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経営者の起業経験から学ぶ“仕事の醍醐味”とは? 事業や管理業務の確立で得られる働きやすい環境づくり

公開日2024/09/05 更新日2024/09/04 ブックマーク数
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atelier ST,CAT 代表取締役 林聖子さん

企業が事業を作り出し、人事・経理・法務など管理部門業務を整備するときは、紆余曲折しながら「ベスト」なかたちに近づけていきます。企業の規模や業種はさまざまですが、働きやすい職場にすることは、どの企業の管理部門担当者にとっても醍醐味と言えるでしょう。

今回ご紹介するのは、副業から始めて自身のジュエリーブランドを立ち上げた経営者の起業体験です。コロナ禍や事業転換などを経て現在のビジネスモデルを確立するまでの道筋は、きっと管理部門で働く皆さんの仕事の参考になるでしょう。

舞台は東京・代々木上原に店舗兼アトリエを構える人気ブランド「atelier ST,CAT」、こちらの代表取締役である林聖子さんにお話を伺いました。

▼お話を伺った人

atelier ST,CAT
代表取締役 林聖子さん

起業のきっかけは副業 市場で「強みと差別化」を生かして成功

――:今回は「マネジー」読者であるビジネスパーソンの皆さんに、林さんの起業経験から、事業や管理部門業務の確立に役立つヒントを伺いたいと思います。まずは、学生時代から事業を始めるまでの経緯を教えてください。

林さん:学生時代は4年制大学の社会学部で経営関連の勉強などをしていました。大学4年生の時に留学し、美術史やファッションマーケティングなどクリエイティブ関連を学んで、帰国後に大学を卒業したあとは、ファッション雑誌の制作会社に就職しました。

4年ほど働いたあと、転職してアパレル企業のPR業務に就きました。この会社は週末が休みで残業も少なかったので、副業をしていまして。アクセサリーを手作りして、オンラインなどで売っていたんです。当時は手頃価格の国産ハンドメイドアクセサリーが少ない状態で、インスタグラムの黎明期でもあったので注目されました。2014年頃にはセレクトショップと取引するようにもなりました。

その後は独立し、フリーランスで雑誌編集の仕事をしつつ、アクセサリー販売の事業を本格的にスタートしたんです。そして2017年に法人化し、従業員を1人雇って世田谷に店舗を構えました。

――:副業から順調に起業され、途中で事業転換されたと伺いました。きっかけは何ですか?

林さん:世田谷への出店後、南青山に店舗を移転し、事業は順調に伸びていったんですが、コロナ禍で大打撃を受けまして。同時にライバルブランドもすごく増えたんです。市場に低~中価格帯のアクセサリーブランドが増え、マーケティング費用をかけて自社の限られた資金力で戦っていくのは難しいと判断しました。

そのとき「自分たちの強みを生かして戦えるマーケットはなんだろう」と考え、結婚指輪なら可能性があるかもしれない、という答えを出しました。私たちのブランドは、自社アトリエで商品を手作りしています。ホスピタリティやこだわったモノづくり、丁寧なお客様対応は、結婚指輪に適しています。それに、1点もののオーダーメイドにすれば在庫を持たずに済むし、結婚指輪は高単価なので薄利多売で疲弊するビジネスにはなりません。そこで、2022年に結婚指輪のビジネスをスタートさせました。

atelier ST,CAT

――:そのビジネスが成功されたんですね。

林さん:はい。当初はファッションアクセサリーと結婚指輪の両方を取り扱っていましたが、結婚指輪の方が圧倒的に伸びまして。私たちが作る結婚指輪は「Tシャツなどの普段着にも似合う、自分らしいもの」がコンセプト。これに共感してくださるお客様が多く、翌年(2023年)には事業転換してブライダル専門ブランドになりました。同時に店舗を今の代々木上原に移転し、さらに拡大させました。現在、従業員はアルバイトを含めて9人います。

アクセサリーを作り始めたときは、私自身が欲しいと思うものを作っていたらマーケットに広がっていきました。その後は個人的に欲しいもの、かつ「マーケットにないもの」を作っていくことで差別化でき、うまく事業転換できたのだと思います。

――:世田谷、南青山、代々木上原と店舗移転をされていますが、入居するビルを探すうえで大切にしていることはありますか?

atelier ST,CAT

林さん:集客をほとんどSNSで行っていることもあり、路面で人通りが多い場所ということに重きをおいていないのもあり、世田谷の時も2階で、南青山の時も裏通りでした。南青山の店舗の時は、結婚指輪の事業をはじめることも考えていたので、結婚指輪を探している人が行きやすい場所にしました。現在の店舗がある代々木上原にした理由は、ブランドのコンセプト的にも誰もが結婚指輪を選びに行く場所ではなく、感度の高いカップルがデートの場所として行くような文化性の高いカルチャーのある場所がいいなと探していたこともあり、代々木上原に移転することになりました。

――:販売経路について教えてください。店舗とオンライン販売の比重は?

林さん:事業開始から世田谷の店舗時代まではオンライン販売にはあまり力を入れておらず、8:2で店舗販売の方が多かったです。コロナ禍以降はオンライン事業に注力し、半々ぐらいになりました。その後、コロナが落ち着いた頃から再び店舗事業の比重が高くなりました。というのも、私たちの商品は手作業で一つずつ違うものを作っているので、店舗で実物をご覧になりたいというお客様が多いんです。今もお客様一組につき1時間半くらいずつカウンセリングをしながら、結婚指輪を作っています。

自身の学びとプロへの外注や専用ツール導入で自社を強化

atelier ST,CAT 林様

――:ここからは経営者としてのお話をお聞かせください。法人化の際に社内で経理や法務の規定を決めていらっしゃると思いますが、どのように決めましたか?

