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企業におけるゴーイング・コンサーン(going concern、企業が未来に向けて継続するという前提のこと)を考える場合、不可欠なのが将来的に企業組織を担う人材となる「幹部候補生」の確保です。企業が人によって運営される以上、将来にわたってその企業が存続し成長できるかどうかは、優秀な幹部候補生を採用できるかどうかにかかっている、ともいえるでしょう。そこで今回は、そもそも幹部候補生とはどのような社員なのか、どのようにして採用すればよいのか、について詳しく解説します。
幹部候補生とは、将来的に組織の管理職もしくは社長や役員などの重要なポストに就くことを期待されている人材のことです。どこまでの役職を「幹部」とみなすかは企業によって変わり、経営トップ層だけのことを指す場合もあれば、部長の候補者などが含まれることもあります。
なお、公務員・自衛隊でも幹部候補生という言葉が使われ、その場合、行政機関・自衛隊内において将来的に管理職になることが期待される人材、という意味を持つのが一般的です。ここではあくまで企業における幹部候補生という意味合いで用います。
一般企業で幹部候補となる場合、新卒時の同期もしくは近い年代の間で熾烈な出世競争が行われることも多いですが、近年では、最初から優秀な人材・学生を「幹部候補生」として採用するケースもあります。その場合、幹部候補生として採用された人は、将来の企業経営を担う人材として、一般の従業員とは異なる特別なキャリアを積んでいくのです。
もし新卒・第二新卒の段階で幹部候補生として採用し、社内で育てていく場合、企業にとって優秀な人材を確保する必要があります。採用面接の際も、幹部候補生としてふさわしいかどうかを見極めて、採用を決めなければなりません。では、面接時に幹部候補生の適性を持つかどうかを見抜くには、どのような点をチェックすべきでしょうか。
まず確かめるべきは、人物の特性です。その企業の採用基準からみると、多少スキルやリーダー経験が不足していても、人格面で優れていれば育成次第で幹部へと成長します。具体的なチェック項目としては、「他人からの指摘を受け入れ、自己の改善につなげることができるか」、「人や物事に対して斜に構えず、正直・誠実に向き合えるか」、「課題に対してあきらめずに取り組むことができるか」、「ストレス耐性はどのくらいか」などです。幹部候補生となるには上司や同僚とのコミュニケーション能力が必須なので、いくら事務処理能力が高くても、他者との連携が苦手だと幹部候補生には向いていないといえます。
また、社風に合っているかどうかも重要です。企業文化に合っていない、企業の理念と自分の想いが合致していない場合、早期離職する恐れがあります。採用の際は、面接官が自社の経営理念やビジョンを伝え、共感できるかどうかを確認することが大事です。もし企業の社風と本人の希望や想いがマッチしているようなら、上司や先輩は本人のポテンシャルを引き出しやすくなるでしょう。
さらに本人の将来計画も確認する必要があります。優秀な人材の中には、一般企業に数年勤めた後、起業を考えているという人もいますが、その場合は幹部広報性としては採用できません。将来的に企業経営の幹部となってもらうには、長期的、できれば終身にわたって離職しないことが必須です。もちろん、就職後に希望が変わるかもしれませんが、少なくとも採用時に確かめておくことが望まれます。
人物特性が良好で、リーダーシップを発揮できるような優秀な人材は、他の企業でも同様に渇望されています。そのため採用面接の際は、自社が就職希望者にとって望ましい企業であること、魅力的な企業であることをアピールすることも重要です。採用面接を行う際、面接官は採用する側という立場を利用し、「選んでやる」という高圧的に採用希望者に接すると、その人材は他社に行ってしまいます。
幹部候補生のような重要な人材を採用する場合は、就職希望者に対して、自社に就職できれば確実にスキル、経験を積み、キャリアアップを図れることを、明確に提示することが大事です。就職希望者が自らの将来像を描き、成長していけると確信できるようになれば、その企業は優秀な人材から「選ばれる」企業となるでしょう。
優秀な人材に、採用の段階で就職後の自分のあり方をイメージしてもらうには、企業の中で幹部候補生の中長期的な人材育成計画を定めておくことが大切です。例えば、将来的に必要となる幹部の人数と役割、行うべき教育の内容などを予め中長期計画として構築し、公開しておくと、採用希望者も就職後のキャリアアップの道筋を思い描きやすいでしょう。
幹部候補生となりうる人材を確保するには、一般的な面接シートに従って、固定的な質問を投げかけていくという採用方法は適切とはいえません。企業が定めた中長期的人材育成計画を背景に、戦略的な面接、採用を心掛けなければ、優秀な人材の確保は難しいといえます。幹部候補生の採用にあたって、企業側は就職希望者の人物や能力を見極める必要がありますが、一方的に評価するというやり方だけでは、引く手あまたの優秀な人材に「選ばれる」企業とはならないでしょう。企業の側からも、就職後にどのように成長でき、キャリアを積めるのかを伝え、企業と就職希望者のどちらも成長していける環境であることを認知してもらうことが大切です。
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