときは、日程調整も可能です。顧問税理士がいる場合は、事前に相談して準備を進めます。
調査の実施日には税務調査員から事業内容についての質問がされ、それから数日をかけて各種書類のチェック作業が実施されます。調査により、納税額の不足などの問題が明らかになったときは、その内容について口頭での説明があった後、修正申告と追徴税額の納付を行う必要があります。指摘内容に不服があるときは、理由・根拠を明らかにした上で税務署側と話し合いをすることも可能です。
税務調査で確認されるのは、税務申告内容と「実際の売上との差異」「実際の仕入額との差異」「実際の棚卸資産額との差異」「実際の交際費との差異」「実際の人件費との差異」などです。申告内容と実態との違いが明確になったときは、修正申告・追徴課税が必要です。
税務調査に対しては、不正行為をしていないなら、必要以上に身構える必要はありません。税務申告に不備があった場合でも、修正申告をすれば問題は解決します。税務調査の実施中、調査官から質問されたことは誠実に回答するのが基本です。しかし、不必要にあれこれ話しているうちに税務調査官にさらなる疑念を与えてしまう恐れもあるので注意しましょう。
■参考サイト
発覚すれば経営維持は不可能、脱税がバレる理由を検証
脱税と節税はどう違う?税務調査で誤解を受けないためには?
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