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【総務・経理必見】財務分析とは?基本指標と活用法をわかりやすく解説

公開日2025/11/01 更新日2025/10/31 ブックマーク数
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【総務・経理必見】財務分析とは?基本指標と活用法をわかりやすく解説

企業の経営状況を正しく把握するために欠かせないのが「財務分析」です。

損益計算書や貸借対照表を眺めても、数字の意味やつながりがわからなければ、経営改善や報告資料に活かすことはできません。
とりわけ総務・経理・経営企画といった管理部門では、財務データを読み解き、経営層や現場にわかりやすく伝える力が求められています。

本記事では、財務分析の基本的な考え方から代表的な指標、実務での活用例、さらに効率化のためのツールまでを整理します。
初心者でも「まずはどこから手を付ければよいか」がわかるように解説しますので、最後までご覧ください。

[ 目次 ]

財務分析とは?基本の意味と目的

ここではまず、財務分析の基本的な定義や管理部門が学ぶ意義、さらに財務三表との関係性を整理していきましょう。

財務分析の定義

財務分析とは、企業の決算書(財務諸表)に記載された数値をもとに、経営状況や財務体質を評価する手法のことです。
単なる数字の羅列を「利益が出ているか」「資金繰りは健全か」といった視点で整理・比較することで、企業の現状を客観的に把握できます。

例えば、売上高だけを見ても成長性は判断できません。
利益率や資産効率とあわせて分析することで、はじめて「本当に健全な成長かどうか」を判断できるのです。

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管理部門が財務分析を理解するメリット

財務分析は経営層だけでなく、総務・経理・経営企画など管理部門の実務担当者にとっても重要なスキルです。

  • 経営会議や取締役会への報告資料に説得力が増す
    指標を用いて「なぜこの施策が必要か」を数字で裏づけできます。
  • 資金繰りやコスト管理に直結する
    財務分析を通じてキャッシュの流れや費用構造を理解でき、改善策を提案しやすくなります。
  • 経営への貢献度を高められる
    管理部門が単なる「事務処理」から一歩進んで、戦略的なパートナーとして位置づけられます。

このように、分析の基礎を押さえるだけでも日常業務の質は大きく変わるのです。

財務三表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書)との関係

財務分析は「財務三表」を材料に行います。
三表はそれぞれ役割が異なり、相互に補完し合う関係にあります。

  • 損益計算書(P/L):一定期間の収益と費用を示し、利益の状況を把握できます。
  • 貸借対照表(B/S):ある時点の資産・負債・純資産の構造を示し、企業の安全性を確認できます。
  • キャッシュフロー計算書(C/F):現金の流れを把握し、資金繰りの健全性を評価できます。

これらを組み合わせて初めて、企業の「収益性」「安全性」「効率性」「成長性」を多角的に捉えることが可能になります。

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財務分析の種類と代表的な指標

財務分析は目的に応じて複数の切り口があります。
たとえば「会社が安全に存続できるか」を見るのと「どれだけ効率よく利益を出しているか」を見るのでは、注目すべき指標が異なります。
ここでは代表的な4つの視点 ― 安全性・収益性・効率性・成長性 ― を中心に確認していきましょう。

安全性分析(流動比率・自己資本比率など)

管理部門が資金繰りをチェックする際、まず押さえておきたいのがこの安全性分析です。
安全性分析は、企業が短期・長期の支払いに耐えられるかどうかを評価するもので、倒産リスクや資金ショートの可能性を早期に把握できます。

主な指標

  • 流動比率(流動資産 ÷ 流動負債 ×100)
    1年以内に返済すべき負債を流動資産でどの程度まかなえるかを示す。
    目安は100%以上。
  • 自己資本比率(自己資本 ÷ 総資産 ×100)
    借入に頼らず自社資本でどれだけ経営を支えているかを示す。
    高いほど財務体質は健全である。

収益性分析(営業利益率・ROEなど)

経営会議や役員説明では、この収益性指標が「企業の稼ぐ力」を示す裏付けになります。
収益性分析は、企業がどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示すものです。

主な指標

  • 営業利益率(営業利益 ÷ 売上高 ×100)
    本業で稼ぐ力を示す指標で、業界ごとの標準値と比較するのがポイント。
  • ROE(自己資本利益率)(当期純利益 ÷ 自己資本 ×100)
    株主から預かった資本をどれだけ効率よく増やしているかを表わす。
    投資家の関心も高い指標。

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効率性分析(総資産回転率など)

