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棚卸評価損の仕訳とは?計算方法・仕訳例・評価方法をわかりやすく解説

公開日2026/02/10 更新日2026/02/09 ブックマーク数
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棚卸評価損の仕訳とは?計算方法・仕訳例・評価方法をわかりやすく解説

期末決算や月次決算の場面では、「在庫を原価のまま計上してよいのか」「評価損を計上すべきか」と判断に迷うことも少なくありません。
棚卸評価損は、在庫の価値低下をどう会計処理するかが問われる重要な論点で、判断や仕訳を誤ると利益や税務に影響するおそれがあります。

本記事では、棚卸評価損の考え方から計算方法、仕訳例、評価方法までを実務目線でわかりやすく解説します。

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[ 目次 ]

棚卸評価損とは?

棚卸評価損とは、期末に保有している棚卸資産(商品・製品・原材料など)について、取得原価よりも実際の価値が下がっていると合理的に判断される場合に、その差額を費用として計上する会計処理を指します。
在庫は本来、取得時の原価で管理されますが、保管期間の長期化や市場環境の変化によって、販売価格が原価を下回るケースがあります。

なお、棚卸評価損は「在庫が存在していること」を前提に、価値のみが低下した場合に用いられる点が特徴です。

棚卸評価損が発生する原因

棚卸評価損は、商品や製品そのものに重大な欠陥がなくても、経済的・市場的な要因によって価値が回復しないと判断される場合に発生します。
代表的な原因として、次のようなケースが挙げられます。

・季節性・流行性商品の売れ残り
季節限定商品やトレンドに左右される商品は、販売時期を逃すと需要が大きく落ち込み、原価での販売が困難になります。

・技術革新や代替製品の登場
新モデルや高性能な後継製品が市場に出ることで、既存商品の市場価値が下がるケースも少なくありません。

・市場価格の下落や需要減少
景気動向や消費者ニーズの変化により、販売価格そのものが継続的に低下する場合も、棚卸評価損の対象となります。

棚卸減耗損との違い

棚卸資産に関する費用処理には、棚卸評価損と似た勘定科目として「棚卸減耗損」がありますが、両者は性質が異なります。

棚卸評価損は、在庫が現存しているものの、価値が低下した場合に計上する費用です。
商品は引き続き販売可能であり、帳簿上の評価額のみを引き下げる処理となります。

一方、棚卸減耗損は、紛失・破損・盗難などにより、実際の棚卸数量が帳簿上の数量より減少している場合に用いられます。
この場合、商品そのものが存在しない、または販売不能な状態である点が決定的な違いです。

つまり、
・価値の低下を反映するのが棚卸評価損
・数量の減少を反映するのが棚卸減耗損

と整理すると、実務上の判断がしやすくなります。

棚卸評価損の計算方法

棚卸評価損は、期末時点で保有している棚卸資産について、帳簿上の評価額と実際に見込まれる処分価値との差を数量ベースで算定します。
あらかじめ選択している棚卸資産の評価方法(総平均法による原価法など)に基づいて単価を確定させたうえで、評価損の金額を計算するのが基本です。

計算の考え方は、次のとおりです。

棚卸評価損=(帳簿上の単価-正味売却価額)×実地棚卸数量

正味売却価額(いわゆる時価)とは、将来販売できると見込まれる価格から、販売や処分に要する費用を控除した金額を指します。
単価ベースで差額を算出し、それを実際に確認した在庫数量に乗じることで、期末に計上すべき棚卸評価損を求めます。

たとえば、帳簿上の単価が120円の商品について、販売見込み価格が90円まで下がっており、期末棚卸数量が50個だった場合、1個あたりの価値下落額は30円となります。
この30円に在庫数量を掛け合わせることで、棚卸評価損は1,500円(30円×50個)と算定されます。

