詳細はこちら
サービスロゴ

もらえる!

Present!

法令違反は罰則も!改めて確認しておきたい「最低賃金」 の基礎知識|押さえておくべき実務上の基礎知識と最低賃金額の計算方法

公開日2025/08/03 更新日2025/08/01 ブックマーク数
0
法令違反は罰則も!改めて確認しておきたい「最低賃金」 の基礎知識|押さえておくべき実務上の基礎知識と最低賃金額の計算方法

最低賃金の適用は、試用期間中の賃金や宿直勤務の仮眠時間、歩合給など、わかりにくいケースもあります。そこで、最低賃金法の基本と計算方法、よくある誤解と留意点などを再確認します。

▼この記事を書いた人

社会保険労務士法人シグナル

有馬 美帆
特定社会保険労務士

社会保険労務士法人シグナル代表
IPO支援、人的資本経営支援、労使トラブル予防・相談、就業規則作成、セミナー講師、執筆等多方面で活躍。企業の成長フェーズに応じ一歩先回りした組織力強化コンサルティングを得意とする。

(1)最低賃金額の表示

最低賃金額は、就業形態の多様化への対応やわかりやすさの観点から、最小単位である時間額表示のみとされています。

(2)対象となる労働者

地域別最低賃金は、正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託、定年後再雇用などの雇用形態や呼称に関係なく、すべての労働者に対して適用されます。

(3)派遣労働者の扱い

派遣労働者は、派遣元事業場の所在地ではなく、派遣先事業場の所在地の最低賃金が適用されるので注意が必要です。
派遣先の事業場に特定最低賃金が適用される場合は、そちらが適用されます。

(4)対象となる賃金

最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金ですが、図表1に掲げる6種類の賃金は対象外となります。

図表1の①は、結婚手当などがその例で、②は賞与(ボーナス)などです(最賃法4条3項、最低賃金法施行規則1条1項)。
③④⑤は、それぞれ、時間外労働、休日労働、深夜労働に関する割増賃金のことです(最賃法4条3項、最低賃金法施行規則1条2項)。

図表1

給与計算は、労基法等に定める原則を前提としたうえで、最低賃金額を満たす必要があります。
たとえば、仮眠時間であれば、「使用者の指揮命令下にある時間」という労基法上の労働時間に関する原則に該当するか否かがまず問題となり、該当するのであればその時間は最低賃金の適用対象となります。

(5)「割増賃金の基礎となる賃金」との違い

「割増賃金の基礎となる賃金」との混同にも注意が必要です。
労働と直接的な関係が薄く、個人的な事情に基づいて支給されているものなどに該当する賃金は、割増賃金の計算の基礎から除外可能です(労基法37条5項、労働基準法施行規則21条)。

具体的には、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金です。
このなかで、たとえば家族手当や通勤手当は割増賃金の基礎だけでなく最低賃金の対象にもなりませんが、住宅手当は割増賃金の対象からは除外し、最低賃金の計算をする際には含めます。

(6)最低賃金の周知義務

企業などの使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者の範囲、最低賃金額、算入しない賃金および効力発生日を常時作業場の見えやすい場所に掲示するなどの方法により周知しなければなりません(最賃法8条)。この周知義務を履行していないケースが多く見受けられます。




最低賃金の計算方法

(1)労務コンプライアンスの原点としての最低賃金

最賃法の違反には罰則があり、コンプライアンス(法令遵守)の観点からも、労働者の賃金が最低賃金額に達しているかの確認は、労働者の最低限度の生活の保障という労働法の原点であり、最重要事項の1つです。

そのため、正確な計算方法の確認はもちろんのこと、毎年行なわれる最低賃金額の改定についても注意を払う必要があります。改定は通常10月以降の施行ですので、8月後半以降に新たな地域別最低賃金額の確認作業を毎年のスケジュールに組み込むようにしてください。

(2)最低賃金の計算方法

最低賃金の計算方法は図表2のとおりです。計算する際は、前述の最低賃金から除外する賃金に注意してください(図表1)。

図表1

図表2の①から④はいずれも時間額で、最低賃金額以上かを判別することになります。

図表2

ほかには、①から④の組合わせという場合もありますが、こちらも時間額に換算します。
たとえば、基本給は日給制で「リーダー手当」は月給制というような場合は、それぞれを時間額に換算したうえで合算したものを、最低賃金額(時間額)と比較して判断します。

この記事を読んだ方にオススメ!

記事提供元

『企業実務』は、経理・総務・労務で直面する課題を解決できる記事を凝縮した月刊誌。税制改正・新法令への対応・社会保険事務など、具体的な処理方法を毎月お届けしています。
またWebサービス『企業実務サポートクラブ』では、実践的なセミナー開催・専門家へのネット相談窓口・社内規程の文例ダウンロードなどを設け、実務担当者を強力にサポートしています。


ニュースを読んでポイントGET!(公開日の翌日13時前限定で取得可能)

おすすめコンテンツ

人気記事ランキング

キャリア記事ランキング

新着動画

関連情報

マネジーポイントを貯めると各種ポイントと交換できたりカタログギフトとも交換可能です。また今なら初回特典として1,600ポイントをプレゼント!

マネジーの会員登録はこちら