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多様なフィールドを歩んだCFOが語る“事業と財務をつなぐ力”【CFOインタビュー jinjer株式会社 CFO 木村 哲哉氏】

公開日2025/09/02 更新日2025/09/01 ブックマーク数
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多様なフィールドを歩んだCFOが語る“事業と財務をつなぐ力”【CFOインタビュー jinjer株式会社 CFO 木村 哲哉氏】

今回は、人事データを軸に組織課題を解決するSaaSプロダクトを展開するjinjer株式会社でCFO 最高財務責任者を務める木村 哲哉 氏に、キャリアの中でのターニングポイント、仕事に対する価値観、現職の事業及び組織の魅力を伺いました。
スタートアップ的なスピード感と、正しい経営ガバナンスの両立を追求する木村氏の考えに触れることで、キャリア形成のヒントを得て頂ければ幸いです。

【プロフィール】

木村 哲哉(きむら てつや)
jinjer株式会社 CFO 最高財務責任者

戦略コンサルティングファームから事業会社、スタートアップ、PEファンドまで、多様な立場で経営に携わる。事業推進・財務戦略・組織マネジメントを横断的に経験し、企業価値向上と経営ガバナンスの整備を両軸にした体制構築を得意とする。2025年よりjinjer株式会社にCFOとして参画。

木村様のキャリア・価値観について

ーーまずは木村様のご経歴をお聞かせください

私は「経営者になる」という目標を持ってキャリアをスタートし、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)で戦略コンサルタントとしてTMT領域を担当していました。

その後、「経営の現場に立ちたい」と考え、急成長中だったグリー株式会社に転職。
事業企画・営業・マーケティングの責任者を務め、急拡大と縮小を経験する中で、経営判断のスピードや実行力の重要性を肌で学びました。

続いて、外資系製薬会社や教育系スタートアップでの経営経験を経て、PEファンドの投資先にてCFO/CSOとして企業改革を主導。
財務・組織・ガバナンスの三位一体で企業価値向上に取り組みました。

こうした経験を通じて、「スピードと実行」と「健全なガバナンス」を両立させる経営の在り方を追求するようになり、jinjerへの参画を決意しました。

ーー業種も職種も幅広い経験を積まれていますが、改めて木村さんの強みは何ですか?

私はこれまで、戦略コンサルティング、事業会社、スタートアップ、そしてファンド投資先の経営と、立場やフェーズの異なる組織を経験してきました。
それぞれの現場で、企画から実行、戦略から財務、事業側から経営側と、いわゆる“攻め”と“守り”の両方に深く関わってきたからこそ、経営全体を俯瞰しながら企業価値の向上に貢献できる自負があります。

特に、スタートアップのようなスピード感のある環境において、勢いだけではなく「正しいガバナンス」を組み込むこと。
その一方で、大企業的な慎重さや形式主義に偏ることなく、「実行と変革」を前提に仕組みを設計していくこと。
この“両利き”のバランス感覚は、私がさまざまな組織文化と向き合ってきたからこそ培われたものだと思っています。

また、事業を深く理解したうえで財務を語れる、というのも私の強みであると思っています。
単に数字を見るだけでなく、その数字の裏側にある現場の動きや意思決定プロセスを理解し、経営判断に落とし込むことができる。
この“翻訳力”は、CFOという立場において非常に重要なスキルだと考えています。

ーー木村さんの仕事観や価値観に影響を与えた体験や基礎となっていることは何ですか?

私の仕事観に大きな影響を与えたのは、グリーでの経験です。
あの頃は、成長スピードがものすごくて、1日単位で意思決定と実行を繰り返すような日々でした。
とにかく「スピードと実行」が命で、時間をかけて100点の準備をするよりも、早く動いて60点でいいから結果を出すことが求められるカルチャーでした。
結果的に早く動いた方が、早く100点に近づけるのがビジネスなので、「机上の空論より現場がすべて」という感覚と「やりきる力」の大切さが私の仕事観に植えつけられました。

一方で、バイエル薬品のような外資系の大企業に身を置いたことで、「正しいガバナンスとは何か」「多様なステークホルダーとどう向き合うべきか」といったことを深く考えるようになりました。
グローバル企業の中で、意思決定が進まないもどかしさも含めて、大きな組織の難しさと丁寧さの両方を体感できたのは、自分の中での視野を広げる大きな転機だったと思います。

