
入金消込業務は非常に手間のかかる作業です。ミスが許されず、高い精度が求められる一方で、自動化が難しいため手作業中心であることが悩みのタネです。この入金消込を効率化することは可能なのか、現状の課題と対策について考えてみましょう。
入金消込の仕組みと仕訳方法
ビジネス全般で行われる掛取引で、売掛金・買掛金と実際の入出金情報を突き合わせる作業が消込です。消込により帳簿上の数値を一致させる必要があるため、手作業の場合1つずつ確認しながら作業を進めなければなりません。
今回は入金消込を中心に解説を進めますが、実際の仕訳では取引先からの請求書と、その取引先からの入金データを突き合わせます。それぞれの金額が一致していれば、問題なく1件の消込作業が完了します。
具体的な掛取引では、たとえばある取引先に10万円の商品を納品すると、「借方/売掛金100,000円」「貸方/売上100,000円」で仕訳します。支払期日にその取引先から入金があった場合、金額を照合して一致していれば、「借方/普通預金(当座預金)100,000円」「貸方/売掛金100,000円」で仕訳します。
これで問題がなければ、売掛金が消えて、入金消込作業が完了します。
入金消込でありがちなトラブル
入金消込の問題点は、取引があった数だけ作業をこなさなければならないことです。決算書にまで影響するためミスは許されません。しかし、中には照合結果が一致しないケースもあり、その場合は原因を調べて適切に対処する必要があります。
ミスが生じやすく確認に手間がかかるのは、まず請求金額と入金額に誤差がある場合です。取引先から一部入金されていたり、複数の請求が合算で入金されていたりすると、当然照合作業では金額が一致しません。
取引先によって、入金日や支払サイトが異なる場合も注意が必要です。また何らかの理由で、取引先からの入金がなかった場合も処理を複雑にします。ほかにも請求先と振込名義人が異なる場合のように、少し見ただけでは原因がつかめないケースもあります。
入金消込の効率化とシステム導入のメリット
前述した以外にもミスの原因はありますが、根本的な問題は入金消込を手作業に頼っていることです。ただし、この問題は会計ソフト1つで解決できるほど単純ではありません。
これまでと同様に手作業を続けるなら、ミスが生じやすい作業で効率化を図る必要があるでしょう。たとえば注意が必要な取引先一覧を作成したり、複数人体制でチェックを行ったりすることです。それでも完全にミスをなくすことは難しく、時間的にも大幅な効率化は困難だといえます。
将来を見すえて効率化を図るなら、やはり入金消込をシステム化する必要があるでしょう。その場合、システムの選定に注意しなければなりません。一般的な会計ソフトを中心にすると、各取引先のルールに対応しきれない可能性があります。
その点複雑な入金処理に対応でき、仕訳やほかのデータ管理とも連携可能な、クラウド型の入金消込システムなら安心です。最新のタイプは、機械学習により取引先に合わせた消込作業を自動化できるため、大幅な業務効率改善が可能になるでしょう。
まとめ
経理担当者の多くが入金消込に問題があると考えており、中でも照合作業の効率化が大きな課題だという意見が多いようです。経営の発展を目指す企業であれば、今後は手作業の入金消込からシステム化を図る必要があるでしょう。入金消込の課題が解消されれば、経理業務全体の効率改善が実現するかもしれません。