林さん:法人化した2017年当初は、経理や法務の知識をほぼ知らない状態で、一般的なことだけやっていました。でも、その2年後にコロナ禍になった際、事業を続けていくために融資を受けなければならなくなったんです。そこでまずは銀行と取引できるように、そして経理面で事務作業ができる程度に知識を身につけていきました。

その後、2022年に結婚指輪の新規事業を始めたときも、売り上げを立てて利益を残せるように、経営について一生懸命学びました。

昨年(2023年)には税理士さんが変わり、社労士さんも外注でお願いするようになりました。事業を伸ばすために従業員を増やし、店舗移転で大きめの融資を受けた時期だったので、税理士さんと社労士さんに助けていただきながら、社内規定や法務を整えたり、戦略的な資金計画を立てたりしました。

――:社労士を採用した理由は?

林さん:社労士さんに依頼した理由は、もともとの社内規定が法に触れる可能性がないか、曖昧な部分がないかを確認する必要があったからです。有給休暇や社会保険、残業に関してはそれまでもきちんとやってはいましたが、社内規定として決めるべきことや具体性を持たせるべきことがありましたし、法改正にしっかり対応するためにも、社労士さんに依頼しました。

現在、社労士さんには社内規定や人事採用時の事務作業などの法務関連、あとは給与の計算もご担当いただいています。

――:経理はクラウド型の会計ソフトを導入されているとのことですが、いかがですか?

林さん:とてもいいですね。弊社では「マネーフォワード」を導入しています。もともとは違うソフトを使っていたのですが、クラウド型の方がよいのではという話になり、変更しました。

使ってみたら便利で、経理はもちろん、出勤管理や給与管理、年末調整なども「マネーフォワード」ですべて行なっています。クラウド型はいろいろな人と共有できるので、給与は社労士さんが計算したものを入力してくださいますし、税理士さんとも共有しています。

よりよい会社、よりよい環境を作っていくのは楽しい仕事!

――:林さんは、経営者としてどのように歩まれてきましたか?

林さん:私は事業展開当初、経営の知識や経験が浅かったんですね。そのようななかでコロナ禍を経て、「会社は少しのことで潰れてしまう」ことを身近で感じ、経営者には責任があることを改めて実感しました。

私たちの事業は、事前にお金がかかります。固定費やサンプル製作費、それに製造スタッフを育てるための人件費も必要です。だから、月々のキャッシュフローや、長期目線での資金・採用計画がとても重要なんですね。

――:プライベートではお子さんが2人いらっしゃって、来年(2025年)は3人目もご誕生予定とのこと。おめでとうございます! お仕事と育児の両立について、どのようにお考えですか?

林さん:私の場合、両立はあまりできていないかもしれませんね(笑)。隙間時間で仕事して子育てしている感じです。日々忙しいけれど、経営者なのである程度は時間を自由に使えます。弊社は、たとえ私が入院していても会社がきちんと回ってくれるので、そういう組織づくりができたのはありがたいと感じていますし、スタッフの皆さんには本当に感謝しています。

私の場合は体力があって、常に働いていることは苦ではありません。でも、なかには体が弱い方もいるし、精神的に休みが必要という方もいます。そういう方々も働きやすい環境に整えていくことが、経営者の責任だと思っています。仕事と育児が両立しやすく、安心して働ける環境を作っていかなければならないと思っています。

――:経営者という立場になって、新たに生まれた思いなどはありますか?

林さん:「会社は何のために存在するのか」を考えたときに、私は「三方よし」の考えを大事にしています。商品やサービスはお客様のために存在していて、同時に、働いている社員の幸せや満足度も大切です。具体的には、給与や福利厚生、仕事自体の楽しみなどを充実させることですね。そして、社会に対して何ができるかも重要だと思います。

私たちが伝えたいのは、結婚指輪をとおして「結婚の価値観はもっと自由であってもいい」ということ。お金をいただくビジネスではありますが、同じものをどんどん作る量産性ではなく、丁寧なモノづくりを目指しています。社会に対して不利益なビジネスモデルになるべきではありません。私も会社員や個人事業主だったときは、自己利益や「自分がどうしたいか」を第一に考えていました。でも今は、モノづくり自体はスタッフに任せて、私自身は「会社自体をクリエイティブする」ことが仕事だと思っています。よりよい会社、よりよい環境を作っていくのが楽しいんです。そのために会社にまつわる色々なことを今以上に学んでいく必要があると思っています。その一環として、経理や法務、労務などの管理部門を、外部の専門家の知見を借りながら一層充実させていく ことが重要だと考えています。

――:今後の目標やビジョンを教えてください。

林さん:まずは、結婚指輪をお買い求めいただいた方々向けに、記念ジュエリーを作っていきたいと考えています。経営面では、製造スタッフの教育が重要なので、採用計画をしっかり考えながら運営していきたいと思っています。

大きな目標は、今はまだ1店舗なので今後は多店舗展開や海外展開をしていきたいですね。ただし、商品をバズらせたい、というのではなく、着実に事業を伸ばしていきたいと考えています。

――:本日は大変貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

atelier ST,CAT

東京都渋谷区上原1丁目32−3 CABO uehara 205
公式HP:https://st-cat.com/

▼サービス概要▼
代々木上原にアトリエと店舗を構える、ブライダル専門のジュエリーブランド。オーダーメイドによる結婚・婚約指輪の販売と、ブライダルジュエリーのレンタルを行なっています。
デザイナーとクリエイティブ・ディレクターが共に作り出す世界観をもとに、製造スタッフが一つひとつ丁寧に作り上げる結婚・婚約指輪は、「自分らしさ」がコンセプト。シンプルながらも構築的な歪みを効かせたデザインで、どんなファッションにも馴染み、存在感があると好評を博している。


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