今振り返ると、スピードと実行力を徹底的に叩き込まれたグリーの経験と、統制と配慮を学んだバイエル薬品での経験、その両方が今の私の仕事観の軸になっていると感じます。
どちらか一方だけではなく、両方の価値観を行き来できるのが自分の強みであり、今のスタイルのベースになっていると思います。

jinjer株式会社木村様

ーー尊敬している、または影響を受けた人物を教えてください。

一番影響を受けたのは、グリー時代に一緒に働かせていただいた経営陣の方々です。
当時のグリーはとにかくスピードと実行力を重視する文化で、お伝えした通り、「60点でもいいから今すぐ動け」「やりながら修正しろ」というメッセージが、日々の現場で徹底されていました。
とにかく“考えるよりまず動く”“動きながら考える”というスタンスが徹底されていて、それまでのコンサルティングファームで重視されていた完璧主義とは、真逆の感覚に大きな刺激を受けました。

特に経営陣が、3000人規模の組織になっても毎週月曜の朝に自ら全社に向けてビジョンを熱っぽく語るなど、経営者として言葉と行動で組織を動かしていたのがとても印象に残っています。
「諦めるやつに世界は変えられない」「成功するまでやり切る」という言葉には強く共感しましたし、いまでも自分の中に残っています。

jinjer株式会社での挑戦

ーーCFOという立場から見たjinjerの事業成長ポテンシャルと、それにどう貢献していきたいか、ビジョンをお聞かせください。

CFOの視点から見たjinjerの事業成長ポテンシャルは、「統合性」「人的資本経営の潮流」「SaaSとしての拡張性」の3点にあると考えています。
ジンジャーは、勤怠・人事・給与などの複数機能を統合データベースでシームレスに連携し、業務の非効率やデータの分断といった根本課題を解決できる強みがあります。
また、今後ますます注目される「人的資本経営」において、ジンジャーは従業員データを活用し、戦略的人事を支える基盤としての役割を果たせると確信しています。
さらに将来的には、HR領域を超えて会計や法務などのバックオフィス全般に拡大し、ワンストップで経営課題に対応できる存在となる可能性を秘めています。

このポテンシャルを最大限に引き出すために、CFOとしては「攻め」と「守り」の両面から事業成長を支えます。
「攻め」では、データに基づいた資本投下やKPI分析により、成長に向けた意思決定を加速しています。
「守り」では、急成長に耐えうる経営基盤とガバナンス体制を構築し、持続可能な成長を実現します。
最終的には、ジンジャーを企業のバックオフィス全体を支える社会インフラ、すなわち「バックオフィスのOS」と呼ばれる存在へと成長させることが私のビジョンです。

ーー「ジンジャーサーベイ」など、新たにリリースされたサービスをどう捉えているか、また、プロダクトの強み、ポイントを教えてください。

「ジンジャーサーベイ」は、我々のプロダクト戦略を象徴する、非常に重要な一手だと捉えています。
これは単なる機能追加ではなく、ジンジャーが目指す「データドリブンな人的資本経営」を、より高いレベルで実現するための核となるサービスです。

経営の観点から見ると、これまで「従業員の声」や「エンゲージメント」といったものは、定性的で捉えにくいものでした。
しかし「ジンジャーサーベイ」は、そうした目に見えない価値をデータとして可視化し、経営判断に直接組み込むことを可能にします。
例えば、離職の予兆を早期に検知して対策を打つことは、採用や再教育にかかるコストを未然に防ぐ「守り」の経営に直結します。
同時に、どの部署がパフォーマンス高く成果を出しており、どのような要因がその部署の生産性を高めているのかを分析し、そこへ戦略的に投資することは「攻め」の経営そのものです。

そして、この「ジンジャーサーベイ」が真価を発揮できる最大の理由こそが、我々のプロダクト全体の強みである「統合型データベース」の存在です。

ジンジャーの最も重要なポイントは、勤怠、人事労務、給与、経費といったあらゆる人事データが分断されることなく、初めから一つのデータベースで管理されている点にあります。
多くの企業では、システムごとに人事データがバラバラに存在するため、いざデータを分析しようにも、その収集や整理(データクレンジング)に膨大な時間とコストがかかってしまいます。

我々のプラットフォームでは、その手間が一切ありません。
「ジンジャーサーベイ」で得られた従業員のコンディションに関するデータと、勤怠データや人事評価、給与データを瞬時に掛け合わせて分析することができます。
「パフォーマンスが高いチームの共通点は何か?」「残業時間とエンゲージメントの相関関係は?」といった、これまで“勘”に頼らざるを得なかった問いに対して、客観的なデータに基づいた“確信”を持って答えることができるのです。

