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▼この記事を書いた人
西方 克巳(ニシカタ カツミ)
西方社会保険労務士事務所
「平成15年社会保険労務士試験合格後、様々な企業の管理部門にて、勤務社会保険労務士として従事。平成29年4月1日、東京都新宿区に西方社会保険労務士事務所を開業。
[経験業種] ・大手損害保険合資会社 人事部 勤務社会保険労務士 ・外資企業向け人事アウトソージング会社にて、大手ネット系銀行人事部担当(常駐リーダー) ・ビルメンテナンス業 人事部 勤務社会保険労務士 ・大手資格学校 人事部 勤務社会保険労務士および講師 ・大手コンビニエンスストア 本部 人事部 勤務社会保険労務士
[業務] ・建設業をはじめとした労務管理指導などの顧問業務 ・給与計算 ・社会保険手続 ・障害年金手続 ・助成金手続 ・研修講師(ハラスメント研修、管理職研修、新人研修、不正調査研修 ・不正(ハラスメント)調査 ・就業規則作成等 東京都社会保険労務士会会員 登録番号第13090084 一般社団法人社労士成年後見センター東京 正会員 東京都社会保険労務士会 新宿支部 労働環境モニタリング 統括リーダー ワークスタイルコーディネーター 健康経営アドバイザー 医療労務コンサルタント」
給与は、基本給や各手当、残業代、通勤手当など、そのままの額が支給されることはありません。この総支給額から、社会保険料、雇用保険料、所得税、住民税の法令で定められたものや、組合費、食費、団体保険料など労使協定で定められたものを控除して計算し、実際に差し引き支給する額(手取り額)を算出することを、給与計算と言います。
1. 固定給(月額支給の場合)
1 基本給
2 住宅手当など各手当
3 皆勤手当など、出勤に応じて支給されるもの
4 通勤手当(1カ月や3か月、6か月ごとに支払われる通勤費)
①基本給
勤続年数や経験や職種によって決められた給与です。基本給は、会社ごとに決定方法が変わります。決定方法は、会社の就業規則に記載がありますので、こちらをご覧ください。また、最近では、同一労働同一賃金の観点から、「職務」によって基本給を決める職務給を導入する会社も増えてきています。
②住宅手当その他各手当
住宅手当、家族手当など、条件が当てはまれば支給される手当があります。こちらも会社のルールによって支給の有無が決まりますので、就業規則をご覧ください。同一労働同一賃金の観点から、各手当の支給の理由を明確にしておく必要があります。
③皆勤手当
後述の給与計算期間において、欠勤がないなどの条件が当てはまれば、皆勤手当を支給する会社もあります。こちらの注意点としては、年次有給休暇を取得したことによって、皆勤手当を未支給にすることはできません。
④通勤手当
通勤によって発生する通勤費を補填する手当です。こちらは、「手当」ですので、通勤手当額の計算方法は、会社のルールに委ねられます。多くの会社では、「合理的な経路により算出した額」としていることが多いです。通勤手当は、会社のルールに必ず支給しなければならないものではありません。また、あくまで「手当」ですので、「賃金」の扱いとなります。労働保険料や社会保険料の算定については、通勤手当も算出の基礎となりますので、注意が必要です。所得税は、公共交通機関を使用する場合は月額15万円までは非課税として計算されます。車通勤などの場合は、別途非課税額が設けられています。
2. 変動給
1 法定内残業手当
2 法定外残業手当
3 深夜手当
4 休日出勤手当
5 60時間超え残業手当
①法定内残業手当
労働条件通知書などで、所定労働時間が一日7時間など、8時間未満に設定されている場合があります。この場合に残業をしますと、所定労働時間を超え、一日8時間または週40時間までの労働時間は、「法定内残業」となり、一時間当たり給×1.0で計算された残業代が支払われます。
②法定外残業手当
一日8時間を超えるまたは週40時間を超える労働時間は、法定外残業時間となります。
法定外残業時間に労働をしますと、一時間当たり給×1.25の賃金を支払います。変形労働制を採用している会社は、「一日8時間を超えるまたは週40時間を超える労働時間」が変わりますので、就業規則をご覧ください。また、法定外残業をさせるには、36協定の締結が必要です。36協定に記載された時間が、法定外残業時間をさせることのできる限度時間となります。
