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経営改善が進まない会社に共通する原因とは?

公開日2025/09/29 更新日2025/09/26 ブックマーク数
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【税理士執筆】BPO対応とは?税理士が教える経理アウトソーシングの進め方と注意点

「社員も経営者も懸命に働いているのに、利益が思うように出ない」──そんな悩みを抱える企業は少なくありません。

・残業が常態化し、社長自身も休みなく走り続けている
・広告や新サービスに投資しても成果につながらない

こうした状況の背景にあるのは、努力不足ではなく「利益構造がどこで崩れているのか」が見えていないことです。
本記事では、経営改善が進まない会社に共通する課題を整理し、数字をセグメント別に見える化して利益体質へ転換するための第一歩を解説します。

鍵政 達也様

▼この記事を書いた人

鍵政 達也

ExePro Partner
経営コンサルタント

ExePro Partner 代表 経営コンサルタント。経済産業省認定 認定経営革新等支援機関。
コンサルティング会社での経験と経営者としての事業再生の実務経験を活かし、経営における「数字の見える化」「やるべきことの言語化」をメインテーマに現場に即した経営支援を実施。 これまで100社超の支援に携わる。

なぜ「頑張っているのに苦しい」のか?

努力そのものは十分に行われているにもかかわらず、成果につながらないのはなぜでしょうか。
問題は、方向性が整理されないまま各部門が走り続け、組織全体が疲弊していることにあります。

さらに「収益構造の見えなさ」により、赤字要因が特定されず、打ち手が場当たり的になってしまうのです。
その結果、現場の頑張りが報われず、改善が進まない悪循環に陥ります。

利益が出ない会社に共通する「構造の見えなさ」

利益が出ない会社の最大の特徴は、会社全体の損益は分かっていても、セグメントごとの収支を把握していないことです。

経営者は決算書や試算表を見て「利益が出ていない」と理解していても、では「どの拠点が足を引っ張っているのか」「どの商品が赤字なのか」「どの顧客層にコストがかかりすぎているのか」まで答えられるケースは少数です。

典型的な事例を挙げると、

  • 拠点別損益を出してみると、郊外店舗は利益が出ているが、都心店舗は家賃が高く慢性的な赤字だった
  • 商品/サービス別収益性を分析すると、人気商品は売れているものの原価率が高く、むしろ主力商品が赤字を生んでいた
  • 顧客別・案件別の収益性を見直すと、大口顧客ほど値引きが大きく、対応工数もかかっており、実際には小口顧客よりも利益が小さかった

このように「セグメント別に見える化」しない限り、全社の損益に赤字要因が埋もれてしまい、根本的な改善に手を打てません。

さらに管理会計的に分解すると、利益構造は次の通りです。

売上 − 原価 = 粗利
粗利 − 費用(変動費+固定費)= 営業利益

そもそもの粗利が低いのか、変動費が膨らんでいるのか、固定費が重すぎるのか、原因によって打ち手はまったく変わります。

  • 粗利が低い → 価格設定や仕入条件の見直し
  • 変動費が膨らんでいる → 広告や販管費の効率改善
  • 固定費が重い → 拠点の統廃合や人員配置の見直し

つまり、「構造が見えていない状態」とは、会社全体の数字だけを追いかけ、どの要素が収益を圧迫しているかを特定できていない状態を指します。
この「見えなさ」を放置すると、いくら現場が頑張っても成果は出ないのです。

数字を「見ている」のに、動けない会社の実態

多くの経営者は「数字は毎月チェックしている」とおっしゃいます。しかし、会議で売上や利益を確認し、税理士から月次試算表を受け取るだけでは経営改善は進みません。
なぜなら、その「数字の見方」が表面的にとどまっているからです。

以下のようなケースは典型的です。

  • 売上が下がった理由が曖昧なまま感覚で認識しており、客数減・客単価減などを根拠に基づいて分解していない
  • 経費が膨らんでいる原因を追わず、漫然と「コスト削減」と号令をかけるだけで終わっている
  • 在庫や仕入の回転率を把握せず、売れない商品が倉庫に眠りキャッシュを圧迫している

