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役員報酬は、会社経営において最も重要な意思決定のひとつです。人件費の中でも金額規模が大きく、税務上の取扱いも一般の従業員給与とは大きく異なります。
適正なルールに基づいて設定しなければ、税務調査で「損金不算入」と判断され、法人税の追徴課税につながるリスクがあります。
さらに、経営者自身の生活基盤や資金繰り、人材採用の観点からも、役員報酬の設計は企業の信頼性を左右する重要な要素となります。
本記事では、税理士としての実務経験を踏まえ、中小企業の管理部門や経営層が押さえておくべき「役員報酬の基本ルール」「よくあるNG事例」「税務署のチェックポイント」を整理し、適正な運用のための対応策を解説します。
代表者プロフィール
石黒 健太
石黒健太税理士事務所
代表
京都府を中心に、クラウド会計、経理DXを強みとし、効率的な税務・会計サポートを提供しています。
また職員が働きやすい環境を重視し、フレックスタイム制(コアタイムなし)をはじめとした柔軟な働き方を推進しています。
他にも税理士業界の課題である繁忙期の残業時間削減に取り組むなど「お客様と職員の共に成長できる事務所づくり」を理念に、業界の新たな可能性を追求しています。
HP:https://ishiguro-tax.jp/
役員報酬は、一般の従業員に支払われる「給与」とは区別されます。従業員給与は柔軟な変更や賞与制度の導入が可能ですが、役員報酬は税務上の厳格なルールが定められており、期中での変更や臨時の支給は原則認められていません。
背景には、経営者が恣意的に報酬を増減させて法人税額をコントロールすることを防ぐという目的があります。
法人税法では、役員報酬が損金(経費)として認められるためには、以下の3つの形態に限定されています。
1. 定期同額給与:毎月一定額を支給する給与
2. 事前確定届出給与:事前に届け出た金額を、決められた時期に支給する賞与
3. 業績連動給与(上場企業限定):金融商品取引法に基づき、株価や利益に連動して支給される報酬
これ以外の支給は原則損金不算入となります。
税務署は、役員報酬について次の点を重点的に確認します。
・定期同額給与が本当に「同額」で支給されているか
・届出が正しく行われ、実際の支給内容と一致しているか
・議事録や規程など、社内の意思決定文書と整合しているか
実際に税務調査の現場では、単に金額だけでなく「根拠の適正さ」「書類の整備状況」「社会保険等の他制度との整合性」まで細かく確認を受けることが一般的です。
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