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近年、働く現場の人手不足問題は、業種や企業規模などの違いに関係なく経済界全体の共通課題と言えます。なかでも中小企業の人手不足問題は深刻で、毎年多数発生する倒産の原因にもなっています。
そこで注目したいのが、今年(2024年)6月から始まった「中小企業省力化投資補助金」です。本記事では中小企業などの人手不足解消に向けた本事業について概要を解説し、併せて実施主体である独立行政法人中小企業基盤整備機構の担当者に伺ったお話をご紹介します。
「中小企業省力化投資補助金」は、今年6月25日から公募が始まった新しい補助金制度です。中小企業などの人手不足解消につながる、IoTやロボットなどの「省力化製品」の導入費用の一部が国から補助されます。「省力化」とは作業負担の削減のことで、人が行なう作業を見直して効率化を図り、機械やシステムを導入して人的負担を削減する取り組みを指します。
「中小企業省力化投資補助金」では、省力化のための補助対象製品が指定されています。「製品カタログ」に登録されている省力化製品のなかから、自社の課題・業種・業務プロセスに合った製品を選び、その製品を販売する事業者と共同で補助金を申請します。
補助金の補助率は省力化製品の導入費用の2分の1以下で、従業員数によって補助上限額が異なります。また、補助金を受給する事業者が規定の賃上げ目標を達成した場合は、補助上限額が引き上げられます。
・「中小企業省力化投資補助金」公式サイト
・「中小企業省力化投資補助金」パンフレット
▼お話を伺った人
――今回は「中小企業省力化投資補助金」についてお話をいろいろ伺いたいと思います。まず、本事業の概要と目的について教えてください。
村岡氏: 本事業は、中小企業の人手不足問題を解消する省力化製品を導入していただくために始まった補助金制度です。申請事業者が省力化製品を導入するうえでかかる費用の一部を、国が補助金として交付します。
補助率は一律2分の1以下で、従業員数によって補助上限額が異なります。従業員数の要件は、5人以下、6人~20人、21人以上の3パターンで分けられます。また、補助事業実施期間中に一定以上の賃上げを達成した場合は、補助上限額が大幅に増額されます。
この補助上限額増額の賃上げ要件は2つあります。1つは給与支給総額を6%以上増加させること、もう1つは事業場内最低賃金を45円以上増やすという計画を策定して申請した上で、両方達成する必要があります。
――補助対象企業は「人手不足の状態にある中小企業」とのことですが、本事業での「人手不足」とはどういう状態を指すのか、その判断基準があれば教えてください。
村岡氏:補助金の受給対象の要件は4つあります。
1つ目は限られた人手で業務を遂行するため、直近1ヶ月の従業員の平均残業時間が月30時間を超えていること、2つ目は整理解雇に依らない離職・退職によって従業員数が前年度比で5%以上減少していること、3つ目は採用活動を行い求人を掲載したものの、充足には至らなかったこと、そして4つ目は1から3に該当しない「その他、省力化を推し進める必要に迫られている」ことです。
このいずれかに該当する事業者は「人手不足」の状態とみなされ、交付対象となります。
4つ目の「その他」を入れた理由は、補助金をより申請しやすくするために、さまざまな理由で省力化投資が必要な事業者が当てはまるように、間口を広げています。中小企業省力化投資補助金は、きわめて広範な業種に対して支援していくことが目的ですので、交付対象要件を広げているんです。
――省力化製品とはどういうものですか?
村岡氏:「省力化製品」とは、人手不足解消に効果があるロボットやIoTなどの製品のことです。今まで人が行なってきた業務を機械がすることで、その人の労力を他の業務に転換できます。今回の補助金は、こういった製品が対象になります。 具体的には、飲食サービス業で活用される配膳ロボットや、小売業の自動精算機、他には券売機やチェックイン機、清掃ロボットなども当てはまります。
――つまり、人手不足問題で悩む事業者が、この補助金を利用することで人力を他の業務に充てることができるのがメリットなんですね。ところで、対象製品は1社で複数の製品を申請できますか?
村岡氏:残念ながら、今のところは1社1種類で1度しか申請できません。
――補助対象の省力化製品について、もう少し詳しく教えてください。
村岡氏:公募開始時は申請可能な製品のカテゴリーが17種類ありましたが、現在(取材時の8月)は21種類に増えました。申請できる製品の登録数は、例えばスチームコンベクションオーブンが78件、券売機は32件で、登録数の多い製品は申請も多い傾向があります。スチームコンベクションオーブンと券売機は、主に飲食サービス業の事業者からの申請がメインですね。
――券売機は、新札の対応機器も補助金対象になりますか?
村岡氏:新札の対応機器は、古い機器との置き換えでしたら対象外です。現在手作業でやり取りされている店舗さんが、省力化のために新たに導入する場合は対象となります。。例えば飲食店なら、券売機を導入することで、その分の人力を調理や洗い物など他の作業に充てることができます。
――まだ省力化製品を導入できていない事業者が、今後多く応募してくるのが想定されるでしょうか?
村岡氏:そうですね。2024年6月に公募を開始してから、まだ大々的には広報活動をしていないので、省力化製品の導入推進のために、積極的に広めたいと思っています。
――現状はどのような業種の事業者からの申請が多いですか?