このように、棚卸評価損の計算では「単価の差」と「実地棚卸数量」の両方を正確に把握することが重要です。

棚卸評価損の仕訳方法

棚卸評価損は、期末時点で在庫の価値が帳簿上の原価を下回っていると判断される場合に、決算整理仕訳として計上します。
実務では、在庫の評価替えを行うことで資産額を引き下げ、その差額を費用として処理するのが基本的な流れです。

棚卸評価損を計上する仕訳

棚卸評価損を計上する際は、価値が下がった分を費用として認識し、同時に棚卸資産の帳簿価額を減額します。
一般的な仕訳の考え方は次のとおりです。

借方 貸方
棚卸評価損(または商品評価損) ××× 棚卸資産(商品・製品など) ×××

この仕訳により、損益計算書では棚卸評価損が費用として計上され、貸借対照表では棚卸資産の金額が実態に近い水準へ修正されます。

なお、棚卸評価損は売上原価の一部として扱われるため、会計処理の方法によっては、決算整理の過程で売上原価に含めて処理されるケースもあります。
いずれの場合も、評価損が利益に直接影響する点を理解しておくことが重要です。

評価替え時の勘定科目の考え方

評価替えに使用する勘定科目は、在庫の「何が起きているか」によって使い分ける必要があります。
棚卸評価損が用いられるのは、あくまで在庫は存在しているものの、経済的価値が下がっている場合です。

一方で、紛失・破損・盗難などにより数量そのものが減少している場合は、棚卸評価損ではなく棚卸減耗損を使用します。
原則として売上原価に含まれますが、価値の低下と数量の減少を混同すると、会計処理の誤りや管理上も実態認識の誤りにつながるため注意が必要です。

なお、税務の観点からは、原価よりも時価が下がっている場合であっても、すべてが評価損が損金の対象になるわけではありません。

自社の過剰な仕入れや生産による滞留在庫、一般的な物価変動や一時的な相場変動などは、原則として棚卸評価損の計上対象とはならず、税務上は慎重な判断が求められます。
税務上の評価替えを行う際は、著しい価値低下が客観的に認められるかどうかを基準に、合理的な判断を行うことが求められます。

棚卸評価損の仕訳例

棚卸評価損は、期末に在庫の価値低下が確認されたタイミングで、決算整理仕訳として計上します。
ここでは、「期末に評価損を計上するケース」と「翌期に評価替え後の在庫を扱うケース」に分けて、実務でよくある仕訳例を紹介します。

期末に評価損を計上する場合

たとえば、期末時点で保有している商品について、帳簿上の単価が120円、正味売却価額が90円まで下がっており、実地棚卸数量が50個だったとします。
この場合、1個あたり30円の価値低下が生じているため、棚卸評価損は1,500円(120円−90円)×50個となります。

この評価損を期末に計上する際の基本的な仕訳は、次のとおりです。

借方 貸方
棚卸評価損 1,500円 商品 1,500円

この仕訳により、損益計算書では棚卸評価損が費用として反映され、貸借対照表では商品(棚卸資産)の帳簿価額が引き下げられます。
期末時点で在庫の実態を正しく示すための、代表的な決算整理仕訳といえます。

翌期に評価替えを行う場合

前期に棚卸評価損を計上した在庫は、翌期首にはすでに評価後の金額で繰り越されています。
そのため、翌期に入ってから自動的に仕訳をやり直す必要はありません。

たとえば、前期末に評価損を計上した商品が翌期に販売された場合は、通常どおり売上原価として処理します。
評価損を計上したからといって、販売時に特別な仕訳を行うわけではなく、あくまで「評価後の帳簿価額」を基準に原価計上する点がポイントです。

また、翌期に市場環境が改善し、販売価格が回復したとしても、原則として帳簿価額を引き上げる処理(評価益の計上)は行いません。
このように、棚卸評価損は「期末で完結する評価替え」として扱い、翌期は評価後の金額を前提に通常の在庫管理・原価計算を行うのが実務上の基本となります。