管理部門では、売掛金の回収や在庫管理といった日常業務の効率化につながります。
効率性分析は、持っている資産をどれだけ有効に使えているかを測るものです。

主な指標

  • 総資産回転率(売上高 ÷ 総資産)
    総資産を使ってどれだけ売上を生んでいるかを示す。値が高いほど資産効率が良い。
  • 在庫回転率・売掛金回転率
    商品や債権の回転スピードを示す指標で、資金繰り改善のヒントになる。

成長性分析(売上高成長率など)

成長性は単独の指標ではなく、安全性や収益性とあわせてバランスよく分析するのが実務のコツです。
成長性分析は、企業が将来に向けてどの程度拡大しているかを測るものです。

主な指標

  • 売上高成長率(当期売上高 ÷ 前期売上高 − 1)
    企業の拡大スピードを示す。単年ではなく複数年の推移で見ることが大切。
  • 利益成長率
    売上だけでなく利益が伸びているかを確認することで、健全な成長かどうかを判断できる。

管理部門で財務分析を行う際は、これらの指標を単独で見るのではなく、複数の視点を組み合わせて総合的に判断することが重要です。

代表的な財務分析指標一覧

管理部門の担当者がすぐに使えるように、代表的な財務分析指標の一覧(指標名・計算式・意味・目安)をまとめました。実務の参考として、ぜひご活用ください。

安全性分析

流動比率

計算式:流動資産 ÷ 流動負債 ×100
意味:1年以内の支払能力を示す指標。
一般的な目安:100%以上(200%が望ましい)

当座比率

計算式:当座資産 ÷ 流動負債 ×100
意味:現金性の高い資産による支払能力を示す。
一般的な目安:80%以上

自己資本比率

計算式:自己資本 ÷ 総資産 ×100
意味:借入に頼らず、自社資本で経営を支える安定性を表す。
一般的な目安:30%以上(上場企業は40%以上)

収益性分析

営業利益率

計算式:営業利益 ÷ 売上高 ×100
意味:本業の収益力を示す。
一般的な目安:業界平均を基準に比較。

経常利益率

計算式:経常利益 ÷ 売上高 ×100
意味:本業+財務活動を含む収益力を表す。
一般的な目安:5〜10%以上が目安。

ROE(自己資本利益率)

計算式:当期純利益 ÷ 自己資本 ×100
意味:株主資本をどれだけ効率的に増やしているかを示す。
一般的な目安:8〜10%以上。

ROA(総資産利益率)

計算式:当期純利益 ÷ 総資産 ×100
意味:総資産全体の収益性を示す。
一般的な目安:5%以上。

効率性分析

総資産回転率

計算式:売上高 ÷ 総資産
意味:保有資産をどれだけ効率的に売上に変えているかを示す。
一般的な目安:1回以上。

売掛金回転率

計算式:売上高 ÷ 売掛金残高
意味:売掛金の回収スピードを示す。
一般的な目安:年6回以上(約2か月で回収)。

在庫回転率

計算式:売上高 ÷ 在庫残高
意味:在庫をどれだけ効率的に活用しているかを示す。
一般的な目安:業種によるが、高いほど良い。

成長性分析

売上高成長率

計算式:(当期売上高 − 前期売上高) ÷ 前期売上高 ×100
意味:売上の増加スピードを示す。
一般的な目安:プラス成長が望ましい。

利益成長率

計算式:(当期利益 − 前期利益) ÷ 前期利益 ×100
意味:利益の増加スピードを示す。
一般的な目安:プラス成長が望ましい。

財務分析の進め方と実務フロー

財務分析は、ただ指標を並べるだけでは意味がありません。
必要な資料をそろえ、主要指標を計算し、最後にその結果をどう業務や経営判断に活かすか──この一連の流れを押さえておくことで、初めて実務で効果を発揮します。
ここでは、管理部門の担当者が実際に取り組む際のステップを解説します。

① 必要資料の入手(決算書・会計ソフト)

財務分析の第一歩は「正しいデータを集めること」です。

  • 決算書(財務三表)
    法人税申告や監査用に作成される決算書が基本資料。社内の経理部門や顧問税理士から入手可能です。
  • 会計ソフトのデータ
    日々の仕訳データや月次試算表も有用です。特にクラウド会計ソフトなら、自動で集計された最新データを抽出できます。
  • 補助資料
    資金繰り表、予算実績対比表、部門別損益なども分析を深める材料になります。

