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毎年11月が下請取引適正化推進月間というのはご存知ですか?
中小企業庁及び公正取引委員会は下請取引の適正化を推進するため、下請代金支払遅延等防止法の違反防止と下請中小企業振興法の的確な運用を目的として、定期的に普及・啓発事業を行っているのです。
人手不足やコスト低減が重要な経営課題となっている昨今、日々の事業活動の中で下請企業への発注は増加する傾向にあるのではないでしょうか。下請取引適正化推進月間を機に、下請企業との取引に関わるトラブル防止に目を向けてみてはいかがですか?
最初に下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)、下請中小企業振興法(以下、下請振興法)とは何かを確認しておきましょう。
下請法は、下請取引の公正化と下請事業者の利益保護のために制定されました。本法は親事業者の優越的地位の濫用を規制することを目的として、下請事業者の責に帰すべき理由がない場合の、以下のような行為を禁止しています。
・受領拒否(発注の取消しや納期の延期等)
・下請代金の支払遅延(支払期日経過後の不払い)
・不当返品(下請事業者の給付を受領した後、不当に下請事業者にその給付に係る物を引き取らせる)
・下請代金の減額(振込手数料や消費税相当額の減額も含まれます)
・購入強制・役務の利用強制(正当な理由なく指定する物品等を購入させる、役務を強制して利用させる)
他にも買いたたきや報復措置などが禁止事項として定められており、違反行為があった場合には公正取引委員会から親事業者に、是正措置の勧告や罰金の支払い命令などが行われます。
下請振興法は、主に中小企業の体質改善や独立性のある企業への育成を目的としています。下請法は指導・規制を中心とした法律ですが、下請振興法は下請中小企業の支援法としての性格を持つ法律です。
本記事では、事業活動においてリスクになる可能性の高い下請法を中心に話を進めます。
下請法は1956年に制定され、主に罰金刑(50万円以下)と是正勧告が行われてきましたが、2004年からは違反に対する措置が強化されて悪質な場合には企業名が公表されるようになりました。過去には以下のような事例があります。
・通信販売業者が下請業者への支払代金を不当に減額、売れ残り返品の送料も負担させた
・スポーツ用品販売業者が、製造委託先にプライベートブランド商品の売れ残りを不当に返品、代金を減額
・100円ショップ運営会社が、売れ残り品を下請業者に不当に返品、二度にわたり勧告を受けた
・生活協同組合が、下請業者への支払代金を不当に遅延及び減額させた。違反の総額は数百社に対して、30億円を超える史上最高額となった。
他にも、コンビニエンスストアチェーンが売れ残りの弁当の代金を下請業者に負担させる、弁当販売業者が割り箸やフォークの代金を負担させるなどして、是正の勧告を受け社名を公表されています。
罰金や是正措置の改善もコストに関わりますが、社名公表による企業ブランドの毀損は取り返しのつかない大きな損失となります。
公正取引委員会から是正勧告を受けた親事業者のほとんどは、下請法に違反した原因について「下請法への理解不足」を挙げています。これを受け中小企業庁及び公正取引委員会は、下請取引適正化推進月間を設け下請法及び下請振興法の普及・啓発に係る取組を集中的に行っているのです。
令和元年度の下請取引適正化推進月間は、「無茶な依頼 しないさせない 受け入れない」をキャンペーン標語として、様々な取組が行われます。まず新聞、雑誌、インターネットを通じた広報の他、都道府県や下請企業振興協会、商工会議所等での広報、公共施設でのポスター掲示などで、推進月間中であることが周知されます。また推進月間中には、47都道府県(計62会場)において「下請取引適正化推進講習会」が開催され、下請法及び下請振興法の趣旨や内容を学ぶことができます。この講習会への参加は無料ですが、1事業者あたりの人数に規制のある場合があり、また講習時間も3時間程度です。
公正取引委員会では上記の講習会以外に、年間を通じて下請法に特化した講習会も開催しています。これは、下請法の基礎知識を習得することを目的とした「基礎講習会」と、想定した事例を基に問題の有無を検討していく「応用講習会」に分かれ、下請取引適正化推進月間以外の時期に開催されています。
下請取引適正化推進月間には、親事業者及び下請事業者を対象とした講習会が開催されていますが、公正取引委員会では親事業者の法務部門や発注・購買部門の担当者を対象とした講習会も不定期に開催しています。「業種別講習会(大規模小売業者向け)」や「物流特殊指定等に係る講習会」等がそれに当たりますが、下請法の遵守には資本金や業務内容の定義など、適切な法務知識の習得と制度運用が必要になります。
悪意はなくとも、知らずに下請法に違反してしまうことも多くはないようですので、自社が下請法の適用に該当する企業かどうかなど、法律の詳細も含めこの機会に確認してみてはいかがでしょうか。
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