③深夜手当
22:00から05:00まで労働した時間について、別途、時給×一時間当たり給×1.25(法定外残業手当として、すでに×1.25を支払っている場合は、×0.25)分の深夜手当の支給が必要になります。法定外残業手当と合計すると、時給×一時間当たり給×1.50分の支給ということになります。
④休日出勤手当
労働基準法35条では、「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回(または4週間を通じ4日以上)の休日を、与えなければならない」と定めています。この休日のことを「法定休日」といいます。会社によっては、法定休日を「〇曜日」と曜日を特定している場合もあります。
この法定休日に労働をさせた場合は、時給×一時間当たり給×1.35分の休日出勤手当を支給しなければなりません。例えば、日曜日が法定休日となっていて、週所定労働時間が40時間となっている会社では、土曜日に8時間、日曜日に8時間出勤をしましたら、法定外残業時間が8時間、休日出勤時間が8時間となり、法定外残業手当(一時間当たり給×1.25×8時間)と休日出勤手当(一時間当たり給×1.35×8時間)の支給が必要です。
なお、法定休日出勤には、法定外残業という概念がありませんので、二重の支払をすることはありません。ただし、法定休日出勤時間が、深夜時間と重なる場合は、時給×一時間当たり給×1.35+時給×一時間当たり給×0.25=合計時給×一時間当たり給×1.6分の支給が必要です。法定休日に労働させる場合も、36協定の締結が必要です。
⑤60時間超え残業手当
法定外残業時間が月60時間を超えた場合は、60時間を超えた時間に対して別途、時給×一時間当たり給×1.25(法定外残業手当として、すでに×1.25を支払っている場合は、×0.25、合計時給×一時間当たり給×1.50分の支給が必要です。法定休日出勤分と二重で支払うことはありませんが、この時間が深夜と重なる場合は、合計、時給×一時間当たり給×1.75分の支給が必要です。なお、月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保するため引き上げ分の割増賃金の支払の代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与することができます。
⑥その他
勤怠の数値は、一給与支払計算期間について算出します。給与支払計算期間と支給日は、就業規則に記載がありますので、確認をしましょう。
3. 時給制の場合
時給制の場合、基本給は、時給×就労時間となります。時給制の場合も、先述の法定外残業や休日出勤手当、深夜手当、60時間越え残業手当の考え方がありますので、勤怠の計算に注意をしましょう。また、同一労働同一賃金の考え方から、正規社員には支給されている手当について、非正規の社員にも手当を支給するかどうか、検討をする必要があります。各手当について、支給をする意味や役割を考え、仮に正規社員に支給し、非正規社員に支給しない手当があるのであれば、その合理的な説明ができるようにしなければなりません。
1. 社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料)
2024年10月から、法人の労働者数が50人以下の場合は、週所定労働時間が30時間以上の労働者、それ以外の法人は、週所定労働時間が20時間以上の労働者※1は、社会保険に加入します。社会保険料は、①社会保険加入時、②固定給(通勤手当を含む)の変動後、③毎年4月から6月の3か月の給与額によって、決定されます。社会保険料の算出には、変動給、通勤手当額も含まれますので、注意しましょう。その他、社会保険料の算出の対象となる報酬かどうか判断がつかない場合は、年金事務所に聞きましょう。
※1
・週の所定労働時間が20時間以上であること
・1ヵ月あたりの給料が88,000円以上であること
・2ヵ月を超えて雇用される見込みがあること
・学生でないこと
2. 雇用保険料