つまり、「数字を見ている=数字を眺めている」に過ぎないのです。必要なのは、数字をセグメントごとに因数分解して、原因を特定し、行動につなげることです。

例えば、

  • 拠点別の売上・粗利を比較することで、店舗ごとの仕入や人件費の偏りを特定する
  • 商品別の変動費率を出して、広告投資が費用対効果を生んでいるか検証する
  • 顧客別の対応コストを計算し、「売上は大きいが利益は少ない」顧客を洗い出す

こうした分析を怠れば、数字は確認していても「次の一手」に落とし込めず、結局は動けないまま時間だけが過ぎてしまいます。
逆に、セグメントごとに数字を整理できれば、経営者は次の行動を具体的に描くことができます。

値上げ交渉に踏み切るのか、広告チャネルを切り替えるのか、赤字拠点を閉鎖するのか、人員を再配置するのか──数字を「見る」から「使う」へ転換できるかどうかが、経営改善の成否を分けるポイントなのです。

資金繰り改善の本質は、利益体質への転換

多くの中小企業にとって切実なのが「資金繰り」です。毎月の支払いに追われ、銀行からの借入に頼る状況では、経営者は心理的にも追い詰められます。
しかし、資金繰りをいくら短期的に工夫しても、根本的に利益が出なければ状況は好転しません。資金繰り改善の本質は「利益体質への転換」にあります。

  • 利益率の低い商品を見直し、高付加価値の商品へシフトする
  • 固定費の中でも大きな割合を占める人件費や家賃を最適化する
  • 過度な借入に頼らず、自社の利益で成長投資を行える体質をつくる

こうした取り組みは、時間も労力もかかります。
しかし、資金繰り表だけをいくら精緻に作って金融機関から借り入れたとしても、根本的な利益構造が変わらなければ「焼け石に水」に終わってしまいます。

資金繰り改善のゴールは、単に「支払いに間に合うこと」ではなく、日々の事業活動から自然にキャッシュが積み上がる仕組みをつくることなのです。

事例:多額の広告費でも成果が出なかった語学スクール

ある語学スクールでは、集客のほとんどがWeb広告経由でした。競合環境が激化する中で広告費を増やし続けた結果、CPA(顧客獲得単価)は悪化の一途。
それでも「とにかく集客を止めるわけにはいかない」と、複数チャネルで広告を展開し続けていたのです。

問題は、各チャネルの費用対効果を測定する仕組みが整っていなかったことにありました。チャネルごとのCPAを正確に把握できず、「どの広告が効いていて、どの広告が効いていないのか」が不明確なまま、場当たり的に施策を追加していったのです。
その結果、多額の広告費が「垂れ流し」の状態になっていました。

そこで、まずは広告チャネルごとの費用対効果をデータベースで管理できるように整備しました。
CPAを定量的に測定する仕組みを導入することで、広告チャネルごとの成果がはっきりと見えるようになったのです。

結果として、効果の薄いチャネルへの投資は削減し、成果の出ているチャネルに集中投下できるようになりました。
広告費全体の配分が最適化され、同じ投資額でも獲得できる顧客数が増加しました。

この事例は、まさに「セグメント別の見える化」の重要性を示しています。
広告費という変動費の内訳を明らかにし、収益を圧迫している要因を特定することで、改善のための具体的な行動を導き出すことができました。

まとめ|「セグメント別の管理会計」が経営改善の第一歩

経営改善が進まない会社には共通する特徴があります。

  • 現場も経営者も一生懸命だが、方向性が整理されていない
  • 損益は見ていても、拠点別・商品別などのセグメント収支が見えていない
  • 粗利・変動費・固定費のどこが問題かを特定できていない
  • 資金繰りに追われるあまり、利益体質への転換が後回しになっている

こうした状況を抜け出す第一歩は、管理会計の視点でセグメントごとに損益を見える化することです。
そこから「どの要素が収益を圧迫しているのか」を具体的に把握し、行動につなげていきましょう。

経営改善は、一気に大きな改革をする必要はありません。小さな「セグメント別の見える化」から始めることで、会社全体の方向性は少しずつ変わっていきます。

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