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IT(Information Technology:情報技術)は、現在ほとんどのビジネスで利用されています。ただし一般的な製品とは異なり、ITを使った製品やサービスは目に見える形をもっていません。そのため法務に関しても、IT法務という専門性の高い分野に分類されます。この記事では、IT法務についてわかりやすく解説します。
IT法務の業務内容は一般的な法務業務に加え、システム構築やソフト開発などの重要な情報の取り扱いに関する法的な知識が求められます。
IT法務を担当する人材は弁護士が多く、業務がやや限定されるものの司法書士でも可能です。ただし法的な知識のほかに、ITに関わる専門的な知識も身につけていなければなりません。法律とITという、2つの専門分野を扱うのがIT法務の特徴です。
一般的な製品を製造して販売する場合と同様に、ITシステムを開発して販売するケースでも、発注者と受注者という2つの立場があります。ITシステムの場合、発注者がユーザー企業であり、受注者はITベンダー企業と呼ばれます。
ユーザー企業は業務に必要なシステムを発注し、それを受注したベンダー企業が製品開発やサービスを請け負います。その契約から納品が完了するまでの各ステップにおいて、さまざまな法的手続きが必要になり、トラブルを防ぐためにも法的な対策が求められます。そのためIT法務は、ユーザー企業とベンダー企業の両方に必要になるのです。
IT法務では一般法務と比較して、知的財産、ライセンス、個人情報などの取り扱いに関連する業務が多くなります。さらにIT分野は変化しやすく、常に新しい技術や規格が登場します。それらに対してスピーディーに対応するのもIT法務の重要な務めです。
ベンダーとユーザーが契約を結び、あるシステムを開発する場合、さまざまな取り決めを行ったうえで契約書を作成します。IT法務では、この契約書に問題がないかどうか厳正にチェックします。業務の完了に至るまで、かなり詳細な契約内容が求められるためです。
また、IT分野では情報管理が生命線でもあり、セキュリティ対策や機密情報の管理にもIT法務が深く関わります。一般の契約書以外に、ソフトウェアライセンス契約書や秘密保持契約書が結ばれるなど、IT特有の契約手続きでもIT法務が必要になります。
最終的には開発したシステムやソフトが、ユーザーの希望どおりに稼働するかも確認しなければなりません。さらに契約にもとづいて、開発費が支払われることも確認する必要があります。この段階に至るまで、IT関連の知識も含めて法務に対応するのがIT法務という仕事なのです。
ITを利用するビジネスでは、複雑で高度な技術的知識が求められ、各種手続きやトラブル防止のために専門的なIT法務の人材が活躍しています。情報という難しいテーマを扱うことから、法務全般に加えてITに精通している必要もあります。
現在は弁護士のほかに、企業内でインハウスローヤーとして働くケースも増えています。今後も業務が拡大する分野の1つといえるでしょう。
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