週所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用の見込みがある場合は、雇用保険に加入します。労働者負担分雇用保険料率は、給与額(賃金)に対して、一般の企業で6/1000(2024年)です。賃金は、原則すべての給与が対象となりますが、「労働の対象」とならないものは、賃金として扱いません。慶弔見舞金や出張手当などは、賃金としません。賞与や通勤手当は賃金となります。賃金かどうか判断がつかない場合は、最寄りの労働基準監督署に聞きましょう。
3. 所得税
支給した給与から、所得税額を算出し、所得税を控除します(源泉所得税)。扶養配偶者・家族の人数や、給与額により、源泉所得税額は変わります。また、実質弁償的な給与は源泉所得税算出の際の給与となりませんので、注意が必要です。さらに、公共交通機関を使用する場合は月額15万円までは非課税として計算されます。車通勤などの場合は、別途非課税額が設けられています。毎月の給与から、源泉所得税額を計算し、控除しますが、最終的には、年末調整で精算をします。
4. 住民税
毎年、5月に労働者が住んでいる市区町村から、6月以降1年間の住民税額表が送付されてきます。こちらは、前年年末調整を行い、各市区町村の給与支払報告書を提出した場合に送付されてきます。こちらの住民税額表には、住民税を何月にいくら控除して、翌月10日までに納めるように、一覧となっていますので、こちらの額をそのまま控除します。退職者が発生した場合は、遅滞なく市区町村に住民税異動届を提出して、退職者がいることを伝えます。毎年、1月から5月までに退職者が発生した場合は、原則、その退職者の住民税は、退職月から5月分までを一括して控除し、納めます。
1. 固定給の変更がないか確認します。
基本給に変更がないか(特に昇給時期に注意)、その他、一定の条件のもと支払われる手当に変更がないか(人事情報変更によって変わる場合など)確認します。変更の情報があれば、都度一覧にメモをしておきましょう。
2. 固定給に一時的な変更がないか確認します。
休職者の基本給や各手当の一時的な減額、事情によって発生した各手当の一時的な変更を計算します。事情は、都度一覧にメモをしておきましょう。
3. 変動給の計算
勤怠の情報を取込み、各変動給の計算を行います。
4. 社会保険料の変更
社会保険料は、固定給に変更があり、標準報酬月額が2等級以上の差が発生した場合に、4か月目の保険料(5か月目の給与)から変更となります。固定給に変更があった場合は、記録をし、4か月目保険料から変更とならないか計算をします。
その他、4月から6月の給与額によって、9月の保険料(10月支給給与)から社会保険料が変更となります。
5. 雇用保険料、所得税の計算
支給された給与から、雇用保険料と源泉所得税額を計算します。
6. 差し引き支給額(手取り額)の計算
総支給額から、控除額合計を差し引いた額が、差し引き支給額となります。会社によっては、ここで労働者が仮払いした経費を足し、支給するケースもあります。差し引き支給額は、給与支給日4営業日前までに計算し、銀行振り込みの場合は、銀行に差し引き支給額を伝えましょう。
7. 経費仕分け
会社のルールに基づき、給与や社会保険料などの経費仕分けをします。必要な情報を経理担当に渡しましょう。
1. 端数処理に注意しよう
月額給を日割りにする際、各残業代を計算する際、1円未満の端数が生じることがあります。端数処理については、各会社によってルールがありますので、どこの計算の段階で、切り上げするのか、切り捨てするのか、確認をしましょう。また、労働者に不利にならないよう注意をしましょう。雇用保険料を計算する際にも、端数が生じるケースがありますが、労働者負担分を賃金から源泉控除する場合、労働者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭1厘以上の場合は切り上げとなります。
2. 給与計算のスケジュールに注意しましょう
月によっては、給与支給日が祝日や土日のため、前倒しの支給となる場合があります。この場合は、給与計算ができる期間が短くなりますので、スケジュールに注意をしましょう。特に、銀行振込をする場合は、銀行に振込金額を支給日の4営業日前までに知らせなくてはならない(銀行によります)というルールがありますので、注意してください。
3. 計算ミスに注意
給与は、数字を扱う作業です。給与額を変更したなど、数字を変更した時には、2次チェック体制を取り、間違えのないようにしましょう。
4. 賃金未払いに注意しましょう