村岡氏:今は飲食業界が多いですね。ただ、今後はもっと多くの業種に申請していただく必要があります。そのため、申請できる省力化製品を増やしているところです。例えば、印刷業や製造業、建設業などの事業者が利用できる省力化製品を増やしており、経産省からも工業界にアプローチしています。
――対象の省力化製品はどの程度増えていますか?
村岡氏:今のところ対象の省力化製品は、外部委の方々のご意見を伺いながら月に2回の頻度で経産省で審議して登録が承認されています。1回の審議で3~4種類の製品が承認されていて、今後もさらに増えると思います。
――では、補助金の受給申請の方法を教えてください。
村岡氏:申請は、省力化製品を導入する事業者と製品を販売する事業者の共同申請になります。導入事業者のなかには、補助金申請に慣れていないところも少なくありません。そのため、製品販売事業者にご協力いただいて共同申請を行なうことで、申請をスムーズに進めます。
導入事業者にはまず「gBizID」を取得していただきます。同時に製品カタログのなかから省力化製品をお選びいただき、製品販売事業者と補助金を申請していただきます。
申請は補助金のホームページで行えます。その際、製品販売事業者からの招待IDが必要です。申請後は、早ければだいたい1カ月ぐらいで補助金交付の可否が決定します。交付決定後は、該当製品を導入していただき、事業計画を達成(事業計画どおりに事業を進める)したのちに、12カ月以内に事業実施報告書をご提出いただきます。その報告書を私たちが確認し、補助金額が確定すると、導入事業者に請求書のようなものをご発行いただきます。その後に補助金をお支払いする、という流れです。
――補助金の申請時に注意すべき点はありますか?
村岡氏:「中小企業省力化投資補助金」は、申請がとても簡単なことが大きな特徴です。他の補助金の申請では、例えば事業計画書をA4用紙で何十枚も書くといったことがあるのですが、「中小企業省力化投資補助金」ではそのような負担がありません。
ただし、申請時に書類をご提出いただく必要があるため、その書類に不備や誤った記載があると、審査が通過しない可能性があります。確認する私たちの方でもチェックシートを作って確認していますが、提出書類の作成にはご注意いただけるとありがたいですね。詳細はホームページに記載されていますので、ご確認のうえご申請いただけると助かります。
――申請書類の不備などで審査に落ちた場合、再度申請することは可能ですか?
村岡氏:もちろん可能です。補助金の受給は1回のみですが、受給前の申請自体はカウントされませんので、申請書類の不備などであれば再申請できます。
――導入事業者は、補助金受給後にも何かする必要はありますか?
村岡氏:補助金受給後は「効果報告」をご提出いただきます。これは、補助金で購入した省力化製品がどのように使われているか、そして事業計画どおりに進んでいるかなどを確認させていただくもので、3年間ご提出いただく必要があります。効果報告は省力化製品を販売した事業者にもご対応いただいており、補助金申請から効果報告が終わるまでのだいたい4年間、製品販売事業者が導入事業者をサポートしていくかたちになります。
――確かに、導入事業者にとっては申請しやすい仕組みになっていますね!
最後に、「中小企業省力化投資補助金」の意義などがあれば教えてください。
村岡氏:この補助金は、広範な業種の事業者を支援するものです。一方、経産省の資料によると、「省力化投資」の内容や事業への効果が周知されていないことがわかっています。
「中小企業省力化投資補助金」は申請にあたって、省力化投資の内容や省力化の指標とプロセスなどを定義しています。
他の補助金は、各事業者が銀行や税理士、中小企業診断士などに相談・依頼しつつ、個々で補助金を申請して自社の課題を解決していきます。一方「中小企業省力化投資補助金」は、各業種の共通課題を省力化の目的として定義し、省力化製品を導入することで、どの程度省力化が実現できるかを示しています。業種ごとの共通課題を省力化投資で解決することが目的なのです。さらに、補助対象となる省力化製品の普及率も確認しており、国として「この ような省力化製品が人手不足の課題解決に有効である」と示しています。
ぜひ、この「中小企業省力化投資補助金」を多くの事業者にご活用いただき、省力化によって、人手不足や生産性向上などの課題解決のきっかけにしていただきたいと考えています。そのために、私どもではカタログやホームページなどで詳細をご紹介しています。ご覧いただければ、各業種の共通課題や省力化効果などがおわかりになるかと思いますので、今後も積極的に情報を発信していきたいです。
――とても興味深いお話をしていただき、ありがとうございました!
企業の人手不足問題は今後も続くことが予想されますが、省力化製品の導入によって人的負担が大きく軽減され、業務効率化を実現できることがわかりました。省力化製品の導入は大企業の特権ではなく、今回のような補助金を有効活用すれば中小企業も可能です。「中小企業省力化投資補助金」はさまざまな業種の事業者が申請しやすい仕組みになっているので、自社で人手不足対策を模索している場合は、申請を検討してみてはいかがでしょうか?
独立行政法人 中小企業基盤整備機構
〒105-8453 東京都港区虎ノ門3-5-1 虎ノ門37森ビル
公式HP:https://www.smrj.go.jp/index.html
中小機構は、国の中小企業政策の中核的な実施機関として、地域の自治体や中小企業支援機関と連携しながら中小企業・小規模事業者の成長をサポートしています。また、都道府県等の支援機関や商工会・商工会議所、中小企業団体中央会、地域金融機関などに対し、さまざまな支援ツールや情報の提供を行うほか、支援のスキルアップに向けた研修などを行っています。
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