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新年の挨拶といえば、年賀状というのが一般的ですが、携帯電話やスマートフォンの普及により、年賀状は年々減少傾向をたどっています。ビジネス上の取引先にも、メールやSNSで新年の挨拶をかわすケースも、今では決して珍しいことではなくなっています。そこで、年賀状の変遷をたどってみました。
日本郵便が発売する「2020年用お年玉年賀はがき」の当初発行枚数は、9月2日に23億5,000万枚と発表されました。2019年用の当初発行枚数が24億212,000枚でしたから、前年より2%ほど減少しています。
発行枚数のピークは2004年の44億6,000万枚です。当時を振り返ってみると、手軽にはがき印刷ができる「プリントゴッコ」のヒットも、年賀はがきの普及に一役かったようですが、2008年にプリントゴッコの販売が終了してからは、発行枚数もどんどん減少していきました。
その要因は、やはりインターネットやSNSが普及したことでしょう。劇的に進化した通信手段によって、人との付き合い方なども大きく変わってきています。また、核家族化や人口減少などの影響も否めません。
ここで、年賀はがきの歴史を振り返ってみましょう。官営事業としての郵便制度は1871年(明治4年)に始まり、郵便はがきの発行は1873年(明治6年)です。そして、はがきの登場によって、年始の祝詞を交換する風習が年々盛んになったようです。
年賀はがきの発行は1949年(昭和25年)で、その時の発行枚数は1億8,000万枚でした。その後の日本は、目覚ましい経済復興を遂げていきますが、それに合わせるかのように年賀はがきの発行枚数も激増し、1964年(昭和年39年)には、10億枚、1973年(昭和48年)には20億枚を突破しています。
年賀はがきによる年始の祝詞を交換する風習が、これほど広まったのは、経済復興が大きな要因ですが、実は年賀はがき“お年玉付き”という、ちょっとした楽しみがプラスされたことも忘れてはなりません。
年賀はがきが最初に発行された1949年(昭和25年)といえば、まだまだ戦後の混乱が続いていた時代です。ちなみに第1回目の商品はミシン、純毛洋服地、学童用グローブ、学童用こうもり傘などです。いずれも戦後の混乱期の中にあった庶民には、なかなか手の届かないものばかりです。
この商品も、洗濯機、テレビ、電子レンジ、ハワイ旅行など、時代とともに豪華になっていきましたが、商品の変遷を見ていくと、日本が高度経済成長を遂げていった様子をうかがうことができます。
2020年用の年賀はがきの商品は、1等が現金30万円or電子マネー31万円分、2等がふるさと小包など、3等がお年玉切手シートですが、東京2020オリンピックご招待(旅行券)、開会式ペアチケット、競技観戦ペアチケットなど、東京オリンピックに便乗した商品も用意しています。
1等商品が現金or電子マネーというのも、今の時代を象徴しているのかもしれませんが、三種の神器と庶民が熱望した電化製品などのかつての商品の方が、何か、有難味があるような印象です。
ちなみに、価格は通常のお年玉付きが19年用より1円高い63円。開会式、閉会式チケットが抽選の対象となる大会への寄付金(5円)付きは68円です。年賀郵便の受付開始は2019年12月15日からで、12月25日までに投函すれば、令和2年の元旦に届きます。
年賀状を無駄な風習ととらえる人もいるでしょう。また、ペーパーレス時代を理由に、年賀状を出すことを止めた人もいるでしょう。でも、年賀状が届くと嬉しいものです。廃れつつある風習ですが、大切な相手には、印刷した賀状ではなく、直筆でしたためてみてはいかがでしょうか。
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