棚卸評価損の主な評価方法

棚卸評価損を計上するには、その前提として「棚卸資産をどの金額で評価するか」を決める必要があります。

棚卸資産の評価方法には大きく分けて原価法といわゆる低価法があり、原価法については複数の算定方法、個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、売価還元法が認められています。

個別法

個別法は、棚卸資産を一つひとつ識別し、それぞれの取得原価で評価する方法です。 在庫ごとの原価が明確に把握できるため、評価の精度が高い点が特徴です。

主に、美術品や不動産、特注品など、数量が少なく単価が高い資産の管理に適しています。
一方で、商品点数が多い小売業や卸売業では、管理負担が大きくなるため実務向きとはいえません。

先入先出法

先入先出法は、「先に仕入れた在庫から先に販売される」と仮定して原価を算定する方法です。
実際の在庫の流れと近いケースも多く、価格変動がある場合でも比較的実態を反映しやすい点が特徴です。

ただし、仕入価格が上昇傾向にある場合には、古い原価が優先的に売上原価となるため、期末在庫の評価額が高くなりやすい点には注意が必要です。

総平均法

総平均法は、一定期間に仕入れた棚卸資産の取得原価を合計し、数量で割った平均単価を用いて評価する方法です。
期首在庫と期中仕入をまとめて計算するため、計算方法は比較的シンプルです。

一方で、平均単価は期末にならないと確定しないため、期中の原価管理や迅速な損益把握には向きにくいという側面もあります。

移動平均法

移動平均法は、仕入れの都度、在庫全体の平均単価を更新していく評価方法です。
その時点での在庫単価を常に把握できるため、期中の原価管理や在庫管理を重視する企業に向いています。

ただし、仕入れのたびに計算が必要となるため、取引量が多い場合には事務負担が増えやすい点がデメリットです。

最終仕入原価法

最終仕入原価法は、期末に最も近い仕入価格をもとに棚卸資産を評価する方法です。
計算が簡便で、実務上の負担が少ない点が特徴とされています。

一方で、仕入価格の変動が大きい場合には、期末在庫の評価額が取得原価とかけ離れる可能性があるため、価格変動の激しい商品を扱う場合は注意が必要です。
在庫金額が少ない場合や価格変動がほとんどない場合、回転期間が短いといった状況において例外的に採用することができる評価方法と考えておいた方がいいでしょう。

売価還元法

売価還元法は、棚卸資産の販売価額を基準に、一定の原価率を用いて原価を算定する方法です。
商品点数が多く、個々の原価管理が難しい業種で広く用いられています。

商品を一定のグループに分類し、販売価額の合計に原価率を掛けて評価額を算出するため、在庫管理の効率化を図りやすい点が特徴です。

低価法

低価法は、原価法で算定した取得原価と、期末時点の時価(正味売却価額)を比較し、いずれか低い金額を評価額とする方法です。
正味売却価額が原価を下回っている場合には、その差額が棚卸評価損として計上されます。

季節商品や流行性の高い商品を扱う企業では、在庫の価値下落を適切に反映できる方法として用いられることが多く、結果として、利益水準に影響を及ぼすケースもあります。

正味売却価額の下落要因には、市場価格の低下だけでなく、品質低下、陳腐化などがあります。
そのため、会計方針には、これらをあわせ、総平均法といった原価の算出方法とともに「原価法は収益性の低下による簿価切下げの方法」として記載されることが一般的です。

まとめ

棚卸評価損は、期末における在庫の実態を財務諸表に正しく反映させるための重要な会計処理です。単に在庫の価格が下がったからといって自動的に計上できるものではなく、評価方法の選択、正味売却価額の算定、実地棚卸による数量確認など、複数の判断が求められます。

また、翌期に評価損を戻さない切り放し方式が原則であることを理解しておく必要があります。
棚卸評価損は、通常の営業活動の中で発生する費用であるため売上原価で処理されます。

そのため売上総利益にも影響することから、経理・管理部門としては期末対応にとどまらず、在庫管理や仕入計画の見直しとあわせて、発生そのものを抑える視点を持つことが重要といえるでしょう。

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