まとめると、プロダクトの強みは以下の2点に集約されます。

  1. データの信頼性と即時性: すべてのデータが「統合型データベース」にあるため、常に正しく、リアルタイムな情報に基づいた意思決定が可能です。
  2. 経営判断への直結: 「ジンジャーサーベイ」のように、収集したデータを経営資源として活用し、具体的なアクションに繋げる仕組みが組み込まれていること。

この「正しい人事データをもとに、いかにして企業価値向上に繋げるか」という問いに、ワンストップで応えられることこそが、ジンジャーが提供する最大の価値だと考えています。

管理部門・士業読者へのメッセージ

ーーご自身のこれまでのキャリアを振り返って、「やっておいて良かったこと」「やっておけばよかったと感じること」はありますか?

jinjer株式会社木村様

振り返ってみて、「やっておいて良かったこと」は大きく二つあります。

一つは、キャリアの早い段階で事業の最前線に立ったことです。
コンサルタントとしてキャリアを始めましたが、その後グリーで事業企画や営業、マーケティングの責任者を務めました。
その際に、損益計算書(P/L)の「売上」や「費用」が、現場の日々のどのような活動から生まれるのか、その手触り感を肌で理解できた経験は、今の私の大きな財産です。
数字の裏側にある事業のリアルな動きが分かるからこそ、CFOとしてより的確な判断ができると信じています。

もう一つは、PEファンドでの経験を通じて、徹底的に財務と向き合ったことです。
事業側から見ていたP/Lだけでなく、バランスシート(B/S)やキャッシュフロー(C/F)がいかに企業価値に直結するかを学びました。
企業を「事業」と「財務」の両面から、いわば複眼的に見られるようになったのは、この経験があったからです。
この「事業と財務を繋ぐ力」こそが、私のキャリアの核になっていると感じます。

一方で、「やっておけばよかった」と唯一にして最大の後悔は、海外に留学しなかったことです。
外資系企業での勤務経験はありますが、一度日本のキャリアを完全にリセットして、学生として海外の多様な価値観の中に身を置き、ゼロから人間関係を築くという経験をしてみたかった、と今でも時々思います。

ビジネススキルはもちろんですが、それ以上に、自分がマイノリティとなる環境で物事をどう捉え、どうコミュニケーションを取るのか。
そうした経験を通じて得られるであろう、本当の意味でのグローバルな視点や人間的な深みは、計り知れない価値があっただろうと感じています。
もちろん、今からでも多様なバックグラウンドを持つ方々と積極的に交流することで、その視点を養う努力は続けていますが、あの時にしか得られない経験があっただろうな、という思いはありますね。

ーー管理部門の読者におすすめしたい書籍(人生のバイブル・最近読んで面白かった本など)があればご紹介ください。

最近では、パトリック・レンシオーニ著、伊豆原弓訳の『あなたのチーム、機能してますか?』が良かったです。

チームマネジメントにおける「信頼の欠如」「衝突への恐れ」「責任回避」など、組織が直面しやすい課題を5つの機能不全として整理し、物語形式でわかりやすく解説してくれる一冊です。
特に管理部門に携わる方々にとっては、自部門のチームビルディングや他部門との連携において多くの気づきが得られる内容だと思います。

この本はGeminiにおすすめしてもらったことをきっかけに手に取ったので、皆様もAIなどで読むべき記事を選定のうえ、優先順位をつけてもらって読んでみると、自分のキャリアに合う本や身に付けたいスキルに合わせた記事をおすすめしてもらえると思います!

ーー最後に、これからCFOを目指す方や、管理部門でキャリアを築く若手読者へのメッセージをお願いします。

CFOは単なる数字の管理者ではなく、経営戦略と現場をつなぎ、未来をつくる役割です。
そのためには、事業への深い理解と実行経験が不可欠だと感じています。
キャリアは一直線でなくてもよく、遠回りに見える経験が強みになることもあります。
私自身、異なる業界を渡り歩いたことで視野が広がり、今の軸ができました。
「良い会社を、もっと良くする」――このような点にCFOの役割に大きなやりがいを感じています。
若手の皆さんにも、自分なりの視点を磨き、唯一無二のキャリアを築いてほしいと思います。

インタビュアー
清水 悠太(しみず ゆうた)/ 株式会社MS-Japan マーケティングDivision / 執行役員


2005年3月法政大学卒業後、株式会社MS-Japanに入社。
ベンチャー・IPO準備企業を中心とした法人営業を経験した後、キャリアアドバイザーとしてCFO、管理部長、会計士、税理士、弁護士を中心に延べ5000名のキャリア支援を経験。
現在はマーケティングDivision長および執行役員として、マーケティングと新規事業・新規サービスの開発を担当。


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