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株式会社ハッチ・ワークは、「月極駐車場のナンバーワン・カンパニー」をヴィジョンに掲げ、テクノロジーを活用した月極駐車場の稼動最大化及び最適な活用を支援するイノベーション事業を展開しています。
今回は、株式会社ハッチ・ワークで取締役CFOを務める竹内 聡氏に、キャリアの中でのターニングポイント、仕事に対する価値観、現職の事業及び組織の魅力を伺いました。経営管理の領域で活躍する竹内氏の考えに触れることで、キャリア形成のヒントを得て頂ければ幸いです。
竹内 聡(たけうち さとし)
株式会社ハッチ・ワーク 取締役CFO
東京証券取引所グロース市場(2024年10月現在)
立教大学経済学部卒業、日本大学大学院 経済学研究科修了。税理士。
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・ Inc、税理士事務所、事業会社数社の取締役を経て、2018年に株式会社ハッチ・ワークの取締役管理部長兼CFOに就任、現在は取締役CFOとして活躍。
――まず竹内さんのご経歴を教えてください。
竹内さん:大学卒業後に新卒入社をしたのが、アメリカン・エキスプレス・インターナショナルの日本支社です。
加盟店営業を数年間経験して、その後はカード会員を獲得するカード営業を数年間していました。営業での業務は気合と根性の世界で、飛び込み営業も毎日やっていましたが、ファイナンス部門の業務に興味を持ち、社内公募制度を利用してファイナンス部門へ異動しています。
その頃から税理士試験に興味を持ちましたが、税務や会計の資格はもちろん、基礎知識がなかったので簿記3級から勉強を始めました。税理士を目指す中で、資格登録のための実務経験を積む必要があったので税理士事務所を経験しました。その後は縁あって事業会社でキャリアを積んでいます。
――キャリアチェンジで今のキャリアになったんですね。税理士に興味を持ったのはなぜですか?
竹内さん:正直なところ、新卒では普通に会社を選び就職し、職種は配属により決まるものというくらいに思っていたのですが、実際に配属された営業の仕事をする中で物足りなさを感じていました。その時に、学生時代にやっていた家庭教師や塾講師では「難しい内容を噛み砕いて人に教える」ということにやりがいを感じていたなと思うようになりました。
そこで、何かの資格を取れば「教える仕事」に繋がるかもしれないと思って、働きながら挑戦できて、ある程度の難易度の資格として、税理士資格を目指したんです。 ただ、それまで税務や会計の勉強をしていたわけではないので、数年間は全く成果が出ず、今思うと安易に始めてしまったなと思います。それでも勉強を続けて徐々に成果が出始めて、最終的には仕事を辞めて資格取得の勉強に1年間集中する期間を設ける決意をして取り組みました。
当時、プライベートでは結婚していて子供もいたので、生活費を貯めて、妻に「1年間だけ勉強に専念させてほしい」とお願いをして、無事、税理士試験に合格できました。その後、税理士登録に必要な実務経験を積むために税理士事務所に再就職をしました。
結果的には税理士試験への挑戦が大きなターニングポイントになり、税理士事務所で担当していた顧問先企業の役員の方からIPO準備をするので一緒にやって欲しいとお声がけをいただきCFOのキャリアに繋がりました。
――初めての事業会社で、いきなり役員というのはプレッシャーではななかったですか?
竹内さん:30代前半から、取締役やCFOのキャリアが始まっています。
幸い顧問先企業で、経営状態を把握できていたことと、役員の皆さまと良い人間関係を構築できている状態だったので、不安はありませんでした。
最終的に残念ながらこの企業は上場には至りませんでしたが、30代前半で役員の経験を積めたことが、その後のキャリアの礎になりました。改めて会計事務所を通じて顧問先企業にお誘い頂けたのは良い縁だったと思います。
IPO準備を通じてできた証券会社やVC、印刷会社の知人の紹介で、その後も数社でベンチャー企業のCFOを経験することができましたね。IPO達成の経験はなかったものの、ベンチャー企業ならではの、資金調達やIPOに向けた内部統制、管理部門の体制構築の経験を積む良い機会になりました。
――現職の株式会社ハッチ・ワークに参画されたきっかけは何ですか?
竹内さん:社長の増田からIPOを目指すので「一緒にやりましょう」とお声がけいただいたのがきっかけです。
増田は税理士事務所から転職した最初の事業会社の同僚なんです。当時の関係性は、増田が第2新卒で入社した営業職で、私は役員だったのですが、お互いの転職後も数ヵ月に一度は一緒に食事をして情報交換をする間柄だったんです。
――気の合う同僚だったとはいえ、IPO準備企業となるとそれだけで参画を決められるものではないと思いますが、決め手は何でしたか?