※ポイントは「最新かつ正確なデータをそろえる」こと。古いデータや未確定値では誤った判断につながります。

② 主要指標の計算方法と読み取り方

資料がそろったら、次は主要指標の計算です。

1. Excelで自作する方法

指標ごとの計算式(例:流動比率=流動資産 ÷ 流動負債 ×100)を表にして、必要な数値を入力すれば自動計算できます。

2. 会計ソフトの自動分析機能を活用

近年の会計ソフトには、流動比率やROEなどを自動で計算する機能が搭載されているケースも多くあります。

3. 読み取りの基本ルール

  • 指標は単独ではなく、複数を組み合わせて評価する
  • 前期比較・業界平均比較を必ず行う
  • 急激な変動があれば背景要因を探る

たとえば「流動比率が低下した理由」を掘り下げれば、
売掛金の回収遅延や短期借入の増加といった具体的な課題に気づくことができます。

③ 分析結果を経営や業務改善に活かす方法

財務分析の目的は「数字を見ること」ではなく、「改善につなげること」です。

  • 資金繰り改善
    キャッシュフロー計算書を分析して、借入返済や運転資金に問題がないか確認します。必要に応じて資金調達や支払条件の見直しを提案します。
  • コスト削減
    損益計算書を分析し、販管費や人件費の比率が高すぎないかをチェック。具体的な削減策を検討します。
  • 経営計画への反映
    成長性分析の結果を踏まえ、売上目標や投資計画を策定。説得力のある経営計画書につなげます。
  • 社内共有
    Excelやレポート形式で整理し、経営層・現場部門にわかりやすく共有。数値を「見える化」することで改善行動を促進します。

※実務では「分析して終わり」ではなく、課題の仮説立て → 改善提案 → 実行 → 再分析 のサイクルを回すことが重要です。

総務・管理部門での財務分析活用例

財務分析は経理部門だけのものではありません。
総務や経営企画、人事総務などの管理部門にとっても、日常業務や経営サポートに直結する強力なツールとなります。
ここでは、代表的な活用シーンを3つ紹介します。

① 資金繰り改善のためのモニタリング

資金ショートは企業にとって致命的なリスクです。
財務分析を通じて定期的にモニタリングを行うことで、問題の早期発見と対策が可能になります。

  • キャッシュフロー計算書の確認:営業活動で生み出した資金がプラスかどうかをチェックする。
  • 流動比率・当座比率の推移:短期的な支払能力を確認し、資金繰りに余裕があるか判断する。
  • 売掛金回転率・在庫回転率の分析:資金が滞留していないかを把握する。

※ 実務では「月次での資金繰りモニタリング表」を作成し、経営層に報告するのが効果的です。

② コスト削減や業務効率化の提案

財務分析を行うことで、コスト構造や業務効率の課題が浮き彫りになります。

  • 販管費率の分析:売上に対して人件費や広告費の割合が高すぎないかを確認する。
  • 固定費・変動費の内訳把握:固定費が重い場合は、リース契約やオフィスコストの見直しを検討する。
  • 業務効率指標の活用:売上高人件費率などから、人的リソースの効率性を測定する。

※ 管理部門が「どの費用を削れば最も効果的か」を数値で示すと、経営層への説得力が格段に高まります。

③ 経営会議での数値資料作成

経営会議では「勘や経験」ではなく、「データに基づく説明」が求められます。
財務分析を活用した数値資料は、会議の意思決定を支える武器になります。

  • 主要指標の推移グラフ:流動比率やROEなどを時系列で示すと、トレンドが一目でわかる。
  • 業界平均との比較表:自社の位置づけを客観的に説明できる。
  • シナリオ分析:利益率や資金繰りが一定条件下でどう変動するかをシミュレーションできる。

※ 総務・経理担当者が「見やすく、経営判断に直結する資料」を準備できれば、経営層の信頼度も大きく高まります。

財務分析を効率化するツール・テンプレート

財務分析は指標の計算や資料作成に時間がかかりがちです。
特に管理部門では、限られたリソースの中で定期的な分析と報告を行う必要があります。
ここでは、実務を効率化する代表的なツールとテンプレート活用の方法を紹介します。

① Excelでの簡易分析表の作成方法

Excelは最も手軽に始められる分析ツールです。

基本的な流れ

  • 財務三表の数値を入力(売上高、総資産、流動負債など)
  • 指標ごとの計算式をセルに設定(例:=流動資産/流動負債*100)
  • 条件付き書式で基準値を超えた/下回った数値を色分け

