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経営者が知っておきたい資金調達の19選。メリット・デメリットも解説

公開日2019/09/19 更新日2019/09/20

設備投資、運転資金、新製品開発などの資金調達手法として、経営者が真っ先に頭に浮かぶのが銀行借入。しかし、実際には様々な資金調達手法があり、そのメリット・デメリットも千差万別です。自社の資金調達ニーズに適した資金調達手法を選ぶためにも、経営者なら様々な資金調達手法を知っておく必要があるでしょう。

資金調達の種類

資金調達の手法はアセット・ファイナンス、デット・ファイナンス、エクイティ・ファイナンスの3種類に大別されます。それぞれの特徴とメリット・デメリットは次の通りです。

<アセット・ファイナンス>

アセット・ファイナンスとは自社保有の有形・無形の資産(asset)を売却し、その代金を資金調達に充てる手法です。不動産、動産、知的財産権、売掛債権などすべての資産が資金調達に利用できるのが特徴です。

●メリット

企業の信用力はそれほど重視されず、資金調達対象となる資産の価値が重視されるので、企業の信用力が低下している場合も低コストで資金調達がしやすい手法といえます。また資産の売却は保有資産のオフバランス化(貸借対照表からの切り離しによる資産規模縮小)になるので、資産保有のリスク軽減や収益性向上も期待できます。

●デメリット

工場、店舗など事業継続に不可欠な収益資産以外の流動性資産(保養所、研修施設、社宅、特許など)がなければ、この手法は使えません。

<デット・ファイナンス>

デット・ファイナンスは「借入金融」とも呼ばれ、銀行借入や社債発行などの負債(debt)により、資金調達をする手法です。他の資金調達法に比べると、調達先が多彩なので資金調達がしやすのが特徴です。

●メリット

返済を滞らせなければ、経営に介入されるリスクもありません。銀行借入の場合、期限内に完済すれば取引実績作りになり、次の銀行借入がしやすくなる可能性が高まります。また、利息支払は損金に計上できるので、節税効果もあります。

●デメリット

月々の返済額と利息支払の分だけ、キャッシュフローが減少します。借入金は負債になるのでその分自己資本比率が下がり、財務基盤脆弱化や経営不安定化の要因となるリスクがあります。

<エクイティ・ファイナンス>

エクイティ・ファイナンスとは新株発行などにより資金調達をする手法です。返済期限がないので、自己資本(Equity)を増強する方法としてもよく利用されます。一般に生産設備拡張、事業拠点拡大、M&Aなどの資金需要が旺盛な、成長期にある企業が利用するとリスクが低いといわれています。

●メリット

調達資金は実質的に返済義務がなく、また自己資本の増強になるので財務基盤が安定する可能性があります。

●デメリット

株主が増えるので、経営者の経営裁量権が制約される可能性があり、最悪の場合は経営権そのものを奪われるリスクがあります。また資金調達の対象になった株主に対しては、収益に応じた配当金の支払義務が発生し、当期純利益が低下するリスクもあります。

アセット・ファイナンスの具体的手法

資産売却により資金調達をするアセット・ファイナンスの具体的な手法は、主に次の6種類です。

(1)不要不急資産の売却

アセット・ファイナンスの一般的な手法が、事業継続に不可欠な収益資産以外の、不要不急な流動性資産を売却する方法です。

よく対象にされるのが保養所、研修施設、寮・社宅、遊休地などの不動産と、有価証券、ゴルフ会員権、リゾート施設会員権などの動産です。

(2)在庫の売却

在庫は「将来のキャッシュを生む」機能を持っているので、貸借対照表においては資産に計上されます。しかし過剰在庫、商品価値が低下した在庫など「売れない在庫」はキャッシュフローを生む機能を喪失しているので、損益計算書では在庫評価損として損失計上され、減益要因になります。したがってこの手法においては、「売れない在庫」を資金調達の対象にするのが通例です。

(3)ファクタリング(売掛金の売却)

売掛金をファクタリング会社へ売却する手法です。この手法は売却手数料がかかりますが、売掛金を支払いサイトの期日前に現金化でき、万が一売掛先が倒産した場合の売掛金回収リスクを回避できるメリットもあります。ただし、信用力の低い取引先の売掛金は、売却手数料が高額になるので要注意です。

(4)売掛債権回収

未回収の売掛債権(売掛金と受取手形)を回収する手法です。売掛債権の回収期間は業種ごとに異なりますが、30―70日が通例とされています。売掛債権のうち売掛金には時効が認められています。したがって、取引先との力関係などで売掛金の回収を遅らせていると時効が成立し、売掛金回収の権利が消滅するので要注意です。

(5)無形資産の売却

輸入品等の独占販売権、営業圏、特許・商標などの無形資産(貸借対照表に記載できない企業財産)を売却する手法です。この手法を利用すると、自社競争力の低下要因になるリスクがあります。

(6)セール&リースバック

不動産、製造設備、事務機器、営業車両などの資産をリース会社へいったん売却し、その資産をリース契約で利用する資金調達手法です。資産をリース契約に転換することでリース料支払いが発生しますが、売却代金という形で資産を現金化できるので、資金調達手法の1つになっています。

デット・ファイナンスの具体的手法

負債により資金調達をするデット・ファイナンスの具体的な手法は、主に次の6種類です。

(1)銀行融資

古くからある資金調達手法といえます。銀行融資にはプロパー融資と保証付き融資の2種類があります。プロパー融資は銀行自らが貸倒れリスクを負った融資です。したがって、社歴の浅い企業や信用力の低い企業は審査が厳しく、また審査をパスしても高金利を設定されるのが通例とされています。

