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「どうすれば仕事でよい成果を出せるのか、もっと頭がよかったら…」と思うことはないでしょうか。
確かに知能指数(IQ)は仕事の成果に役立ちますが、より高い成果を出すためには「こころの知能指数(EQ)」の高さも重要なファクターなのです。
今回は、こころの知能指数とはなにか、仕事の成果につなげるにはどうしたらよいのかを紹介します。
IQが頭のよさの指標であるのに対し、こころの知能指数とは、自分と他者の感情(emotion)の動きを理解し、上手にコントロールする能力の指標です。「Emotional Intelligence Quotient」の頭文字をとって「EQ」とも呼ばれています。
1989年、米国イェール大学のサロベイ氏とニューハンプシャー大学のメイヤー氏による論文で、「こころの知能」という言葉が初めて用いられました。
1995年、心理学者のダニエル・ゴールマン氏による著書『Emotional Intelligence:Why it can matter more than IQ』がベストセラーとなり、日本でも広く知られるようになります。
以後、こころの知能指数の科学的研究が進み、子どもの健全な学校生活や、職場でのコミュニケーション力、リーダーシップ力などにも大きく影響すると考えられています。
こころの知能を高めることで自分の感情をコントロールできるようになり、対人関係に配慮できる能力が身に付くのです。
『EQ 2.0 「心の知能指数」を高める66のテクニック』を出版した、トラヴィス・ブラッドベリー氏とジーン・グリーブス氏の調査により、仕事で高い成果を上げている人の9割は、こころの知能指数が高いことがわかりました。
また、こころの知能指数は仕事の成果の58%に影響を与えることや、こころの知能指数のスコアが1ポイント上がるごとに、年収が1,300ドル上がることもわかったのです。
仕事でよい成果を出すにはIQだけでなく、コミュニケーション力やリーダーシップ力、チームワーク、時間管理、判断力なども必要ですが、これらの能力はこころの知能指数の高さに比例します。
こころの知能指数の高さは、仕事の成果のみならず社会的成功にもつながることは明確です。
IQは生まれ持った学習能力のため、強化するのは難しいとされていますが、こころの知能指数はトレーニングによって後天的に強化できます。
こころの知能指数を強化するには、「自分」と「他者」のこころや行動、傾向、動機などを知ることが必要です。
その上で、自分の感情や言動をコントロールし、良好な人間関係を築く力を身に付けていきます。以下に、具体的な強化方法を4つ紹介します。
あらゆる場面において、自分がどんな感情を持ちやすいのか、どんな言葉を発しているのかなどを客観視し、まずは「自己認識力」を高めます。
自分の感情や言動を客観的に把握することは、こころの知能を強化するための第一歩です。
例えば、仕事で忙しいときに部下から声を掛けられたとします。あなたの感情や言動はどのように変化するでしょうか。
「イライラする」「話したくない」「後にしてくれ!と叫んでしまった」など、自分に起きた変化を正しく認識し、どのような傾向を持っているのかを把握する力を養いましょう。
自分を管理するためには、上記の自己認識により感情の動きや言動の傾向を把握しておく必要があります。
その上で、状況に応じた柔軟な考え方や適切な言動を選ぶことが「自己管理力」の向上につながります。
例えば、キャパシティを超える仕事量を目の前にしたとき、あなたはどんな考え方や言動をとるでしょうか。
「やる気を失って気分が滅入る」「いい人に思われたくて頑張る」「協力者を探す」など、自分の傾向を認識し、適切な選択肢に結び付ける能力を高めましょう。
他者が今どんな感情を持っているのか、なぜそのような言動につながったのかなど、他者の気持ちや言動などを自分のものとして認識することで、「社会的認識力」が高まります。
例えば、育児休暇から復帰した同僚が、がむしゃらに働く様子を見たとします。
社会的認識力が高くなってくると、「自分の居場所を再構築しているんだな」「安心して働けるようにサポートしたいな」と、相手の立場に立った思いやりや気配りができるようになります。
上記に挙げた3つの力は、最終的に他者との良好な関係を生み出す「人間関係管理力」につながります。
例えば、チームでの仕事に携わっているとき、ひとりが非協力的な態度をとったとします。
自己認識力や自己管理力、社会的認識力が強化されていれば、自分の感情や考えを優先するのではなく、なぜ協力できないのか相手の感情を推し量り、適切な言動を選ぶことができます。
こうして、自分や他者の感情などに左右されずに最適な対応が可能となり、結果として仕事の成果を高めることができるのです。
こころの知能指数を高めるトレーニングを始めると、脳内で理性と感情をつかさどる神経細胞が次々と生まれるため、思考と行動とをつなぐ通路が太く強くなってきます。しかし、脳は一朝一夕には変化しません。
強化前の感情や言動のパターンをコントロールし、最適な対応を身に付けるには、反復トレーニングが必要です。
6年ほどトレーニングを積み重ねることで脳の通路が強化され、こころの知能指数に応じた変化が定着することが研究で明らかになっています。
こころの知能指数(EQ)は、自分と他者の感情の動きを認識し、その場に適切な行動に結び付ける能力の指標です。仕事の成果には、IQの高さよりもこころの知能指数の高さが大きく影響していることもわかっています。
自己認識力、自己管理力、社会的認識力、人間関係管理力の4つの能力を反復トレーニングで強化して、ご自身の仕事に活かしてはいかがでしょうか。
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