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税理士・公認会計士 小形 剛央
TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
資本コストの代表的な算定方法であるWACC(負債-株式の加重平均資本コスト)とCAPM(資本資産評価モデル)とはどのようなものか、コーポレートガバナンス・コードで求められている企業経営における資本コストへの取り組み方法について紹介します。
当コラムのポイント
東京証券取引所では、2023年3⽉、プライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しておりますが、上場会社の皆様の検討の参考にしていただくため、2024年2月(2024年11月改訂)に「投資者の視点を踏まえたポイント」、2024年11⽉に「投資者の目線とギャップのある事例」を公表しました。ここでは、その中から、「資本コスト」に関する部分を取り上げたいと思います。
投資者が認識する⽔準から乖離した株主資本コストを用いている事例があります。CAPMでは投資家の想定よりも低い値となることがよくあるため、その他の算出⽅式もあわせて用いることや、投資者に意⾒を聴くなど、投資者との目線にズレがないかを確認することが考えられます。
株主資本コストを推計する手法として、多くの企業ではCAPMが利用されていますが、その算出値はあくまでも⼀つの推計値です。株主資本コストは「投資者の期待収益率」であるという観点からは、必ずしもCAPM等のモデルを用いて算出すればそれだけでよいというわけではなく、資本コストの⽔準について、「投資者と認識が揃っているか」ということがポイントとなります。
こうした投資者との共通理解を醸成するため、たとえば、
① 自社で認識している資本コストの⽔準と併せて、算出に用いたモデル・パラメータを開示
② 複数のモデル・パラメータを用いて分析
③ 説明会や面談を通じて、投資者に自社の資本コストの⽔準についてヒアリング
などを⾏い、投資者の視点から資本コストを把握することが期待されています。
中⻑期的な企業価値向上の実現に向けては、資本コストを上回る資本収益性を達成したうえで、……
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