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日本企業の役員報酬は平均でいくら!?

公開日2019/08/01 更新日2019/08/02
日本企業の役員報酬は平均でいくら!?

「役員報酬」と聞くと、有価証券報告書に役員報酬を過少申告し、金融商品取引法違反で逮捕されたカルロス・ゴーン日産自動車前会長のことを思い出す人も多いでしょう。逮捕当時、カリスマ経営者の逮捕劇に日本中で衝撃が走る一方で、ゴーン氏に支払われていた役員報酬が5年間で計約99億9,800万円という巨額であったことも話題となりました。

では実際のところ、日本企業の役員報酬額は平均でいくらなのでしょうか。今回は日本における役員報酬の実情について解説します。

そもそも役員報酬とは?

役員報酬とは法人の取締役や監査役などの役員、つまり経営する側に支払われる報酬のことです。一方、法人に雇用されている従業員に支払われる報酬は「給与」に該当し、給与と役員報酬は税法上、明確に区別されています。

区別されている理由は、役員が自身に不当に高額な報酬を与えないようにするためです。例えば経営者が株式を過半数所有するオーナー企業だと、制度上、役員(経営者)は自分や他の役員の報酬を自由に決めることができます。しかしその場合、自分や他の親族の役員に対して、業務内容に見合わないほど高額な報酬を設定できてしまいます。いくら企業のオーナーとはいっても、そのように身勝手に報酬を決めることは問題があるといえるでしょう。

こうした役員報酬につきまとう不透明性を解消するために、会計上「役員報酬」の項目を人件費の中に別途設定し、支払われる報酬額の内容を利害関係者(ステークホルダー)がチェックできるようにしているのです。

役員報酬と給与はどこが違うのか

役員報酬と給与は、税務上の取り扱いにおいて大きく異なります。従業員に支払われる給与の場合、不当に高額でない限りは全額が「損金」(費用のうち、法人税を計算する場合に課税額を減らせるもの)の対象です。しかし同じ人件費でも役員報酬の場合、損金として処理するには所定の条件を満たす必要があります。

例えば、毎月同額の役員報酬額を支払っていない場合は、損金として認められません。報酬額を月ごとに変更しているならば、役員報酬は損金として認められず、それだけ企業の法人税額はアップします。このような条件が規定されている理由は、もしオーナー経営者が自分で報酬額をいつでも自由に変更できてしまうと、決算期に大きな利益が発生することが見込まれ、このままだと法人税額が高額になることが分かったとき、役員報酬を極端に高額にして課税額を減らすことができるからです。法人税を確実に徴収するために定められた条件といえるでしょう。

また、一般従業員における賞与・ボーナスのような役員報酬を支払う場合は、支払いの時期と金額を事前に申告する「事前確定届出給与」を税務署に届け出なければ、損金の対象とはなりません。企業の利益と連動して役員報酬額を決めることもできますが、その場合、有価証券報告書に記載される客観的な利益指標をもとに報酬額が算出されていること、利益確定後1カ月以内に支払われた、もしくは支払われる予定であること、が損金扱いとなる条件です。

役員報酬の決め方と変更方法

役員報酬の金額は、株主総会における決議が原則として必要です。ただ、株主総会で決まるのは役員報酬の総額だけで、個々の役員にどれだけ支払われるかは、代表取締役あるいは取締役会に一任されるのが通例となっています。

なお各役員の報酬額をいくらにするかは、制度上の規定により期首の3カ月以内に決定しなければなりません。先に述べた通り役員報酬は法人税額をコントロールするために使えるので、利益額が分かる決算期直前に役員報酬額を変更することを防ぐために設けられた規定です。なお期首から3カ月以内であれば、1回だけ役員報酬額を変更できます。もし期中に役員報酬を減額する必要性がどうしても生じたときは、「臨時改定事由」を届け出なければなりません。届け出をせずに勝手に役員報酬額を変更すると、損金として処理できなくなるので各企業は注意が必要です。

日本企業における役員報酬の平均額

では、日本企業における役員報酬がいくらぐらいなのか、具体的に金額をみていきましょう。デトロイトトーマツコンサルティングと三井住友信託銀行が共同で行った『役員報酬サーベイ(2018年度版)』によると、東証一部上場企業659社における報酬総額水準の中央値は、以下のように算出されています。

 ・社長・・・2017年度比2.2%増となる5,552万円。

 ・取締役・・・同4.3%増となる2,160万円。

 ・社外取締役・・・同5.0%増となる756万円。

なお、売上高1兆円以上の企業では、社長報酬の中央値は2017年度比5.0%増の9,855万円です。これらの数値をみると、カルロス・ゴーン氏に支払われていた役員報酬が、いかに破格の金額であったかが分かります。また、調査対象企業の45%が株式関連報酬を導入しており、導入済みの制度では「ストックオプション」が104社で最多となっています。

まとめ

現在、役員報酬に対しては、客観性、透明性のある手続きに基づく報酬制度の設計や報酬額の決定が強く求められるようになっています。先述の『役員報酬サーベイ(2018年度版)』では、調査対象企業の40%において報酬額等を決める報酬委員会が設置されているとの結果が報告されていました。役員報酬額に対する社会の目は、年々厳格なものになりつつあるといえるでしょう。

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