一方、保証付き融資は、信用協会の債務保証に基づく銀行融資で、対象は中小企業に限定されています。銀行側には貸倒れリスクがないので、所定の審査基準を満たせば融資OKになるのが通例です。

(2)公的融資

政府系金融機関(日本政策金融公庫と商工組合中央金庫)、地方公共団体の制度融資、信用保証協会の保証付き融資の総称です。大半が中小企業を対象にした融資で、銀行融資より低金利なのが特徴です。反面、審査項目や提出資料が多いので借入手続きが煩瑣で、審査に時間がかかるなどのデメリットがあります。

(3)手形割引

取引先から受け取った支払手形の金額を割引して金融機関へ売却する手形割引も、古くからある資金調達手法の1つです。

売掛債権の売却で資金調達をする点ではファクタリングと似ています。違うところは、ファクタリングの場合は売掛金の売却後、その債権に対する義務が消滅するのに対し、手形割引の場合は銀行に売却した手形が不渡りになると、その手形を買い戻す義務があることです。買い戻し義務があることから、手形割引は銀行融資の一種とされています。

(4)不動産担保ローン

自社保有の不動産を担保に、銀行やノンバンクから融資を受ける資金調達手法です。借入限度額は不動産評価額の70%が相場といわれています。

(5)ABL

一般に在庫や売掛債権を担保に銀行から融資を受ける資金調達手法です。売却するまで現金化できない在庫や、支払期日が来るまで現金化できない売掛債権を担保にできる資金調達手法として近年注目されています。

(6)ビジネスローン

主にノンバンクが提供している法人向けの無担保融資を利用した資金調達手法です。金利は6%以上が相場、と高金利ですが、ノンバンクの場合は即日融資可能のケースが多いので、資金需要が逼迫しているなどの急場凌ぎの資金調達手法として利用する中小・零細企業が少なくないといわれています。

エクイティ・ファイナンスの具体的手法

増資により資金調達をするエクイティ・ファイナンスの具体的な手法は、主に次の7種類です。

(1)公募(時価発行増資)

新株発行による増資の一般的な手法です。通常の株式発行と異なり、時価で新株を発行し、不特定の投資家から投資を募るところから「公募」と呼ばれています。公募の場合、株式の額面ではなく時価で新株を発行できるので、自社の既存株価が高い場合、少ない発行株数で多額の資金を調達できるメリットがあります。

(2)株主割当増資

新株発行による増資の一種である株主割当増資は、既存株主にその保有株数に応じて割り当てた新株を購入してもらう仕組みの増資です。といっても、既存株主には割り当てられた新株の購入義務も、割り当てられた新株をすべて購入する義務もありません。

ただ、株主割当による新株の購入金額は、時価より低い金額で発行されるのが通例です。このため既存株主にとってはメリットがあるので「全株完売」の可能性が高く、資金調達をしやすい増資手法といわれています。

(3)第三者割当増資

既存株主も含む特定の第三者に新株を引き受ける権利を与える増資手法です。この手法は、取引先や業務提携先などとの関係を強化する時や、自社の株価が低くて通常の増資ができない時の資金調達手法としてよく使われます。

(4)転換社債型新株予約権付社債

一定の価格で発行する企業の株式に転換できる権利が付いた社債(転換社債)の発行により資金調達を行う手法です。この社債は株式に転換できる特典付きなので、普通社債と比べると利回りが低いことが投資家にはデメリットです。

反面、株式への転換は、株式へ転換する際の価格(転換価格)が初めから決められているので、株価が転換価格以上に値上がりした時は、差益を得られる可能性があります。また、株式に転換しなければ普通社債と同じように毎年一定の利払いがあり、満期時には額面金額が償還されます。

(5)ベンチャーキャピタルからの資金調達

ベンチャー企業のみが利用できる資金調達手法です。ベンチャーキャピタルは将来有望なベンチャー企業を発掘して出資し、そのベンチャー企業が上場することにより収益を得るベンチャー投資専門会社なので、投資審査は厳しいのが通例です。このため、社歴の浅く実績が乏しいベンチャー企業は、資金調達のハードルが高いといわれています。

(6)クラウドファンディング

企業自らがファンドを組成し、主に個人投資家を対象にインターネット上で出資を募る資金調達手法です。中小・零細企業が新規事業を開発する際の資金調達手法としてよく利用されます。

(7)IPO(新規公開株)による資金調達

株式の未公開・未上場企業が、株式の公開・上場により証券市場から資金調達をする手法です。この手法は資金調達以外に自社の知名度が上がる、自社商品に対する信頼性が上がり売上が増加するなど、株式公開・上場による副次的効果も高いといわれています。反面、株式公開・上場審査費用、会計監査法人の監査費用、主幹事証券会社への手数料、有価証券報告書作成を始めとする株式公開・上場のための諸コストがかかり、その総額は「最低でも5000万円」といわれています。したがってこの手法は、一定の売上規模がある企業しか利用できないのが実情のようです。

まとめ

金融工学の発達で企業の資金調達手段が多様化した今日、ともすればそのメリット・デメリットに目が奪われ、経営者はその選択に迷いがちです。しかし、選択のポイントは自社の経営状況、事業計画、資金が必要なタイミングのわずか3点です。このポイントさえ外さなければ、迷いなくリスクの低い資金調達ができるでしょう。

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