メリット

  • 自社用に柔軟にカスタマイズできる
  • グラフ化しやすく、会議資料にも転用可能

※ 初心者は「流動比率」「ROE」など主要な5指標程度から始めるのがおすすめです。

② クラウド会計ソフトの財務分析機能

近年のクラウド会計ソフトには、財務分析機能が標準搭載されているケースが増えています。

主な機能例

  • 自動で主要指標を算出(流動比率・自己資本比率・ROEなど)
  • 月次推移グラフやダッシュボード表示
  • 業界平均との比較機能

メリット

  • 手入力の手間が省け、ヒューマンエラーを防げる
  • 常に最新データで分析できる
  • 経営層と同じ画面を共有しやすい

※ 「毎月の試算表チェックに追われている」という管理部門には特に有効です。

③ 社内共有に適したフォーマット例

財務分析の成果を活かすには、経営層や現場部門への「伝え方」も重要です。

おすすめフォーマット

  • 1ページのサマリーレポート:主要5指標+簡単なコメントを1枚にまとめる。
  • 月次モニタリング表:前期比・予算比を一覧化し、赤字部分は色分けする。
  • グラフ化資料:トレンドを示す折れ線グラフ、業界比較の棒グラフなどを活用する。

共有方法の工夫

  • PDF化して社内ポータルに掲載する
  • Teams/Slackで共有し、コメントや質問を受け付ける
  • 定例会議で口頭説明+配布資料を併用する

※ 「見やすく、理解しやすく、行動につながる資料」を意識することで、財務分析は経営改善に直結します。

財務分析に関するよくある質問(FAQ)

財務分析に初めて取り組む際には、多くの疑問や不安が出てきます。
ここでは、管理部門の実務担当者からよく寄せられる質問に答えていきます。

Q1. 財務分析に使う決算書はどこで入手できますか?

  • 自社の場合:経理部門が作成する決算書(財務三表)を入手します。月次決算や試算表など、最新の数字を確認できる資料も有効です。
  • 他社の場合:上場企業であれば、有価証券報告書や決算短信がEDINET(金融庁)、TDnet(東証)などで公開されています。非上場企業は、信用調査会社(帝国データバンク、東京商工リサーチ)からレポートを購入する方法もあります。

※ 自社分析では「社内の会計ソフトや顧問税理士から最新データを入手する」のが第一歩です。

Q2. 指標の目安となる「業界平均」などはどこで調べられますか?

  • 金融庁EDINETや東証の統計資料:上場企業の財務指標を業種別に比較できます。
  • 信用調査会社の統計データ:帝国データバンクや東京商工リサーチのレポートに業界別平均が掲載されています。
  • 商工会議所や金融機関:中小企業向けに業種別財務データを公開しているケースもあります。

※ 「業界平均」は基準のひとつですが、自社の過去推移との比較も同じくらい重要です。

Q3. 財務分析におすすめの本や資格はありますか?

入門書

  • 『財務三表一体理解法』(國貞克則 著)
  • 『会計の世界史』(田中靖浩 著)

資格

  • 日商簿記(基本的な会計知識を体系的に習得可能)
  • 中小企業診断士・証券アナリスト(より専門的に財務分析を学びたい方向け)

※ 初学者はまず簿記や財務三表の基礎本から入り、実務と並行して理解を深めるのが効率的です。

Q4. 赤字の会社でも、財務分析は意味がありますか?

はい、むしろ赤字企業こそ財務分析が重要です。

  • 赤字の原因を数値で把握できる:売上減少なのか、コスト増なのか、資金繰り悪化なのかを特定できます。
  • 改善ポイントを明確にできる:利益率低下なら販管費削減、資産効率低下なら回収サイト短縮など、具体策に結びつきます。
  • 資金調達や再建計画の根拠になる:金融機関や投資家への説明に不可欠な資料となります。

※ 赤字=分析不要ではなく、赤字だからこそ「どこを直すべきか」を示すために有効です。

まとめ

財務分析は、決算書に並ぶ数字を「経営に役立つ情報」に変えるための基本スキルです。
安全性・収益性・効率性・成長性といった指標を組み合わせて読み解くことで、資金繰りの改善やコスト削減、経営判断のサポートなど、管理部門の業務に直結した活用が可能になります。

また、Excelやクラウド会計ソフトを活用すれば、分析や資料作成の負担を大幅に軽減でき、経営層や現場へのわかりやすい共有にもつながります。
大切なのは「完璧な分析を一度で行うこと」ではなく、小さな一歩から継続することです。

まずは流動比率や営業利益率といった基本指標を確認することから始め、徐々に自社に合った分析手法を取り入れてみましょう。
今日からの業務に「財務分析」を取り入れ、管理部門として経営に一層貢献できる力を磨いてみてください。

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