竹内さん:ハッチ・ワークのコア事業の月極駐車場を対象にした月極イノベーション事業は、まず月極駐車場ポータルサイトから、14年ほど前に増田が発案したのですが、月極駐車場向けの活用支援サービスとして、まだ世の中にない独自のアイディアだったことと、月極駐車場は日本全国にあるので市場規模が大きい業界だったことに、非常に可能性を感じる事業だったのが決め手になりました。
入社当時はほとんど売上が立っていない状態でしたが、このサービスなら「確実に世の中を便利にできる」と感じて、それを一緒に創りあげたい気持ちになりました。それと、別事業ではありますが貸会議室事業を立ち上げた今の会長の大竹とも一緒に仕事ができるということで、ぜひ一緒にやりたいと考えました。
今では安定事業の貸会議室事業を継続しつつ、月極駐車場事業で大きく成長しています。
――もう少し詳しく月極駐車場事業の特徴や魅力を教えてください。
竹内さん:大まかにいうと「月極駐車場の管理業務をDXするサービス」です。
この分野はオンライン化されていなかったので、どんどん推進していって、自社サービスの「アットパーキングクラウド」で駐車場の貸し借りがオンライン上で完結するという仕組みを作りました。
月極駐車場の管理業務は、不動産管理会社が賃貸住宅管理の傍らで、付帯事業として行っているのが一般的で、ビジネスモデル革新や生産性向上、DX化などが全く進んでいない領域なんですね。理由は簡単で、不動産管理会社の収入は賃料の5%程度を地主や所有者からいただくのが相場です。例えば、家賃であれば月額10万円だと5%の5千円であるのに対して、駐車場は月額1万円だと500円にしかなりません。本業の賃貸住宅などの事業に対して収益性が低いので、コストをかけて管理したり、投資して生産性を高めようという発想が生じづらい状況でした。
しかし、当社は不動産管理会社や地主、所有者ではなく、駐車場利用者に収益をいただくビジネスモデルを構築しました。具体的には滞納保証サービスに付帯するものなので、一つ一つの売上は少額ですが、着実に積みあがっていく事業です。また、滞納保証を付帯したことで管理会社側にもメリットがあるので、積極的に導入していただける点に特徴があります。
――シンプルな発想の転換ですが、当事者の駐車場管理の事業者では思いつかないサービスだったんですね。
竹内さん:収益性が低い一方で数が多いというものは、DX化と相性が良い問題だと思います。駐車場利用者から収益を上げるという発想で、管理会社側の課題をクリアできました。ただ、もう一方で利用者側の課題も解決したことが、事業拡大のポイントだったと考えています。
住宅に関してはウェブで検索すれば、いくらでも見つけられると思いますが、駐車場の情報は見つかりませんよね。駐車場って借りたいとなったら直ぐに見つけたいはずなのに、それを解決するサービスがありませんでした。そこで、当社が駐車場情報をポータルサイト「アットパーキング」に掲載をして、駐車場をウェブ検索で探せるようにしました。
不動産業界はとてもアナログで、来店して紙と印鑑で契約するのが正しい姿という感覚がいまだにあるので、DXの推進が遅れていましたが、明らかに利用者側のニーズは顕在化していました。また、不動産業界は情報を囲い込む商慣習が強いので、サービスを始めた当時は駐車場の空き埋まりの情報をポータルサイトに出すことに強い抵抗を持たれました。
しかし、利用者側のニーズを捉えていたことと、管理会社にメリットがある仕組みを作れたことが奏功したと考えています。
――シンプルなビジネスモデルなので競合の参入が気になりますが、この市場をリードする立場として競合参入への対策などは考えていますか?
竹内さん:競合という点では、上場会社、未上場会社併せて何社か出てきています。
ただ、まだまだ黎明期なので、管理会社にこのサービスが認知されるようになり、市場を作っている段階と考えています。競合が出てくることによって、サービスの質が上がるでしょうし、駐車場管理業界の理解も進むので、切磋琢磨しながら市場拡大していきたいと思います。
市場規模という点では、日本全国の車の台数は7,000万台弱ですので、同等数の駐車場が存在するはずです。そのうち月極駐車場がどれぐらいあるのかは、正確なデータがないので推測すると、ざっと半分と考えたとしても3,000万台分はある可能性があります。 現在、当社が扱っている駐車場は、まだ30数万台なので市場の1%ぐらいです。競合を合わせても数%というレベルだと思うので、市場規模はまだまだありますね。
また、先に扱える駐車場をおさえるという選択も必要ですが、私たちは先に上場することを目指していたのでコストと利益のバランスをみながらやってきました。
――市場開拓の余地はまだまだあるので既存サービスに注力されていると思いますが、新しい事業の展開もご検討されているのでしょうか?
