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政府の増税方針が発表されると、反対の声が巻き起こるものですが、たばこ税に関しては、一部の愛煙家をのぞいては、“増税やむなし”と受け入れる声の方が多いようです。なぜ、たばこは増税されやすいのか、たばこ税は何に使われているのか、いつから始まったのかを見ていきましょう。
たばこには、国たばこ税、地方たばこ税、たばこ特別税、消費税の4つの税金が課せられています。銘柄によって多少違いますが、一般的な紙巻たばこの税負担率はおよそ6割で、もっとも税負担率の重い商品のひとつとなっています。
一般的な20本入り・480円の1箱の税額は300.43円(約63%)ですから、まさに紫煙をくゆらせることは、税金を吐き出しているようなものです。
およそ6割もの税金が課せられているたばこ税の税収総額(平成28年度)は、2兆1,154億円で、その内訳は国たばこ税9,142億円、地方たばこ税1兆598億円、たばこ特別税1,414億円となっています。
国にとっても地方にとっても、貴重な財源となっているたばこ税ですが、過去10年間で3回も増税が行われており、この先1箱1,000円台になるのも時間の問題と言われています。
ところで、たばこ税はいつから導入されたのでしょうか。国税庁の「煙草税のあゆみ―煙草印紙の攻防」によると、たばこ税の始まりは明治8年(1875)に公布された煙草税則です。ちなみに、当時は“たばこ”を「煙草」と漢字で表記していたようです。
煙草税則は、それまで各地で独自に課税されていたたばこに関する税を、全国統一とすることが目的で、当時の日本の租税体系が地租に偏りすぎていたことから、それを軽減するために煙草税を創設したようです。
当時の煙草税は、卸と小売りに、それぞれ年額10円、5円を課す煙草営業税と、定価5銭未満に1厘、10銭未満に5厘、20銭未満に1銭、30銭未満に2銭、40銭未満に3銭の製造煙草税というものでした。
また、製造煙草税は、売買の際に貼る印紙での納税が定められていましたが、印紙を貼らずに売買する業者や、流用による脱税が横行していたようです。そのため、明治15年までの煙草税の平均歳入は24~25万円、うち煙草営業税が約20万円、製造煙草税は4~5万円と、税収全体に占める割合は少なかったようです。
煙草税が、有力な財源のひとつと位置付けられるようになったのは、日清戦争後、日本の財政が増大し、増税の必要性がでてきたことが理由です。そこで、明治29年、煙草税則を廃止して葉煙草専売法を創設、さらに、日露戦争の費用を調達するために、明治37年に煙草は完全専売制度となりました。
専売制度では、大蔵省(現・財務省)がたばこの販売をしていました。昭和24年(1949)に日本専売公社が引き継ぐことになったのですが、昭和60年(1985)年に日本専売公社が廃止となり、日本たばこ産業株式会社(JT)が誕生しました。
たばこに課せられる税は、専売制の廃止に伴い“たばこ消費税”として導入され、平成元年(1989)の消費税導入時には、“たばこ税”と名称が変更となり、現在に至っています。
莫大な財政赤字を抱える政府にとって、2兆1,154億円のたばこ税は、まさに貴重な財源です。それでも、増税となると、真っ先にたばこの名があがります。受動喫煙による健康被害が社会問題化し、病院や公共施設、飲食店での分煙や禁煙が進むなど、禁煙の流れが世界の潮流となっていることも背景にあるようですが、たばこ税の使いみちを見ていくと、そう単純には割り切れないようです。
これまで、たばこ税は4回増税してきましたが、最初の増税は平成10年(1998)のたばこ特別税の創設です。その目的は、旧国鉄の債務返還のために国鉄清算事業団と国有林野事業特別会計への税金投入、つまり国の借金返済目的の増税です。
また、「国たばこ税」は主に国の一般財源、「地方たばこ税」は地方自治体の一般財源として使われています。国税収の1.8%、地方税収の2.7%を占めていますから、決して無視できる額ではありません。
一般財源は、使いみちが決められているわけではありませんから、詳細はそれぞれの自治体への確認が必要ですが、多くは福祉や教育などに使われているようです。しかし、増税によるたばこの値上げによって、たばこの販売数とともに、税収も減少しています。
世界保健機構(WHO)が、たばこの消費を減らすため、「たばこ税を価格の75%まで引き上げるべき」と提言しましたが、そうなると、ますます税収が減少していくでしょう。気になるのは、その不足分を何で埋め合わせすることになるかです。
禁煙は世界的潮流ではあり、オフィスでも禁煙にするところが増えています。総務には、「全面禁煙」や「喫煙室設置」の求める声も寄せられることでしょう。喫煙者と非喫煙者の間で右往左往することもあるでしょうが、たばこを吸う人も吸わない人も、たばこ税の使いみちについて知っておくことで、双方、納得のいく結論が見いだせるかもしれません。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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