残業代など、本来支払われなければならない給与が、何かのミスで支払われない時は、「賃金未払い」となります。賃金未払いは禁止されていますので、注意をしましょう。
5. 給与から控除できるものは決まっています。
給与から控除できるものは、法令で定められたもの(社会保険料や所得税など)と、労使協定で定められたものです(賃金全額払いの原則)。これ以外に給与から控除することはできません。一度、労使協定が締結されているか、内容はどのようなものになっているか確認しましょう。
給与計算について、様々な作業が発生するため、給与計算の導入は避けられません。現在では、様々な給与計算システムがありますので、会社に合ったシステムを選んでください。また、給与計算が複雑な会社は、システムをカスタマイズできるものもあります。給与計算は、ミスを防ぐために、できるだけ簡潔にできるようにし、給与計算システムの操作もできるだけ簡潔にできるものがよいでしょう。
給与計算のよくあるトラブルとして、本来支払われるべき手当が、支払われなかったケースです。例えば、家族が増えたので、家族手当が増額されるはずだったのに、額が変わっていなかったケース。こちらは、給与計算担当者が、メモをしっかり取っていなかったのが原因です。このようなことがあると、労働者の信頼を失うこともあります。人事情報が給与に影響する手当は、しっかりとメモを取りましょう。
また、介護保険料が、40歳になったのに徴収されなかった、65歳になったのに控除されたままだったケースもよくあるミスです。給与計算システムでは、自動で控除するしないを計算してくれますが、操作を間違えると、計算が正しくできないこともあります。労働者の年齢も注意して把握する必要があります。
40歳、65歳、70歳、75歳に注意しましょう。40歳は、介護保険料徴収開始です。65歳は介護保険料の徴収終了です。70歳は厚生年金保険の終了です。75歳は健康保険の終了です。社会保険料に間違いがある場合は、後日、精算をして、過不足を徴収または返金することになります。労働者の信頼を失うばかりか、余計な作業が発生してしまいますので、注意が必要です。
1. 雇用保険料率
法改正により、雇用保険料率が変更となり、労働者負担分も変更となることがあります。直近では、2024年4月1日に雇用保険料率の変更がありました。そのため、今後直近では雇用保険料率の変更があることは考えにくいのですが、法改正による雇用保険料率変更に注意をしましょう。雇用保険料率が変更となった場合、いつの給与から労働者負担分雇用保険料の変更をするのか悩ましいところです。給与締日が雇用保険料率変更日より前の日にある場合は、次の給与締日がある給与計算期間分から雇用保険料を変更します。
(例1)
給与計算期間(給与締日)支払日:2025年4月1日から4月30日(月末)5月20日払い
雇用保険料率変更日:2025年4月1日
→雇用保険料率が変更となるのは、2025年4月1日から4月30日、5月20日払い給与からです。
(例2)
給与計算期間(給与締日)支払日:2025年3月16日から4月15日(15日)4月末日(30日)払い
雇用保険料率変更日:2025年4月1日
→雇用保険料率が変更となるのは、2025年3月16日から4月15日、4月30日払い給与からです。
2. 健康保険料
協会けんぽでは、毎年3月分保険料(4月給与控除分)から健康保険料と介護保険料が変わります。健康保険組合でも、このタイミングで毎年保険料額を変更しますので、注意をしましょう。
3. 最低賃金
毎年9月には、都道府県ごとの最低賃金額が発表されます。大体が10月1日から変更となります。最低賃金額が発表されましたら、労働者の賃金が、最低賃金額に抵触していないか確認をしましょう。労働者の賃金が、最低賃金額を下回っていた場合は、上回るように、基本給を上げるなどの対策をしましょう。
4. 年末調整
近年、毎年、年末調整のやり方について、軽微な改正があります。毎年秋ごろ詳細が発表されますので、注意をしましょう。
給与計算は、人事労務担当者の集大成、作品とも言えるものです。支給のルールは会社ごとに変わりますが、基本的なルールは皆同じです。数字を扱いますし、法的な観点も必要となります。幅広い観点が必要となりますので、法改正などにも注意をして、ミスのない給与計算を行ってください。
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