竹内さん:駐車場事業に関しては、多くの可能性を秘めていると思います。
既存事業を拡大していくと駐車場の契約期間の情報がわかるので、空き埋まり状況をリアルタイムで補足できるんですね。そうなると駐車場の空く期間に対して、「その隙間の期間をどのように使いますか?」というのが次の発想です。
例えば、既にリリースしているサービス「アットパーキングウイークリー」ではその隙間期間に限定して短期貸出しのサービスが可能です。
1日や1週間単位でも工事業者などはターゲットになると思います。月極駐車場は住宅地の中にあったりするので、住宅の工事をする業者が、工事期間の1週間だけ車を駐車する場所として利用ができる。「コインパーキングがあるじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、コインパーキングは都心の住宅地や駅前ぐらいにしかないんです。郊外の住宅地で、一時的に利用できる駐車場を見つけるのは至難です。
そのため、業者さんはまず現場に行って、車を駐車できる場所があるのか確認するのが最初の仕事になります。月極駐車場なら必ず住宅地にあるので、オンラインで予約ができるのは非常に評判が良く、そういった方々に徐々にご利用いただくようになりました。
駐車場の空き埋まりをリアルタイムに管理できる点から、未来的な発想として、ドローンの発着地やカーシェア用の車の置き場所になったり、キッチンカーや移動式スーパーマーケットが出店する場所になるかもしれないですね。
――株式会社ハッチ・ワークに入ると、どんな経験やキャリアが積めそうですか?その上での会社の魅力を教えてください。
竹内さん:事業拡大とリスクマネジメントの観点で、各グループの統括責任者を増やしていくことが必要と考えています。単純な管理職というより次世代候補が必要ですね。
私がハッチ・ワークに入った時は、管理部門は数名ほどの少人数でスタートしたので、今のメンバーはIPO実現に向けて経験が豊富な即戦力を採用してきました。
目標実現に向けて、一体感のある良いチームだと思います。上場して事業拡大のフェーズなので、これからは成長意欲の高い方に入社いただければ、今いる経験豊富なメンバーが伴走して業務を引き継いでいけると考えています。
――管理部門の組織拡大フェーズで課題になる点として、管理部門の目標設定と評価があると思います。工夫されてらっしゃることはありますか?
竹内さん:営業のような数字ではありませんので、目標と評価は非常に難しいですよね。
当社の取組みでご紹介できるのは、各部署の責任者に会社のパーパスに紐づく形で、部署ごとのパーパスを作ってもらうようにしています。まだ試行錯誤している段階ですが、「自分の部署の存在意義」から落とし込み、部署の責任者からメンバーまで共通認識を持てるようにしています。
――経営管理の仕事をされていて、大切にされていることはありますか?
竹内さん:視野を広げるために意識的に、いろいろな分野の本を読んでいます。
一見、関係なさそうな分野も、本であれば触れることができるので。
IPO準備期間は、私自身が実務的なインプットをすることが多く、一緒に仕事をするメンバーもビジネスパーソンとして経験や能力があることを重視して集まっていたので、上場したことを機に視座を高めたいと感じています。これまで、ビジネス書をたくさん読んで勉強してきたつもりですが、もう少し上位概念が必要だと思い、仏教や禅への世界に興味を持っています。
とはいえ、実務面でのビジネス書でも良い本はたくさんあります。例えば、「行動経済学が最強の学問である」や株式会社ニコンのCFOである徳成旨亮さんが著者の「CFO思考」が面白かったですね。
――最後に、読者の方々にアドバイスをお願いします。この記事をみてくださる年齢層の20代~40代を振り返ってみてどう感じますか?
竹内さん:私は、新卒で経験した営業職は非常にプラスだったと思っています。
当時は飛び込み営業が基本だったのですが、「お金を稼ぐこと」を実感を持って経験できました。直接お客さまと接していたことで、ビジネスについて理解が出来たので、営業の経験は今でも役立っていますね。
管理部門の経験だけの方は、この感覚は持ちにくいと思いますので、意識的に営業の人と交流したり、営業について学ぶ機会を作ると良いと思います。他には、とにかく常に何かを学ぶ姿勢を持っておくことが良いと思います。
私は仕事をしながら資格取得の専門学校に通って、学校内の求人をみて会計事務所の転職先を探したりしていました。私と同じように資格取得に挑戦している方には、ぜひ頑張って形にしてほしいと思います。
形にしたことが自信につながりますし、資格だけではなく、何か自分の心に達成感や自信になるものがあればいいのかなと思います。
――貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
新しい市場を作っている株式会社ハッチ・ワークの経営管理部門をけん引する竹内氏自身が、常に新しいことを学び続けていました。
社会に新しい価値を創造する企業で、事業と共に自らのキャリアを成長させていきたい方には、多くのチャンスを得られる環境があるはずです。 今後の株式会社ハッチ・ワークの事業展開が楽しみです。
インタビュアー
清水 悠太(しみず ゆうた)/ マーケティングDivision / 執行役員
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