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事業を展開するうえで欠かせないのが社用車の利用ですが、従業員が社用車で事故を起こす可能性がゼロとは言えません。社用車で事故を起こしたと報告された場合、会社側はどのような措置を取るべきなのでしょうか。また、事業者はどのような責任に問われるのでしょうか。会社が行使できる求償権も含めて解説します。
目次【本記事の内容】
まず会社側が取るべき措置は、事故を起こした従業員に対し現場の状況を確認することです。そして、従業員がパニックに陥っているようであれば、現場でどのように対応するべきかを会社が指示しなくてはいけません。具体的にどのような指示を出せばよいのでしょうか。
従業員が事故で負傷し、上記のような対応を取れないケースも考えられます。その場合は、管理者が現場へ行き、従業員の代わりに現場の状況を確認するといった対応を取る必要があります。
会社が契約している保険会社に、事故を起こした従業員や代わりの管理者から聴取した事故状況について連絡しましょう。人身事故だった場合は、事故発生日から60日以内に連絡しなければ保険金が払われないケースがあります。事故が発生したと分かったら早急に連絡しましょう。保険会社に伝えるべき事項は以下の通りです。
保険会社への連絡後に行うべき事項は、次の通りです。
次に、交通事故証明書を申請しましょう。
交通事故証明書は、事故が発生したことを公的機関に証明できる書面であり、保険会社へ提出するなど、交通事故の事後処理の場面で必要になります。
人身事故のケースでは、発生日から5年経過してしまうと、交通事故証明書は発行されません。被害者が死亡している、重傷を負っているなどのケースでは、特に必要となる場面が多くなります。交通事故証明書は、警察に届け出をしていないと発行されません。交通事故発生後は、早急に警察に届け出ておく必要があります。
被害者から賠償金を請求された場合、従業員は損害を負わせた責任を取るべく賠償金を支払う必要があります。その一方で、会社側も責任を負うケースがあります。
従業員が社用車を運転し、起こした交通事故で、会社側が損害賠償責任を負う根拠は、民法715条の使用者責任と自動車損害賠償保障法3条の運行供用者責任にあります。
使用者責任とは、「従業員の不法行為に対して会社側が責任を取らなくてはいけない場合がある」というものです。使用者責任の考え方が発生するのは、従業員が職務に従事していると客観的に見て判断される場合であり、その考えに沿った判例も多くあります。
運行供用者責任とは、「自動車を自己のために運行の用に供する者(運行供用者)が負う責任」に当たります。従業員が社用車で事故を起こしたケースもまた、会社側は「運行供用者」に該当します。運行供用者責任を負うことになるのです。運行供用者責任は事故の対象が人であることに限定されている点も特徴的です。すなわち物損事故であれば、使用者責任のみが問われることとなります。
一般的には、会社が契約している自動車保険を適用します。社用車で事故を起こした際に備えて、自動車保険に加入しているケースが多く、ほとんどの場合はこれで修理代を賄えるでしょう。
しかし、従業員の過失の度合いから、妥当だと思われる範囲内で負担させることもあります。飲酒運転や信号無視など不法行為があると判明した際には、従業員にも負担させられます。
会社側に使用者責任や運行供用者責任があると判断された場合では、会社が被害者に対し一括で損害賠償金を支払うのが一般的です。この場合、会社が契約している自動車保険で支払うのが多くのケースですが、会社次第では保険を適用させずに支払う場合もあります。保険を適用したことで保険料が増額されることを懸念するためです。
ただし、すべて会社側が負担して事案が終了するというわけではありません。会社側が従業員に損害賠償金を請求できる権利が「求償権」と呼ばれており、民法715条3項に規定されています。求償権では、従業員に請求できる金額が制限されていません。被害者に支払った損害賠償金を、会社が従業員に対して全額請求することも可能です。
しかし、判例を振り返ってみると求償権を行使して認められているのは、被害者に支払った額の20~30%が多いようです。一方、従業員が飲酒運転をしていたり、信号無視をしていたりしているなど過失がある場合や、会社に無断で示談交渉を進めるなど、会社にとって不利益な行為を行っている場合には、より高い割合での求償が認められる可能性があります。
1.解雇措置が客観的に見て合理的か
2.解雇の理由が妥当だと言えるほど重大か
従業員の解雇を検討する際には、この2点について深く考えなくてはいけません。社用車で交通事故を起こした経緯について考慮する必要があります。前方不注意、相手の飛び出しなどのケースでは、社会的に見て解雇が妥当だとは言えないでしょう。
しかし、従業員が飲酒していたなどの場合では、解雇措置が合理的だとの判断が下されることが多く、懲戒解雇が認められるケースもあります。
従業員が社用車を使った背景や、業務との関連性、日常的に社用車を使用していたかなどから判断されます。事業に関する使用と判断されれば事業者の責任を問われるケースがあります。
社有車の管理不足であったと認められた場合は、会社側の責任問題になることがあります。
交通事故を起こした従業員の過失次第では、より大きい割合で求償権を行使できる可能性があること、社用車の管理次第では盗難された場合であっても責任を問われる可能性があることについて解説してきました。交通事故による事件に備えて、会社側では社用車で事故を起こした際の対応マニュアルを作成し、社用車の管理体制を見直しておくと良いでしょう。
※本記事の内容について参考にする際は、念のため関連省庁や専門家にご確認ください
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